「映画としては詰まらんがワンカットワンシーンは傑作の集合体。」紅い眼鏡 mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
映画としては詰まらんがワンカットワンシーンは傑作の集合体。
押井のやりたい事は全てやった、これぞ押井守である。演劇と舞台とアンダーグラウンドにこの上ない愛情が見て取れる。何故か60年代、70年代に強い引力を感じる。80年代撮られた映画としては映像の未来史に絶望が感じられる。庵野が60年、押井が51年のほぼこの10年の差が似て非なるベクトルを生み出している。指向するものは極めて似ているにもかかわらず押井は現実から抜け出す事が出来ず、庵野は未来を新構築した。どちらがいいかどうかは別にして生み出された映像美学の違いは大きい。全体を占める演劇調、新劇に見られる舞台口上にテレビ的要素を加え、70年代のテレビ全盛時代のバラエティ感覚を再現している。おそらくこれが押井の本質なのであろう。面白くもないのに映像から目が離せなくなるながら映像の初期的中毒を生み出す魔力、押井にとってこれこそが自分の映像美学の中核なのであろう。それにつけても何だろう?つまらないのに目が離せない。なんでこんなに懐かしいのか?なんでこんなにいとおしいのか?これが押井の映像の秘密なのであろう。そしてこれこそが押井アニメの原点でもある。
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