劇場公開日 1960年10月1日

「子どもの気持ち」秋立ちぬ えらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5子どもの気持ち

2014年9月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

時間が丁度空いたので、池袋の新文芸坐で名画座デビュー。丁度僕の好きな入江悠監督が敬愛するという成瀬巳喜男監督の作品がかかっていたので、尺も短いしちょっと行ってみるかと軽い気持ちで臨んだこの作品。ふらっと入った映画が当たりだと嬉しくなるし、こういう時映画館で映画見るのって良いな~って思う。この快感はクセになる。話がそれた。

作品の感想。前半は『ネブラスカ ふたつの心を繋ぐ旅』のようにオフビートで朗らかな笑いに満たされていたのだけど、後半の展開は是枝裕和監督の『誰も知らない』を想起せずにいられなかった。特にラストシーンの横顔。いつの時代も子供は大人に振り回されて(悪い意味で)大人になる。前半とのギャップにやられた。その後も続いていくであろう彼の人生に立ち会えないのが残念でならぬ。彼があの後塞ぎこんでしまったらと思うと悲しい。父の時と同様また人知れず涙するのかと思うと…。順子ちゃんとの時間は見ていて本当に幸せだった。両親の存在という点では真逆の2人でも置かれている立場は似通っていただけに、埋立地のシーンは切なさに満ち満ちている。見た後にしばらく登場人物のことを考え続けてしまう。これは良い作品の証拠だと思う。映像ソフト化されていないことが本当にもどかしい作品。尺も80分と見やすくて素晴らしい。

えら