築地魚河岸三代目のレビュー・感想・評価
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お互いの想いの爽やかさ
<映画のことば>
「さぁ、帰るぞ。この靴を履け。」
「嫌よ、パチンコで取った靴なんて。」
「給料で買った靴だ。誰がお前に、パチンコで取ったものなんかやるか。」
「この靴に合う服がないと言ったでしょ。」
「バカヤロー、俺に女の服なんか選べるか。」
「私、あなたが選んだのなら、クマのぬいぐるみだって、銀座、よろこんで着て歩くわよ。」
仕入れた魚を売って利を得ようとする者に、その魚を卸して利を得ようとする者―商売の玄人同士が渡り合う築地で叩き上げた仲卸しの男には、どんなに想い続けていても、耳当たりのいい言葉で女を口説くことなど、とてもとても出来なかったのでしょう。
周囲の加勢で、ようやく想いを伝えたのは、女が心ならずも婚約した他の男が自慢げに開いた婚約披露の宴席でという、映画ならではの「ありえへん」設定―しかし、蓋を開けてみれば、男が想う以上に、女は男を想っていた。
べたべたのコメディですが、観終わった後味は、お互いのその想いが、炎暑に味わう清涼飲料水のように爽やかな一本だったと思います。評論子は。
彼女愛より魚河岸愛?
皆がスマホに取り憑かれている現代では魚河岸の人間臭さは時間の止まった異世界に思えます、確かに魅かれるかどうかは別ですが惹きこむ為にサラリーマン社会をことさらネガティブに描く必要性は疑問です。
狙いでしょうが登場人物も如何にもというステレオタイプばかりであざとさが鼻につきます。加えて早口のセリフが多く活気は出ますが場によりけり、特に見せ場のプロポーズ、大沢さんのセリフ「明日香の荷物俺にも半分しょわせてくれ」を早口(2秒足らず)で言っているので聞き取れないし情緒がない。情緒がないといえば、冒頭から二人はもめていてそもそも熱々感がないのに結婚前提で話が進みます、英二を絡めて話をややこしくするために避けたのでしょうが、どこに惹かれあっているかくらいは丁寧に描かないとついていけません。
せっかくいいネタ(俳優さんたち)使っているのにテーマと真逆な効率の良い回転ずしのような味わいで昨今のテレビドラマを観ているようでした、もったいない。
●女ってね、服に合う靴しか履かないの
こういう義理人情系はキライじゃない。 伊原剛志の不器用な男ぶりに惚れる。 大沢たかおの熱血ぶりも悪くない。 森口瑤子の名言。 「女ってね、服に合う靴しか履かないの」 感心させられつつ号泣。
田中麗奈に惚れた。
築地を舞台に義理人情の江戸っ子模様を描いた 作品。ま、なんと言っても田中麗奈でしょうか。 チャキチャキの江戸っ子ながら現代っ子らしい キュートな女性を演じています。 個人的にはこれがまた、いじらしくて 可愛らしくてもう、メロメロです。 人情味溢れるストーリー。 定番、ワンパターンと言えばそれまでだが これが分かっていてもじんとくる。 大沢たかお演じる主人公のばか正直さと 脇役の実力派のキャスティングもよしよし。 大変、分かりやすく感情移入しやすい。 続編の噂が当事あったようだが どうなったのでしょうか? 気になる~。
漫画を映画にしたからなのか、なんだか展開が早かった。 あっという間...
漫画を映画にしたからなのか、なんだか展開が早かった。 あっという間にサラリーマンをやめてあっというまに魚河岸の一員になっていた。。 下町のおせっかいやきの人情物語らしさが出ている作品。 お互いに好きなのに、好きという気持ちを言えずに違う人と結婚が決まってしまったときには、 旬太郎が婚約パーティーにまで乗り込ませて、気持ちを伝えさせるっていう。 告白をさせるとか、いい大人が気持ちを伝えられないなんて。 ってか旬太郎関係ないんじゃ・・・って思っちゃうけどそんな人間臭さがいいのかも。 釣りバカを継ぐ大ヒットシリーズになるでしょうか。 2に期待☆
魚河岸とはあまり関係ない普通の人情もの映画
総合:60点 ストーリー: 60 キャスト: 75 演出: 65 ビジュアル: 65 音楽: 60 漫画を原作にした映画なのだが、物語の焦点は原作とはかなり異なる。どうも映画会社としては日本人の好きそうな伝統的な人情ものを主題にしたいようである。 原作では魚河岸を中心として魚のことと魚河岸の仕事のことはもちろん、流通・食文化・人情を魚河岸を通して描いた物語であるが、それをこの映画に期待していると肩透かしとなる。原作では慣れない環境でも魚市場に本当に興味を持って、その好きなことにたいして一生懸命努力していく主人公の姿が面白い。しかしそのような情熱を何故主人公が持って努力をしていくかが映画でははっきり描かれることはない。だから何故魚河岸なのか視聴者としてのめりこめない。 この映画では設定が魚河岸であり登場人物もそれに準ずるという以外にあまり原作と共通点がない。そもそもこのような内容の映画ならば、魚河岸を舞台にしたこの原作を選ぶ必要性がどこまであったのかという疑問が見ていて最後まで残った。ブリの目利きの場面に関しても、これが美味しそうに見えたからというまるで小学生のような理由で選び、しかもそれがそのまま正解という結論で締めくくっている。少なくとも原作でそのようないいかげんなことが書かれることはなく、このような場合は何故それがいいのか、しっかりとした理由は挙げられる。 このことは、「築地魚河岸三代目」という映画なのに、魚や魚河岸のことを真面目に描く気がないのだと宣言したようなものだと思える。せっかくの魚河岸なのだから、それを映画の特色としてあまり専門的にならず物語の邪魔をしない程度にその仕事の内容を徐々に紹介していったほうが、視聴者の興味を引き立てると思うのだが。こういう理由があったからこの魚が一番いいと劇中で言わせれば、ああこれが魚河岸で働く人の能力なのだとわかり視聴者の興味を引くだろうに。 恐らくマーケティングの結果として、寅さんや釣り馬鹿日誌の後を継ぐ人情ものとして地位をこの映画で確立しようとしたのだろう。でもその結果としてどこにでもある個性のない人情ものになったような気がする。原作を全く知らずに見た視聴者でも、この映画ならではの個性・特色を強く感じることが出来る人は少ないのではないかと想像する。 批判的なことを多く書いたが、別に駄目な映画なわけでもない。ただいい映画というには一歩足りないと感じる。
なけるぜぃ(p_q、)グズグズッ
いわゆる”ヒューマン”ドラマ大好きです♪ 明日香チャンがうらやましっ><。 旬太郎クンにあんなに大事にされて、ねぇ 映画館でお金出して観るにしては ちょっと…(^▽^;)と思う部分もありますが コンパクトにまとまって良かったと思います 震災があって大変な時にTVでやる映画として ぴったりのものじゃなかったかなぁ、なんて思いますにゃん
おい、げーのーじんだぞ
ゲリラ的な撮影をおこなったのか、築地で役者を見る目がわんさかわんさか エキストラではなく、現場の人たちの協力で撮ったのだと思いますが、ちょっと 人の目がたくさんありすぎました。 物語は、予想に反して?とても、面白かったです。 脇役もみんな、威勢がよさそうだし、築地って感じでしたね。 続編もあるようですから期待しましょう。 しかし、 伊原剛志って、このような、不器用な男気のある良い兄ちゃんの役がばかりだな。
失礼ですが、意外な掘り出し物でした
心に残った科白、多かったです。
【幸せは、自分の気持ちに嘘をつかないこと】
【なにごとにも、愛情をそそぐ】
【漁師との戦いに疲れたが、生け簀で活力を戻してやる】
【色々なモノや、ヒトに守られて、生きている】
お客さん、私を含めて2人
しかいませんでしたが、
いやいやどうして、アタリの作品でした。
心に残った科白が、ここまで多い作品、なかなかないです。
実は、前売券を買ってながらなんですが、
全く、ストーリーに期待をしていませんでした。
買ったのは、好きな役者さんがたくさん出ているから、
それだけ、でしたから。
でもでも、もう、いいセリフのオンパレードだし、
ストーリーも、一本筋が通っていてブレがない。
脇役のヒトも、芝居の上手いヒトばかりだから、
見ているこちらも、全く退屈しない。
シリーズ化云々だけでなく、
スピンオフ作品も、たくさん出来そうなくらい。
ストーリーに関していうと、
漫画が原作らしいのですが、
きっと、変にこねくり回してないんでしょうね。
監督によっては、
自分の味を出そうとしすぎて、
「あれあれ、何処行っちゃうのよ、おまえさん」
みたいになっている作品を、TVドラマ含め、
よく見かけますが、原作をそのまんま、
なぞっているのでは、だから良いのかな、
なんてことを、思いました。
シリーズ2作目製作は
今作放送のテレビ視聴率を見て判断するとか。
もしゴーサインが出ればこのテンション、
この役者陣で、やっていただきたいです!!
疲れた魚を元気にする「いけす」
映画「築地魚河岸三代目」(松原信吾監督)から。
主人公が、魚のことを知るために、ある港町へ修行へ行く。
そこで「いけすの魚」を見るシーンがある。
人間と戦ったばかりの魚は、身体も精神もヘトヘトになる。
そのまま、魚市場へ出しても元気がない。
その疲れた魚の元気を戻す場所が「いけす」というわけだ。
「魚によっては水温も変える、暗くもする」
釣った魚にも愛情を注がないと、魚の元気は戻ってこない。
そんな台詞があったと思う。もちろん、私はメモをした。
釣ったばかりの魚が一番元気、そう思っていた。
これからは、水槽に泳いでいる魚を見つけたら、
元気をとりもどしているんだなあぁ、と思うことにする。
「釣った魚にも愛情を注がないと・・」に反応した人、
もちろん、人間でも同じことが言えるよね。(笑)
刺身は旨そう…。
…これ、第二の寅さん狙いなんですか??(爆) 他の方の感想を読んでいたら、そういう意見多し!?で、 あぁそういえば…続編決定!って早々と出てましたね~。 う~ん…。微妙にぜんぜん違うイメージではありますが^^; 原作コミックを読んでいないので(毎回この前置きですが) 内容はまったく知りませんでした。まぁ人情劇、かなと。 あとは大沢くん目当て♪でしたけれど、、、^m^ よくあるストーリーながら、話はなかなか良かったですね。 こんな風に…後継ぎ問題に揺れる職業の方もいるだろうし、 まぁ婿養子…?といったって、おいそれと簡単な仕事など どこにもありませんからねぇ。継がせる側としては、やはり 信頼のおける人間に継いでもらいたい…と。まぁしかし^^; 娘が必ず気に入った男を連れてくるとは限りませんから(爆) (ほとんどが真逆(ワザとする可能性もあり)でしょうねぇ) だいたいにおいて、このパターンかと思われます。 大沢くんが演じた主人公の、やや突っ走り気味で自己中な 生き方が、案外仲卸業には向いているのかもなぁ?とか、 田中麗奈が、ずいぶん化粧を使い分けているなぁ?とか、 なんかくだらないところにばかり目がいってましたけれど^^; 彼らの脇を固める役者がなかなか曲者揃いで良かったです。 柄本明、伊東四朗、伊原剛志…の演技はさすがに素晴らしく、 柄本が(すし屋で)ポロッと言う台詞で、その場が締まった時、 さすがに違うねぇ~と思いました。 どうでもいいけど、またマギーを観てしまった(爆)という、 個人的な繰り返しも面白かったんですけど。 どんな仕事も最初から完璧に出来る人間なんていませんから、 ある程度の才能(これは必要かも)があるのなら、努力・精進、 あるのみですね。 ベタで漫画的な展開ながら(ハイヒールの使い方とかねぇ) 観て損はないと私は思うのですが、ただこれの続編を作る? 必要性はないような気がしますけどね。。^^; (鈴木一真も最初ちょっと分からなかった^^;盛んな俳優陣。)
みんな良い人ね♪
本当に…可も無く不可も無くと言った感じの映画です。 鑑賞券を貰ったので見に行きましたが… 貰ってないとマズ見に行ってないと思います。 シリーズ化だそうで… 次はどんな展開になるのでしょうか? もうお話は出尽くした感があるのですが…
前時代的典型的紋切型日本映画・・・シリーズ化かよ!
<ストーリー> 赤木は商社のサラリーマン。課長への昇進は果たしたが、上司に小間使いのように扱われていた。それでも恋人の明日香にプロポーズをする決心をして、高級なレストランに誘い出す。しかし彼女は最近なぜか疲れている様子で、そのデート中にも居眠りをしてしまう始末。実は彼女の父親は魚河岸なのだが、膝を痛めて入院中のため、朝は築地で手伝い、その後本来の仕事である装飾デザイナーとをかけ持ちしていたのだ。 偶然彼女が築地に向かうところを見掛けた赤木は、彼女を気遣い代わりに手伝おうとするが、素人には入り込めない世界であるとともに、突然現れたマドンナ的存在の明日香の恋人である赤木に、築地の人達は冷ややかだった。それでも元々持っていた微妙な味を見分ける舌も手伝い、彼は何とか役に立とうと魚について勉強を続ける。そんな中、本来の仕事で自分の意にそぐわないことが続いていた彼は・・・ <個人的戯言> 【♪レ~ジ~メ~♪】 9割方、「前時代的典型的日本映画」だろうと思いつつ、観に行ってしまったこの映画、そらもうまさしくその通りでした。よくある「本当に大切なことに気付く」過程や人物像も極めて紋切型で、合間に挿入されたギャグもいかにもで、笑う笑わないを論じるレベルではなく、ただ失笑・・・でも元々覚悟して観に行ったせいなのか、ありきたりだけど、まあこういう作品も必要なのかもと思ったりしちゃったりなんかして・・・(意味なく広川太一郎風・・・) 【ぐだぐだ独り言詳細】 とにかく嫌というほど紋切型。安物臭い音楽に乗せて、サラリーマンは出世のためには嫌なこともしなければならず、築地で働く人達はプライドを持ってイキイキを働いている、そしてサラリーマンは築地やそこの人々、更に「築地」とサラリーマンがしなければいけない「嫌なこと」がリンクしたエピソードで、本当に大切なものは何かということに気付き、ついに会社を辞めて築地の世界に飛び込む、しかし最初は受け入れられず、様々なトラブルがありながら最後は・・・みたいな。合間に挿むギャグも冷凍庫並にお寒い限り(ただしオバチャンにはバカ受け)。年齢層はかなり高目で、最近つくづくこっち方面に片足突っ込んでる感ありありです。おまけに既にシリーズ化決定って・・・「釣りバカ」かよ!ますますヤバい・・・ 昭和の遺物のような作品ですが、最初から自爆覚悟で観に行くと、結構こんなもんでしょう?と納得。「釣りバカ」もそうですが、確実にターゲットはあるわけで。しかし俳優陣でいうと、伊東四郎や柄本明とかはいいとしても、大沢たかおとか、まして田中麗奈とかの若い俳優も、この手の映画に出なきゃなんない「大人の事情」が何とも・・・大沢たかお、結構かつての「北村龍平」作品とかにも出てて嫌いじゃなかったんだけど、「加トチャン」の往年のギャグばりのこともしなくてはいけないのか・・・田中麗奈に至っては、築地でのそれと比べて、装飾デザイナーの時の化粧がやたら濃いのにまた失笑・・・ ところで、この手の映画を御覧になられる年齢層の方の一部、特に私の前にお座りだった「3人のオバチャン」のマナーには閉口・・・始まってから入ってくる時点でかなり迷惑なのに、画面を横切る時も終始しゃべっている上、なかなか席に付かず、付いたら付いたで今度は 「もう始まってんの?」 「なあ、もう始まってんの?」 と発したかと思えば、その後のシーン、主人公がプロポーズのために用意した指輪を出すと、まるでその場で横にいて冷やかすように 「あっ♡」 「あっ♡」 って・・・ここはあんたの家か~っ! 思ったことを全部口にするな~! 画面に向かって突っ込み入れるのは家だけにしてくれ~!・・・ その後の比較的ボリュームの大きいシーンでもしゃべり続けてたとさ(昔話ではありません)。「ドリフの大爆笑」の「やらせ笑い」のようなのはしょうがないにしても・・・ある意味、生態観察上は面白くもありましたが。
↑彷徨ってはいませんよ。人気の原作をベースに年一本の出世魚作品へ期待できそう。
連載開始時より愛読していただけに、原作と違うところは気になってしまいます。さの突っ込みはあとにして、映画として無難にまとめて、笑いあり涙ありの人情ものとして無難にまとまっています。寅さんから見続けていた松竹映画のファンとしては、伝統に沿った作りの映画で、台詞回しも寅さんに似ているところがあり、懐かしさを誘われるシーンが多々ありました。 逆に寅さんを知らない、特に普段は洋画ばっかり見ている人には、古くさい作品に見えるかも知れません。まぁ、それでも通常の試写会より活況があったのは、この手の企画がやはり日本人の琴線に触れるところがあるからだろうと思います。 但し松竹ファンから見れば、ベテランの松原監督が引き出す役者の自然な表情はいいとして、人情ドラマのとしてのどこかで感情が爆発するインパクトが弱かったと思います。 ぶつかり合いとしては、寅さんが激しかったし、爆笑という点では、釣りバカのほうが数段面白いです。この作品の無難さが返って印象を弱くしているのではないでしょうか。 シリーズ化に向けて、荒っぽい平井雅を寅さん役に仕立てて暴れさせるとか、もう少し個性を打ち出して欲しいところです。原作では魚のうんちくばかりでなく、水産資源の保護と畜養、そして魚河岸の未来を開くために旬太郎が活躍します。結構環境問題も考えさせるテーマを含んでいますので、その辺をきちんと描いて欲しいと思います。 それでも旬太郎の食いしんぼぶりは、大沢たかおがよく演じていました。サラリーマンの時と、魚河岸にいるときと、魚を食べているときの顔が全然違います。彼自身結構食いんしぼなんではないでしょうか。それにしても続々登場する魚料理は、予想していたけれど参りましたね。なんと言っても、夕食時間に見ていたので、お腹がぐぅ~と鳴りましたよ。 加えて旬太郎が無謀なリストラに怒るときの正義感も凛々しかったです。アレがあるから、旬太郎が突如会社を辞めて魚河岸に飛び込んだのも説得できました。元上司の尊敬している社員を断腸の思いで退職に追い込んだあと、転居先の長野を旬太郎が見舞うところは泣けましたね。元上司と別れたあとの列車のなかで号泣するところなんぞ、旬太郎の人情味のあるところを好演していたと思います。 また英二の思いを寄せる相手の結婚を阻止すべく、市場構内専用の荷台車を公道で激走させるところは、山場としてスリルまで出ていて良かったです。 不満なのが英二の設定。原作では元板前。割烹「天海」で料理・包丁の腕を磨いていたが、酔客とトラブルを起こし、店を追い出されて『魚辰』で働くことになったとされています。だから河岸でも抜群に目利きが立ち、料理の腕とも一流で魚辰の大黒柱となっているのです。2代目の隠し子でぐれて不良になったというアウトローじゃあなんいんですね。英二は魚河岸に隠棲している超一流の料理人でなければならないのです。彼がいるから旬太郎も三代目として商品知識を身につけ、短期間で成長できたのです。 また、英二が明日香と結婚したがっている勘違いについても、引っ張りすぎです。 雅がエリに惚れていることですら、本人たちの告白よりも、周りが感づいてウワサしているような情報と洞察が早い築地のことですから、英二が明日香でなく、千秋に惚れていることくらい、すでにウワサになっていなくてはおかしいですよ。ちょっとシナリオ上のご都合主義が気になりました。 明日香は売れっ子の田中麗奈が演じています。その前に『山桜』を見ていたため、どうしても野江が魚河岸にいるような気になってしまい馴染めませんでした。「犬と私の10の約束」のあかり役とは一転して、気に強い江戸っ子娘を演じていて、それなりに説得力はありました。原作のイメージからすると、もう少し丸くふっくらしていて、優しい人なんで、感じとしては、宮崎あおいの方が本来の明日香に似合っていると思います。 荒川良々が演じる拓也役はぴったりのはまり役でしたね。 大旦那の伊東四朗や、その碁敵の寿司屋の亭主(とりで寿司ではない)に柄本明などヒトクセあるベテランがしっかり脇を固めて、笑いと人情をショウアップさせてくれました。 原作では欠かせないバイプレーヤーであるハイエナ先生や共新ストアーの鮮魚担当横山さんが登場しなかったことが残念です。 それにしても巨大なオープンセットに魚並べて魚河岸を作ってしまったのはすごいです。監修したプロの仲卸がここで商売できると太鼓判を押したほど。さらに築地の全面バックアップで多忙な市場のナマシーンも入っていて臨場感はたっぷりでした。どこまでがオープンセットか全然判定つきません。 こうして第1作はスタートしました。年一本、また来年の初夏には2作目が登場します。 大旦那が旬太郎に目利きを頼んで、三代目となることをテストしたブリ。大旦那の台詞でもブリは出世魚で、をワカシ、イナダ、ワラサ、90cm以上になって初めて一人前のブリといわれます。 そかな出世魚に例えて大きな目で旬太郎の成長を期待したように、われわれ映画ファンも『築地魚河岸三代目』が寅さんに負けないビックシリーズとなることを願って、見守ろうではありませんか。
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