劇場公開日 2007年12月1日

「心の再生」ある愛の風景 keitaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5心の再生

2012年4月2日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

スサンネ・ビアの作品は本当に面白い。
いつも登場人物に究極の選択、体験を強いることでドラマを展開する。
いつも優等生で誰にでも寛容な性格の兄と素行が悪く自分勝手に生きてきた弟、正反対な人物を描きその対象性を物語の軸へと昇華する。
サラやミカエルの娘たちと触れあうことで変わっていくヤニックの心、捕虜という立場で生きて帰ることを約束しあった仲間を殺すことを強いられた体験によって変わっていくミカエルの心。
心と心が触れあうことで人は善くもなれるし、逆に壊れていくこともできる。 罪を犯せば直ぐに詫びを入れるような性格だったミカエルは自分が殺してしまった仲間の遺族の元を訪れるが謝ることが出来ない。 消えることの無い罪を背負った人間の心の痛みがひしひしと伝わってくる。
しかし、悲劇のままでは終わらせないところにスサンネ・ビアの性格が垣間見える。
ミカエルが"再生"へ向かう道しるべもサラの"心"によって示される。

ドキュメンタリータッチで描かれた映像は私達が傍観者であることを強く示し過度の感情移入を赦さない。
にもかかわらず、彼女の描く"心の傷"は私達の心の奥底までしっかりと届く。

keita