劇場公開日 2020年4月3日

「AKIRAそして鉄雄」AKIRA 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5AKIRAそして鉄雄

2024年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

《全能の破壊力を持つ》存在なのか?未来なのか?
1988年。
原作・脚本・監督は大友克洋。
「ジャパニーズ・アニメ」として「日本アニメの世界的ブーム」の
火付け役となった、とのことです。
海外での評価はSF映画の古典とされている。

私が注目した点のひとつは、その反社会的反抗心。
既存の社会秩序を壊す存在としてAKIRAを描いた映画である点だ。

1988年7月16日、関東地方で「新型爆弾」が炸裂した。
そして第三次世界大戦後のネオ東京。
2019年の新首都「ネオ東京」は、反政府ゲリラと軍(アーミー)の
衝突が続いていた。
オートバイで暴走を繰り返すグループ「ナンバーズ」の一人・鉄雄は、
事故をキッカケに内なる能力が覚醒する。
そんな超能力者・鉄雄に目を付けた軍(アーミー)は、
鉄雄をAKIRAと並ぶ能力を秘めた実験体として管理下に置こうとする。
しかし鉄雄は病院を脱走して次々と人を襲うようになる。
もう元の人格は消えて人間兵器に成り果てている。
そんな鉄雄は2020年東京オリンピック会場の地下に向かい
AKIRAの封印を解く。
《ここが見どころなのです》
そこにあったのは分析のためにバラバラに分解されたホルマリン漬けの
臓器だった。
《ショックでした》
AKIRAはイケメンの美青年か?美少年だと思い込んでたもの。
また《2020年が2回目の東京オリンピックだ》ってことは、
誰が予知してたのだろう?

駆けつけた軍の敷島大佐は『SOL』によるレーザー照射を行う。
それによって鉄雄は右手を失う。
(ちなみにSOLとは対地攻撃用静止衛星型のレーザー兵器のこと)
鉄雄は肥大する能力のために身体のコントロールを失い、
鉄雄は膨れて溶ける肉の醜い塊となり怪物へと変容する。
しかし鉄雄の能力は凄まじかった。
ビルを一瞬で破壊し、人を一撃で殺してなんの後悔も感じない。
危険な破壊王だった。

そして遂にAKIRAとナンバーズは鉄雄を宇宙の果てに追放する。
しかしネオ東京を飲み込んだ《光の球体》全てを吸い込む爆風が起こり
ネオ東京は完全に崩壊する。

しかし瓦礫の山の中でも生き延びたゲイ・甲斐・金田は
バイクを疾走して嵐が去ったネオ東京を走り去って行くのだった。

人間の行き着く果ては《デストピア》
という虚無的な思想を感じます。

またバイク愛が強烈で人間よりバイクを愛してる。
鉄雄は宇宙の果てに追放されたが、目に見えないAKIRAが
どうなったのか分からないのだった。

琥珀糖
唐揚げさんのコメント
2024年2月7日

琥珀糖さん
いつも共感やコメントありがとうございます
ついつい長い読みづらい文章になってしまいがちですが、最後まで読んでここまで褒めていただけるなんて本当に光栄です!
今後ともよろしくお願いします

唐揚げ
CBさんのコメント
2024年2月6日

てな感じで、バラバラ保存は映画独自の設定だったと思います。
アキラとあの子供達はかっては一緒に暮らしてたんですね。

CB
CBさんのコメント
2024年2月6日

AKIRAのもと
「能力」を研究する軍のラボで生まれた薬を飲んで能力発現した子供達。ほとんどは副作用で老人のような様相だが、年齢相応の姿のままの "タカシ" もいる。(鉄雄はもともと能力があったのかタカシと接触したことで自分の中で能力が発動したんだそうです)
この研究のかっての成功例が "アキラ" なんだけど、能力発動で東京は爆心地となり、(映画では)アキラはバラバラで保存されてた

CB
とみいじょんさんのコメント
2024年1月30日

お久しぶりです。共感とコメントをありがとうございました。

この映画に出てくる、内ゲバ棒をふるっている輩・全共闘世代のテロリストである桐島と名乗る男が亡くなりました。
 そんなときにこのコメントをいただいて感慨深いです。

2020年の東京オリンピックを予言したということでも話題になりましたね。反対に、この映画のファンがひそかに暗躍させて実現させたりしたりして(妄想)。

まだ、ソ連とUSAの核戦争が起こると、マジでシェルターを作っていた頃。
チェルノブイリの死の灰が大きく取りざたされていた頃。
福島原発はまだ損傷しておらず、核が使用されたらどのくらいに被害になるか、一般人には、広島・長崎・福竜丸・チェルノブイリから類推するしかなかった頃。

 ディストピアの世界は、たくさんの巨匠が描いています。
 私のレビューに列記した以外でも、手塚先生『火の鳥 未来編』とか、SF設定ではないですが、永井豪先生の『デビルマン』漫画の結末(TVアニメとは違う)とか。
 でも、数々の巨匠に比べて、大友氏は絵のタッチが違うのですね。デフォルメされて、注目すべきものに注目させてくれる手塚先生たちに比べ、細密画のように描きこまれた絵柄は、私には情報量が多すぎて。

この映画も、主要人物の動き以外に背景とかに目がひきつけられてしまう…。

表現者たる方々が、ひきつけられるのがわかる気がします。

とみいじょん
CBさんのコメント
2024年1月29日

琥珀糖さんのレビューは、掛け値なしに素晴らしいです。俺、これ読んで初めて「原作のどの部分が映画だったんだっけ」とか考えましたから。
で、「AKIRAのもと」ですが、拙い記憶では、能力のために幼くして老人のような風貌になっている子供たちの中で、最も優秀な結果だったのがAKIRA(アキラくん)だったとしか覚えてないです。もう一回、読んでみますね。

CB
マサシさんのコメント
2024年1月28日

誠に申し訳ありません。COMICSはあったのですが未読のままです。因みに読む機会も無くしました。
度々レビューで触れている『少女終末旅行』もそうですが、ディストピアはディストピアなので、ハリウッド映画の様に再生はしてはならないって僕は決めつけています。従って、アキラと東京も瓦解すると思っています。アキラは実際このアニメで瓦解しているわけですし。そして、ブリューゲルの『バベルの塔』もそう言った絵でキリスト教の『バビロンの塔』の事です。バビロンの塔は聖書の中にも瓦解すると表されています。数年前にその絵が日本にやって来た時に東京芸術大学がその3Dの模型を作り、大友克洋先生が内部を精密に描くと言った事をやっています。それ以前にアキラは見ていましたが、こう言ったイベントでアキラの本当に語りたい事が分かった次第です。原作読んでなくて結末知らないのにすみません。
少女終末旅行読んでいらっしゃらないのでしたら読む事をおすすめします。アニメのもありますが、未完のままです。商業主義に乗らなかったのだと思いますが、名作と僕は思っています。知り合いの高校生に勧められて読みました。

マサシ
CBさんのコメント
2024年1月28日

いいね、ありがとうございました!!
素晴らしいレビューだと思います。また多くの人が観るといいですね!!

CB
マサシさんのコメント
2024年1月28日

大友克洋先生の好きな画家にピーター・ブリューゲルと言うオランダの画家がいまして、彼はその画家の『バベルの塔』をリスペクトして作ったとされています。まさにおっしゃるとおり、ディストピアです。

マサシ