赤い殺意(1964)

劇場公開日:

解説

藤原審爾の原作を「にっぽん昆虫記」でコンビの長谷部慶治と今村昌平が共同で脚色「にっぽん昆虫記」の今村昌平が監督した社会ドラマ。撮影もコンビの姫田真佐久。

1964年製作/150分/日本
原題:Unholy Desire
配給:日活

ストーリー

強盗が押し入った夜、夫の吏一は出張中であった。恐怖におののく貞子を、殴打しスタンドのコードで縛りあげて、獣のようにせまって来る男に、貞子は半ば気を失って呻いた。明け方強盗は再び貞子を犯して去った。“死なねばならない”貞子は、土堤下を通る鉄路にふらふらと出てみたが子供勝への愛情はたち難かった。翌日出張から帰って来た夫に、何度かうちあけようとしたが、何も気づかない風の吏一の態度に、言葉をのんだ。東北大学の図書館に勤める吏一には、事務員義子と五年も肉体関係がある反面、家庭では吝嗇で、小心な夫であった。再び強盗が貞子の前に現れたのは、あれから二日後の夜だった。乱暴なふるまいのあと、「もうじき死ぬんだ、あんたに優しくしてもらいたいんだ」と哀願した。その夜吏一に抱かれながら、貞子は、家庭の平和を乱したくないと苦悶した。だが、デパートの特売場で、強盗に声をかけられた貞子を、義子が見てから、夫は、近所の学生英二との間を疑うようになった。二月の初め、妊娠に気づいた貞子に、強盗は“腹の子は俺のだ”と執拗にせまった。吏一の父清三の葬儀に行った貞子は、自分が妾腹だという理由で入籍されず、子供の勝が清三の子になっているのを知って愕然とした。数日後、強盗が合図の石を屋根に投げたのを聞いた夫が、英二のしわざと思いこみ嫉妬にかられて隣家に踏みこんだ。夫に疑われて追いつめられた貞子は、強盗に会いにいった。強盗は平岡というトランペット吹きで、心臓を病んでいた。よわよわしい彼の表情に負けて、またも温泉マークに入った貞子は、ついに平岡を殺そうと決意した。農薬をジュースに混入して殺すのだ。吏一の東京出張中、貞子と平岡は、汽車に乗ったが、途中不通となったため、吹雪の中を疲労にふらつく平岡を助ける貞子に義子が木影からカメラをむけていた。疲労の末貞子が手を下すまでもなく悶絶してゆく平岡を前に、貞子は、何か説明しがたい胸の痛みを感じた。そして義子も、カメラをもったまま車にはねられて死亡した。何ごともなかったような毎日が始まったが、貞子のうえには、女としての自覚と責任が、新しく芽ばえていた。

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映画レビュー

5.0浮雲よりわかりやすい

2023年3月26日
PCから投稿

長すぎるので2回に分けて見たのが良かった。とても良い映画だった。
白黒映画が終焉を迎える寸前まで日本映画はこんなに素晴らしかったんだと思った。
この女優さんはカラー時代になって私が大好きなトラック野郎というシリーズに登場していた。主人公の子分的キャラの奥さん役だった。あれはあれでいいか映画ではあったのだが・・
カラーで美しい色を出すには照明にとてつもないお金がかかる。それをやれるほどの興行収入を得ることは日本市場では無理だった。それで日本映画は終わりに向かっていってしまった。
それはさておき
この映画がこれほどまでに心に残るものとなったのは、一つには白黒写真の美しさがある。カメラマンの腕は冴えていてとても写真がいい。構図がいい。ボケがいい。主人公の太目の女体の美しさを表現するのにとても適したレンズだったと思う。この作品を楽しめなかったという人が多かったがおそらく写真の良さがよく分からない人たちだと思う。と言うか私が写真オタクなので。
更には、この映画はテレビ画面で見ると全然面白さがわからないだろう。プロジェクターで横幅2メートル以上にすることによってカメラマンと監督の意図が表現される。例えば大きな包丁がアップになった場合・・自分の体より小さなモニターにそれが映ってもさほど恐怖感とか伝わってこない。でかい画面で目の前にバンと大きな包丁が迫ってくるから怖いという直感的な感情が生まれるのだ。それが映画だ。そして大画面で見るとボケの美しさがまるで違う。
映画というものはストーリーは多少頭でも俳優の魅力が伝わってくればそれでいい女だ私は思ってるこの映画から女優の魅力はすごく伝わってきた。そして当然のごとく太目で大型の彼女が欲しいなぁと思ったのである。

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タンバラライ

4.0呪いがテーマ

2022年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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じゃっく

1.0こんなもの見るんじゃなかった。

2022年3月20日
PCから投稿

皆さまの高尚で知的なコメント・評価を見させていただきました。
浅い私にはさっぱり。
2時間以上もダラダラと煮え切らない。
Hしたければ楽しんでしろ、憎けりゃさっさとやれと思いながら見ました。
交通事故のシーンでは人形が飛び跳ねてるのを見た。

私の両親はともに大正生まれで父は亭主関白、母は自立できない女。
母は父に決して本音を見せない、巧みなマニピュレーターだった。
実は本当に好きだった人が結核で亡くなり、見合いで父と結婚したと聞いた。
父が亡くなった後、「いつもうなずいて何十年も我慢していたけど、
お金が残って私の人生は正しかった」と呟いたのを覚えている。
平屋木造一軒家でオール畳の部屋、あの陰気な家と両親を思い出したわ。
思い出も相まって本当に不快。

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sarah

5.0主演の春川ますみ、西村晃が凄い。

2022年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

「にっぽん昆虫記」の今村昌平監督とあって期待してみたが、素晴らしかった。
昨今の映画ではテレビ放映も想定してか、あまりどろどろとしたシーンは長くは続かない。しかし、この映画は、口論、取っ組み合いなど真に迫力ある生々しさがある。

主人公の女性(春川ますみ)は、妾の子として蔑まれており、のちに夫なる男性(西村晃)とその間の子ども三人で生活している。そこに夫の母親が厳しい態度で接している。
少し頭の悪そうな主人公であり貧しく、夫、その母から押さえつけられて生きているが、子どもだけが生きがいである。そこに泥棒(露口茂)が侵入しあらぬ方向に自体が展開していく。
全体的にはそれぞれの暗い過去や言えない男女関係などどろどろとした中、物語が進んでいく。
主人公の女性と男二人。それぞれの激しい会話、態度、感情むき出しの演技にはとても引き込まれる。そんな中、子どもの発言や行動は、ちょっとした息抜きやユーモアももたらしている。

後半から起承転結の、転・結へと意外な展開を見せ目が離せない。ロケ地の冬の雪山の風景も現実の厳しさを浮き彫りにさせている。主人公の女性はだんだん強くなっていくが、この夫婦の本音の駆け引きと、結末まで一気に見せる展開にとても引き込まれた。

Netflix

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M.Joe
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