愛欲(1966)

劇場公開日:

解説

「廓育ち」の佐藤純彌と森川英太郎が共同でシナリオを執筆、佐藤純彌が自ら監督した風俗もの。撮影は「ギャング頂上作戦」の西川庄衛。

1966年製作/90分/日本
原題または英題:The Grapes of Passion
配給:東映
劇場公開日:1966年4月1日

ストーリー

麻生食品の宣伝課長・江崎哲也は、他の広告業界にも、その名をとどろかせる仕事の鬼だ。そんな生活力のたくましい江崎を銀座でも一流のバー“クライス”のマダム奈津子は愛しぬいていた。が、ある日、江崎は京都に出張中、ふとしたことから、京都清水旅館の女王人、由喜に会った。由喜は数年前、夫と死別して以来、旅館の経営に打ちこみ、一人身のさびしさをまぎらわしていた。だから、江崎の男くささに魅かれた由喜は、恥も外聞も忘れて、江崎の胸の中にとびこんでいった。奈津子も女の本能から、由喜の存在を知ると、激しく由喜に嫉妬した。江崎の親友である麻生公輔は、女のために、江崎の仕事が乱れるのを案じて、京都に由喜を訪ねて、江崎と別れてくれとたのんだ。しかし、すでに燃えあがった由喜の女心をしづめることはできなかった。が、このころを境に江崎の仕事ぶりは目に見えておちはじめた。そして、ある日、仕事と情事のジレンマに思い悩み、すっかりしょげかえった江崎を慰める奈津子に、江崎は突然結婚を申しこんだ。奈津子は信じられぬまま、うれし涙にくれた。が、二人の結婚話を聞いて駈けつけてきた由喜が、再び江崎の前に姿を現すと、江崎は婚約披露パーティを投げすてて、由喜と共に東京を離れた。だが、この江崎が会社を留守にした三日の間に、麻生食品のライバル会社は、江崎があたためていた、世界一周旅行の懸賞付新聞広告を出してしまった。責任を感じた江崎は会社を辞めた。むろん江崎にも、一人で十分やっていける自信もあった。が、江崎の事業は失敗した。自分の店を売ってまで、江崎を助けようとした奈津子は、江崎と由喜が愛し合っているのを知ると、服毒自殺を計った。そして、時を同じくして、由喜も江崎と共に心中を計った。だが、発見の早かった奈津子と、体力のある江崎は、命をとりとめた。由喜の墓前で再出発を誓った江崎は、奈津子のすがるような視線をあとに、いずことなく去っていった。

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