劇場公開日 2007年10月27日

「跳べ、カラスたち!」クローズZERO 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5跳べ、カラスたち!

2017年2月17日
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鑑賞方法:DVD/BD

興奮

高橋ヒロシの人気コミックを基にオリジナルストーリーで、鈴蘭制覇を狙う不良たちの抗争を描いた青春アクション。
学生時代、「桐島、部活やめるってよ」で言うと神木くんの位置に居た自分にとって、こういう世界はSFと等しい別世界。
あんな不良だらけの高校とか喧嘩に明け暮れる日々とか全く馴染めないが、何か今回久し振りに見たら結構面白く見れた。

ヤンキー版「仁義なき戦い」とでも言うべき派閥争い。
クライマックスの雨の中の抗争シーンは、さながらヤンキー版「七人の侍」。
日本映画史に残るこれら偉大な名作を例に挙げるのはお門違いかもしれないが、こういう構図はいつだって男心を鷲掴みする。
今回久し振りに見て良かったのが、男たちの生きざまや友情。
夢を追う者。
共にその夢に懸ける者。
夢に付いていく者。
立ちはだかる者。
ヤンキーたちのただの喧嘩映画ぐらいにしか印象に残っていなかったが、何だ何だ、意外とグッとさせるじゃないか!

本作はまた、監督とキャスティングの勝利とも言えよう。
監督に三池崇史を起用した時点で大正解。
この血沸き肉踊り、熱気溢れる世界観は三池にうってつけ。コミック実写も多い三池だが、同じコミック実写化でもやはりこういう作品の演出はまるで水を得た魚のよう。
当時、“イケメンがいっぱいのパラダイス”でイケメン代表格だった小栗旬だが、イケメン役よりこういう男臭い役の方が似合う。10年経った今でも小栗の代表作だろう。
最強の山田孝之、女に弱いが良き仲間となる高橋努、クールビューティーな魅力がこの世界観にぴったりの黒木メイサ他キャラが立っているキャストの中、何と言っても、
やべきょうすけ!
ヤクザの兄貴分なのに子分のパシりに。
粋がっているけど、実際は見かけ倒し。
コメディリリーフである一方、いい歳してまだチンピラ風情でうだつが上がらないが、最後に見せた男気、かつて自分が出来なかった夢と自分の全てを主人公に託し、哀愁人一倍。
助演男優賞級。

それにしても、この映画がもう10年前だとは…!
カラスたちも皆若かった。

近大