「死刑映画週間にて」愛は降る星のかなたに redirさんの映画レビュー(感想・評価)
死刑映画週間にて
ユーロスペースで開催の死刑映画週間、ラスト一本。上映後、太田昌国さんのお話つき、というシチュエーションで鑑賞。死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90主催の死刑映画週間は今年で第12回だそうだ。
ゾルゲブーム再来か。最近またゾルゲに関連した映画が続いてあるなと思っていたが、戦後日本においてはずっとゾルゲブームなのかもしれない。と思いながら年配の方が多い客席で開映。全く予備知識なし、太田昌国のトークという部分だけ注目して予約したので、カラーでない時の日本映画だったのか!!とそこからまず驚きとワクワク。
岸惠子さんと夫のフランス人作家がとったゾルゲ映画の話
が面白い。イヴ・シャンピ監督作品、これをみた若きプーチンがゾルゲにスパイに憧れたとのこと。
ゾルゲと尾崎の思想的背景(思い)など真の知識人である太田昌国さんのお話は大変有益だった。
戦後11年経ち、さまざまに戦争への悔い、悲しみ、怒りなどの日本人の思い、我が振る舞いを顧みて今に未来に繋げようとする、このような作品がこの頃たくさんあったのだろうか。
尾崎(映画では坂崎)夫人の夫の書簡を記した本が林芙美子放浪記と並ぶ大ベストセラーだったとのこと(太田昌国さんのお話)その頃は民主主義や家族や隣人を守る、人として温かい社会を作る、という心意気がつよくあったのかもしれないと思った。
映画はたんたんと、尾崎の思想生き様苦悩や家族愛、を描き、満州に対する信頼感なども吐露され、へえそうなんだ?!と意外であったり、とにかく過剰にぬらずよいえい、ゾルゲはやや露悪的に描かれ顔もイメージと違うのでそのが星半分減点、
自分も中学生からくらいでゾルゲと尾崎秀実の世界に引き込まれて溺れたことを思い出した。
死刑映画週間、ありがとうございました、本作しか見られずでしたが、また来年もやるとの主催者の方の力強い言葉になんが励まされました。
また、映画というのはどのようにしてみるかにより印象も血肉なり方も違うなと痛感した。