劇場公開日 1964年6月28日

赤い殺意(1964)のレビュー・感想・評価

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4.0名作だった

2024年3月25日
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鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

知的

たまたま配信で観た。長い映画だったけど良く練られた脚本と巧みなカメラワークで、最後まで一気に楽しむことが出来た。
封建的な時代の東北地方の家庭がどんなものかよくわかって興味が尽きなかった。白黒画像によって、女性の強さ弱さ怖さがより伝わってきた。面白かった。

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映画野郎

5.0浮雲よりわかりやすい

2023年3月26日
PCから投稿

長すぎるので2回に分けて見たのが良かった。とても良い映画だった。
白黒映画が終焉を迎える寸前まで日本映画はこんなに素晴らしかったんだと思った。
この女優さんはカラー時代になって私が大好きなトラック野郎というシリーズに登場していた。主人公の子分的キャラの奥さん役だった。あれはあれでいいか映画ではあったのだが・・
カラーで美しい色を出すには照明にとてつもないお金がかかる。それをやれるほどの興行収入を得ることは日本市場では無理だった。それで日本映画は終わりに向かっていってしまった。
それはさておき
この映画がこれほどまでに心に残るものとなったのは、一つには白黒写真の美しさがある。カメラマンの腕は冴えていてとても写真がいい。構図がいい。ボケがいい。主人公の太目の女体の美しさを表現するのにとても適したレンズだったと思う。この作品を楽しめなかったという人が多かったがおそらく写真の良さがよく分からない人たちだと思う。と言うか私が写真オタクなので。
更には、この映画はテレビ画面で見ると全然面白さがわからないだろう。プロジェクターで横幅2メートル以上にすることによってカメラマンと監督の意図が表現される。例えば大きな包丁がアップになった場合・・自分の体より小さなモニターにそれが映ってもさほど恐怖感とか伝わってこない。でかい画面で目の前にバンと大きな包丁が迫ってくるから怖いという直感的な感情が生まれるのだ。それが映画だ。そして大画面で見るとボケの美しさがまるで違う。
映画というものはストーリーは多少頭でも俳優の魅力が伝わってくればそれでいい女だ私は思ってるこの映画から女優の魅力はすごく伝わってきた。そして当然のごとく太目で大型の彼女が欲しいなぁと思ったのである。

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タンバラライ

1.0こんなもの見るんじゃなかった。

2022年3月20日
PCから投稿

皆さまの高尚で知的なコメント・評価を見させていただきました。
浅い私にはさっぱり。
2時間以上もダラダラと煮え切らない。
Hしたければ楽しんでしろ、憎けりゃさっさとやれと思いながら見ました。
交通事故のシーンでは人形が飛び跳ねてるのを見た。

私の両親はともに大正生まれで父は亭主関白、母は自立できない女。
母は父に決して本音を見せない、巧みなマニピュレーターだった。
実は本当に好きだった人が結核で亡くなり、見合いで父と結婚したと聞いた。
父が亡くなった後、「いつもうなずいて何十年も我慢していたけど、
お金が残って私の人生は正しかった」と呟いたのを覚えている。
平屋木造一軒家でオール畳の部屋、あの陰気な家と両親を思い出したわ。
思い出も相まって本当に不快。

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sarah

5.0主演の春川ますみ、西村晃が凄い。

2022年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

「にっぽん昆虫記」の今村昌平監督とあって期待してみたが、素晴らしかった。
昨今の映画ではテレビ放映も想定してか、あまりどろどろとしたシーンは長くは続かない。しかし、この映画は、口論、取っ組み合いなど真に迫力ある生々しさがある。

主人公の女性(春川ますみ)は、妾の子として蔑まれており、のちに夫なる男性(西村晃)とその間の子ども三人で生活している。そこに夫の母親が厳しい態度で接している。
少し頭の悪そうな主人公であり貧しく、夫、その母から押さえつけられて生きているが、子どもだけが生きがいである。そこに泥棒(露口茂)が侵入しあらぬ方向に自体が展開していく。
全体的にはそれぞれの暗い過去や言えない男女関係などどろどろとした中、物語が進んでいく。
主人公の女性と男二人。それぞれの激しい会話、態度、感情むき出しの演技にはとても引き込まれる。そんな中、子どもの発言や行動は、ちょっとした息抜きやユーモアももたらしている。

後半から起承転結の、転・結へと意外な展開を見せ目が離せない。ロケ地の冬の雪山の風景も現実の厳しさを浮き彫りにさせている。主人公の女性はだんだん強くなっていくが、この夫婦の本音の駆け引きと、結末まで一気に見せる展開にとても引き込まれた。

Netflix

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M.Joe

4.0今村監督

2021年5月10日
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さすが、東北の農村を撮られたら☆彡

女性の立場良く表現されてました。

内容が面白かった。

主演が春川さんなんですね。びっくり‼️

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花丸

5.0さすがマモー 。西村晃。

2020年12月19日
iPhoneアプリから投稿

望めばいつかはDVDに。
オラ高い希少中古なんて買わねんだ。

飄々と滑稽で憎たらしい西村晃が一人喜劇を担う好演。さすがマモー。

春川ますみ、露口茂は重ったるく凡庸で損な役。
北林谷栄 の聴取不可で異様なボゾボソが怖い。

男は卑屈で弱い。女はブレず逞しい。

力作。重要作。

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きねまっきい

4.0なんだかわからないほどの強烈な映画体験だった

2019年8月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

なんだろう?
なんだかわからないが、確かにとんでもない傑作を今観たのだということは分かるのだ

貞子もまたひとつのファムファタルだ
彼女は安らぎのある風貌だが、決して美人ではない、どちらかといえば不美人だ
スタイルが良い訳でもない
良くいえば肉感的、悪くいえば小太りだ
若くもない、小学校の子供がいるのだ
頭も少し弛い
それでもなお男の人生を狂わせ破滅させるファムファタルなのだ

平岡は彼女のファムファタルたる魔性の力に自滅し、彼女の亭主は威張りながら結局全て彼女のコントロール下に置かれてしまうのだ

春川ますみの演技は強烈な忘れられない印象と説得力をもっている

鉄道は蒸気機関車の大きさと重量と迫力をもって 、彼女の運命をどんなに理不尽であっても抗いようもなく行く着く先に運んでいくのだ
その暗喩というのは明白だろう

そして序盤とラストシーンの少女時代の貞子の太ももに這う蚕の意味はおそらくこうだ
芋虫の様な蚕への嫌悪を感じながら、同時に内股を這う性的快感に痺れているのだ
蚕を取り除くことはできず彼女は快感にへたりこんでしまっているのだ
性への嫌悪と欲求が渾然一体となってしまっている、それが彼女だ
その原体験の記憶なのだ
そして終盤になって夜中に庭から男に呼び掛けられて窓を自らあけた事を突然思い出すのだ
無意識に彼女は自身に内在する欲求に男に引き寄せられているのだ

貞子の小声のモノローグの多用
もちろん彼女の内面の声だ
では、訛りがある聞き取れないほど小さいひそひそ声はなんだろう?
それは彼女の意識下の囁きなのだろう
かって微かに聞こえてきた自分の出自を攻撃される屈辱の記憶
そのような精神の動きの表現を巧み映画の映像表現にしているのだ

触れれば火傷する電気アイロンの底面は鏡の様に向けられた方向を写す
平岡はそれを彼女に向けて脅迫する
そして中盤、ストリップ小屋の屋根の上で平岡は自分語りを彼女に強制しようとする
それは鏡のようなアイロンと同じだ
その晩、彼女は夢から覚めてアイロンの底面を見つめるのだ

何故に題名が赤い殺意なのか?
赤いと色彩を訴えておきながら、何故に白黒で撮影しているのか
この時代ならカラーで撮れたはずだ
むしろなぜ積極的に白黒を選択したのか?

題名の殺意は分かる
では赤いとは何か?
彼女の抑圧された人生のなかにには、赤い血潮があり、肉体が押し込められているという意味なのかも知れない
だから貞子役に春川ますみが起用されたのだ
彼女の豊満な肉を映像にしたかったのだ

その赤さを白黒で撮り敢えて見せないことで、抑圧された彼女の本性を表現する
それが監督の狙いだったのかも知れない

そしてまた貞子は元は東京の女性なのだ
なのにいまはすっかり仙台弁しか話さない
訛りを自らに強制しているうちに、意識下で独白までを訛らせている程までになっているのだ
これもまた抑圧された彼女の象徴だろう

しかし平岡は直ぐに彼女を本当は東京の人でしょと本性を見抜くのだ

仙台の旧家、嫁と姑、不気味な小さな老婆達、因習、訛り、雪、汽車
そんな中で彼女はいまと変わらず生きていくのだ
成り行きで結局彼女の望む様に物事は全て決着する
彼女は最初から終わりまで何も変わりはしていないのだ
これからも変わりはなく生きていくのだ

そういった全てが当時の日本の女性の置かれた状況を表現しているのだ
いや日本的に見えて世界的に普遍なことなのかも知れない
本作の製作意図はそこにあるのだろう

そしてそれは21世紀の今も少しは未だに引きずっているのだ

しかしこんなことは全部理屈だ
このような理屈ではない
なんだかわからないほどの強烈な映画体験だったのだ
それほどの強烈な映像表現だったのだ

このような前衛的ともいえる映像表現を娯楽作品として撮って見せた今村昌平監督の才能には感服するばかりだ

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あき240