オリヲン座からの招待状のレビュー・感想・評価
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映画は映画館で見てこそ
15年以上前の作品、浅田さん原作ということで。
映画館の盛況と衰退と。
老いた世代を、メイクでするのではなく。
あえて、演者で分けているところが、いい。
作品中に出てくる映画を知っている、私の親世代なら。
もっと感慨深いかも。
小さい頃、家から100メートルほど離れたところに映画館があった。...
小さい頃、家から100メートルほど離れたところに映画館があった。母と父のような人と土曜日によく行った。いつもヤクザ映画が1本含まれていて、雪が降るなか最後に一人殴り込みに行く主人公が殺されるパターンが多く、妻や子どもを置いて行かなくても良いのにと思ってみていた。そんな自分にとって、この映画は懐かしかった。浅田次郎のセンチメンタルな物語は、自分のような昭和世代にはピンとくるのだが、その時代の記憶がない若者の心にも響くのだろうか?
映画館無くなる
現在はフィルム上映も減ってきて、あの映写機の回る音が懐かしい。
パッと見で映写機は1台しか見えなかったから長巻きにして流していたのか?
それとも一巻一巻流し込んでいたのか?
昔の劇場の雰囲気は味があって素晴らしい。
頑張って頑張ってオリオン座を維持運営している姿に胸が熱くなった。
当時テレビの台頭によって斜陽化してきた地方の小劇場は成人映画に移行したりして最終的に潰れてしまう話は幾らでもあったが、オリオン座はそれをよしとしなかった。
ラスト上映が「無法松の一生」を掛けられるだけでも凄い。
現在ではDCPによるプロジェクターでの上映に殆どが移行した為、DCP に対応しなかった(費用的に対応できなかった)映画館はフィルムの作品を上映して糊口を凌いでいる。
【”僕がオリヲン座と、君を守る。”京都・西陣の小さな映画館を舞台にした、映画を愛する心優しき男女の姿を描いた作品。レトロスペクティブな雰囲気と、情感溢れる佳き作品である。】
■昭和25年の開館以来、映画館「オリヲン座」の館主を務めてきた松蔵(宇崎竜童)が病に倒れる。弟子入りを赦された留吉(加瀬亮)が志を継ぎ、先代の妻・トヨ(宮沢りえ)と立った二人で、オリヲン座を守ることになる。
だが、TVの普及により映画産業が斜陽になり、周囲の人間に留吉は”館主になって、良かったな!”と陰口を叩かれながらも2人は映画を愛し、互いを思いやり続ける。
そして、二人は年老い、「オリヲン座」を閉館する事を決め、馴染みの客に招待状を送る。
その中には、小さい頃から二人に子供の様に可愛がって貰った、ゆう(田口トモロヲ)と、よしえ(樋口加南子)の姿もあった・・。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・留吉を演じた加瀬亮が宮沢りえ演じるトヨを気遣う姿が、気高く、品性高く感じる。男とは、女性に対しては、かくありたいものだと思う。
・TVの普及により、客が一人もいない映画館の寂しき姿。そして、誹謗中傷を受け、更に客足が落ちたことを自分のせいだと責める留吉が、陰口を叩く愚かしき男に”止めて下さい!”と、何度も頼む姿。
■足を怪我したトヨを気遣い、蚊帳の中に、捕まえて来た蛍を、留吉が放つシーンは素晴らしい。
初めて、二人が手を重ねたシーンでもある。
・貧しい中で、トヨはゆうと、よしえに飴を与え、留吉は映写室から二人に映画を見せる。
ー キラキラした目で、夢中で映画を観る二人。少しだけ「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出す。-
・閉館の言葉を述べる老いた留吉(故、原田芳雄)の姿は、沁みたなあ・・。
<映画は娯楽であるが、文化でもあり、良き作品は終生心に残る、と私は思う。
今作は、そんな映画を愛した小さな映画館を長年守って来た二人の美しい恋の物語である。
レトロスペクティブな風合もとても良い作品でもある。>
■コロナ禍以降、映画館は大変な状況に陥ったが、昨年あたりから客足が戻って来た気がする。良い作品が多く公開されているのも、その理由だろうが、10代から20代の若者が多くなった気がする。TV離れの影響かも知れないが、嬉しい事であると私は思います。
せめてホクロを・・・
『無法松の一生』(1943)は内務省の検閲により、松五郎が未亡人に想いを打ち明けるシーンがカットされたという。そんな恋の告白でさえも禁じられるという恐ろしい戦時下の日本。しかし、戦後は占領軍によって封建的な部分をまたまたカットされたというのだ。それをそのまま公開しても名作として残るのだから、素晴らしい作品なのでしょう・・・未見。
こうしてオリヲン座の映画館では劇中フィルムとして、無法松や、『二十四の瞳』『君の名は』などを流すので、悲鳴をあげたいほど映画ファンにとっては嬉しい作品であるのです。ただ、個人的には時代が早すぎました。そして、主人公のトヨ(宮沢りえ)と留吉(加瀬亮)の関係そのものが無法松へのオマージュとして描かれてはいるものの、大事な大事な告白シーンが丸々カットされていたような・・・。映倫はあるけど、さすがに検閲制度の無い現代においてここまでカットされては感情移入しにくいというのも難点の一つ。
1961年の時点で日本の映画産業は絶頂期を迎え、その後テレビの普及により斜陽となってしまうのですが、ストーリーを考えると少しずれています。大津からやってきた若者が映画館館主の座と未亡人を得るために悪い噂が流れてしまうという原因があるにはあったけど、それだけでは弱かった。さらに、経営の本当の苦しみは70年代に入ってから。どうもオリヲン座は東宝の映画をかけなかったようですけど、寅さんのリバイバルでも上映していたのなら客は入っていたのかもしれません。ピンクをかけなかったという点だけは子どもを大切にしていたとわかる台詞でした。
『ニュー・シネマ・パラダイス』を彷彿させる映写室。さすがに宇崎竜童の演じた松蔵はアルフレードに対抗するにはいいキャスティング。フィルムが流れるように落ちていくことで彼の死を表現したところなんてのは悲しいけれど、なかなかの演出でした。宮沢りえも加瀬亮もよかったのですが、樋口可南子がやはりよかった。田口トモロヲだけは、こんな役だともったいない・・・もっとカルトな役じゃなきゃ・・・
キスシーン集に見合うモノ。まったくありません。さすがに告白シーンすらカットされるのですから、純愛も純愛、もしかするとプラトニックな関係だったかとまで想像させるくらい奥ゆかしい日本版『ニュー・シネマ・パラダイス』だったのかもしれません。
【2007年11月映画館にて】
派手さはありませんが
浅田次郎の世界観が良く表れていたと思います。多分映画館だけではなく、文化や芸能、工芸などなど、戦後直ぐにはこういう人達が沢山いたんだろうなあ。派手派手しさはありませんが、日本的な良い作品でした。
純愛すぎて残酷
この2人は果たして幸せだったのだろうか?亡き夫、恩師のために、オリオン座のために、愛し合ってるのに結婚もせず、子供も授からず生涯を生きた2人。昔ながらの劇場や売っているもの、当時実際にやっていた映画など、興味をそそられた。今こんな劇場あるんだろうか。
ちょっと分からん
妬みで映画館に足を運ばない人達。貧乏しながらオヤジさんの映画館を受け継いで守っていく二人。小さい時、オリオン座に救われた二人の子供は結婚したが離婚の危機。
救われない人達ばかりが出てきて、しかも最後まで救われなくて、見終わってもモヤモヤする。結局、何が言いたいんだろう。
団塊世代の夫婦が一緒に映画館に足を運ぶには良い作品
昭和30年代の貧しいけれど温かな時代を想い出させてくれる作品でした。映画館が作品の舞台なので、当然の様に「二十四の瞳」「君の名は」「丹下左膳」「無法松の一生」などの懐かしい一場面も入り込んでいて、タイムスリップした様な時間を過ごしました。この作品は「無法松の一生」と重なる部分が多かった様です。未亡人となって映画館を守り続ける主人公を宮沢りえ(晩年は中原ひとみ)が、亡き夫(宇崎竜童)に拾われて映画館の仕事に就き、生涯、彼女を支え続けたパートナー役を加瀬亮(晩年は原田芳雄)が好演しています。極めて古臭い日本人的心の世界と言ってしまえばそれまでですが、我々団塊世代の夫婦が一緒に映画館に足を運ぶには良い作品ではないでしょうか。
じわじわ来る映画
何も考えずに、やさしいそうな雰囲気がしたので、映画館に入りました。それが、こんなに泣かされるなんて・・帰りの電車が恥ずかしかった。でも不思議で気分は爽快でした。じわじわ後から湧いてくる感情というか。自分もひたすら愛する人ってできるのかな?とか真面目に考えたりして。お勧めです。
予期せず泣きました。
淡々としている。でもすごく良い映画だった。昭和30年代に映画館とともに育ち映画館とともに衰える人々を丁寧に描いている。派手な仕掛けは何もないけどいい映画だなあと思いました。
無法松の一生はじめ、東映じゃない会社の古い映画がたくさん出ていて、交渉大変だったろうなあとか、団塊世代の映画ファンなら必見ではないか…とか、ネット上で書いても無意味かなあ。でも若い人でもきっと泣けます。宮沢りえも加瀬亮も宇崎竜童の日常も良かったし、何より子供ふたりの演技はすばらしい。
さすが映画館の話で美術さんもがんばっていて、映画館は映写機から看板まで細部まできちんと古さも考えて作られていて魅力的。これはたぶん大きな画面で見た方がいいよなあ。
でも映画館は空いてます。
並ぶのがキライな人に超おすすめ?
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