朝の波紋のレビュー・感想・評価
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小商社と大手商社:仕事と人生
当時では稀有なバリバリキャリアウーマンが主人公(瀧本篤子)ながら、今も尚残る女性が活躍することで抱かれる男性社員からの嫉妬。
一方で篤子に対して好意を持つ、同僚賀川の一言一言がいちいち気に触る、彼にとっては自分自身のことを話してるだけかもしれないが、その言葉が篤子に対して人生への疑問を投げ掛けるひと押しとなっていることに気づいてない点が哀しい。
瀧本家では、戦争未亡人となったかよが出稼ぎの間、息子、通称“けんちゃん“を預かっている。彼が連れてきた野犬ぺぇは、いたずらばかりで、篤子の母は事ある事にぺぇを捨てるように促す。外から預けられているけんちゃんとぺぇの存在がその度に重なる。
ある時、篤子は風変わりな青年伊能田に出会うなかで、仕事ばかりの人生に疑問を持ち始める。
与えられ職務以上に仕事をこなす篤子がある日大口案件を取ってくるが、大手商社の横槍で事がうまく運ばない。
人は何か大きな疑問を持ち始めた時に何か失敗する傾向にあるのか?戦争が齎した負の遺産が登場人物の日常に影を落としながらも、それぞれが日常と対峙し、自らの幸せに向かって前を向く。また、篤子の英語は軽やかで美しく、伊能田のハンサムぶりがスクリーンを超えて訴えかけてくる。ロマンス要素がしっかりと反映されているが、登場人物の心理描写が台詞ではなく、多数の視線で繋がっているのがとても印象的だった。
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