「「アクション映画」というより「揉み合い映画」だが‥」続・新悪名 keebirdzさんの映画レビュー(感想・評価)
「アクション映画」というより「揉み合い映画」だが‥
これは人間の摂理と確信していますが、歳をとると自分が生まれた頃とその以前(成人してから映像など見るとエラい前近代的に感じる)の風景や風物が全て懐かしく、許せるようになります。
この1962年作品も真面目に評せばまあかなーりグダグダな内容と進行ですが、撮られた情景や設定だけで概して和んで良く見えてしまいます。
その上観たのが新門司港〜東京有明行きの‘ひなびた’フェリーの誰もいないリラクゼーションルームの大画面TV(時折70歳台以上向けの古すぎDVD映画集とか声で時を知らせる腕時計とか通販タイム入ります)内では、既にかなり酔ってますし、この善良アウトロー任侠人情世話話+揉み合いアクションシーン満載映画が、面白くないわけありません、超楽しめました。
まあ観続けたのが「続・新悪名」とはどういう続編?新編?と暫く心の中でつっこんでいたからですが。
あ、自分の見栄のため言っておくと、小生の生年はこの映画よりだいぶ後で“生まれた頃”ではありません悪しからず。でもそれが良い。
勝新が、私の知っているオッサン然としたオッサンではなくお肌もお目目も妙に綺麗な、若い中途半端(失礼)にカッコいいオッサン、渡世の全てを知っているのに全く荒れてもうらぶれてもおらず、善良で純粋(ただし据え膳は食う)。おちゃらけキャラで超軽く扱われるイケメン助演、田宮二郎が明るく軽くカッコいい(西洋歌も上手いしアクションも勝新よりキレあるっぽい、知らんけど)。出てくる助演の別嬪さんたちがみな化粧や魅せ方が21世紀からは微妙で充分美人に見えない!(いやホントは超お綺麗ですよ皆さん)。ミヤコ蝶々が戦後裏町のおばちゃん味出して好演だが、今的感覚では殆ど悪人で斬新(思えばこの点今の邦画は大物にあまり嫌演技させず甘いね、敢えてさせても“異様な魅力のあるサイコパス役で凄い!”とか日和ってる)。
色々あっても結局、騙しや悪行を痛めつけた下っ端の自供証言で確定し小悪党ボスをボコボコにして金庫から金を取り戻して一件落着‥ え?落着するのかそんなんで、ですがそれが良い。最後シーンの勝新の「これから先どうなるんだ?」的セリフ、既に態とらしい田宮の怪我演技、これも良い。Wikiで確認すると、この時期7、8年で悪名シリーズ(オリジナル、後年リメイクやそのリメイク有り□)が15作も出ているので、次回フェリーや飛行機上(は無いか‥)でやっていたらぜひ観たいです。
