赤いハンカチのレビュー・感想・評価
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アイドル映画と舐めたらいけません
いやーシビレました!
石原裕次郎と浅丘ルリ子
そして舞台は横浜
恋のライバルは二谷英明
監督は舛田利雄と最高の布陣
お話も面白い
序盤にホテルニューグランドの前にベンツがとまり、ミンクのコートを羽織った浅丘ルリ子が、ダンディーな二谷英明のエスコートで回転ドアから入り、2階のロビーへ続くあの美しい階段を登る姿を上から撮る
カッコいい!
もうこれだけで痺れました
これぞ横浜!
カメラワークがなかなか凝っていて、真上から取り調べ室を撮ったり、ベンツのバックミラーのメッキ部分に裕次郎の顔を歪んで写して心理描写をしたりしてみせます
浅丘ルリ子が勤めていた工場の圧縮ハンマーの火花と打撃音のカットバックも、裕次郎の衝撃を代弁するのものとして何度も使われます
美術もいい仕事しています
石造りの西洋建築の警察署の中庭がパリのそれを模しており、重要なシーンの舞台としておしゃれで気合いが入っています
衣装だって頑張っています
金子信雄の刑事、芦田伸介のヤクザの親分
どちらも横浜らしくおしゃれです
特に二谷英明のオシャレなオジサマ姿は格好いいたらありゃしない
1964年正月明けの公開
タイトルのヒット曲は1962年の秋発売なので少し間が開いてますから、メディアミックスというわけでもないようです
歌詞の内容は映画にはまるで関係なく、赤いハンカチも小道具として全くでてきません
序盤に裕次郎の目に入ったゴミを浅丘ルリ子が取ってやるハンカチは白いので肩すかしを食います
その代わり赤いスカーフを裕次郎は首に巻いています
でも歌自体は何度かギターを弾きつつ歌ってくれます
主旋律を編曲したギターソロも劇伴として多用されます
そのギターの音色がなんとなくマンドリンぽく感じます
実はこの曲のギターの音色からインスピレーションを得ていたのです
ラストシーンは墓地の横の真っ直ぐな並木道です
その並木道を裕次郎が小さくなるまで、浅丘ルリ子が手前から見送っているのです
そう!第三の男のラストシーンのオマージュだったのです
また二谷英明の屋敷は、黒澤明監督の1963年の天国と地獄の屋敷を思わせます
序盤のダム工事の現場は、1963年完成したばかりの黒部ダムのようにみえます
黒部の太陽は1968年公開ですから本作の5年後になるのですが本作が出発点だったかも知れません
楽しめる作品です!
プログラムピクチャーだの、アイドル映画だのと舐めたらいけません、丁寧な作りです
それにしても裕次郎と浅丘ルリ子
結ばれない悲恋ばかりです
それがまたいい!
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