劇場公開日 2007年10月27日

「いままでなかった「楽しいゾンビ映画」です。」ゾンビーノ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5いままでなかった「楽しいゾンビ映画」です。

2008年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 生きたまま人間に食らい付くゾンビの本質は代わらぬままに、欲望を制御する首輪をかけることで、なんとゾンビをペットとして可愛がったり、召使い代わりに使っちゃうといういままでなかった「楽しいゾンビ映画」です。

 当然首輪の機能が停止すると、見境亡く人間を喰っちゃうわけですね。そして喰われた人間もゾンビとして復活するから始末に負えません。

 ところが主人公の少年ティミー一家が購入したゾンビは、チト違っていました。元来魂の抜けたゾンビは無表情なのですが、ファイドと名付けられたゾンビは、少年と友情を結ぶし、ママには恋をします。そして指輪が壊れてもティミーには食らい付かないどころか、助けたりします。人間くさいゾンビだったのですよ。

ファイドがタバコをスパーと吹かしたり、ママを熱く見つめたりするところなんぞ可笑しくて笑えました。

物語の複線としては、ドタバタ喜劇というよりもブラックジョークを噛ませつつ、結構社会的なメッセージも織り込んでいました。
父親と息子の断絶。ゾンビ販売を通じて人間社会も管理しようとする独占企業ゾムコム社の傲慢さなどなど現代社会への皮肉もたっぷりです。

それにしてもゾンビ役は大変。正気ないゾンビの感情を動きだけでちゃんと表現していました。ゾンビを演じたビリー・コリノーという喜劇役者はなかなかの芸達者ですね。

但し、いくら映画でも人を簡単に殺しすぎます。人が殺されても平然と笑っているような映画です。
ティミーをいじめたいじめっ子にファイドをけしかけて、食べさせてしまったり、小学生に父親が平気でピストルを渡したりするのです。
また父親が死んでも、この一家はなんの悲しみも見せませんでした。
どこか人間性もぶっ飛んでいる作品なのです。

ゾンビが人を喰らうシーンもあるので、チョット子供には見せない方がいいでしょう。

流山の小地蔵