「お互いの想いの爽やかさ」築地魚河岸三代目 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
お互いの想いの爽やかさ
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<映画のことば>
「さぁ、帰るぞ。この靴を履け。」
「嫌よ、パチンコで取った靴なんて。」
「給料で買った靴だ。誰がお前に、パチンコで取ったものなんかやるか。」
「この靴に合う服がないと言ったでしょ。」
「バカヤロー、俺に女の服なんか選べるか。」
「私、あなたが選んだのなら、クマのぬいぐるみだって、銀座、よろこんで着て歩くわよ。」
仕入れた魚を売って利を得ようとする者に、その魚を卸して利を得ようとする者―商売の玄人同士が渡り合う築地で叩き上げた仲卸しの男には、どんなに想い続けていても、耳当たりのいい言葉で女を口説くことなど、とてもとても出来なかったのでしょう。
周囲の加勢で、ようやく想いを伝えたのは、女が心ならずも婚約した他の男が自慢げに開いた婚約披露の宴席でという、映画ならではの「ありえへん」設定―しかし、蓋を開けてみれば、男が想う以上に、女は男を想っていた。
べたべたのコメディですが、観終わった後味は、お互いのその想いが、炎暑に味わう清涼飲料水のように爽やかな一本だったと思います。評論子は。
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