サウスバウンド(2007)のレビュー・感想・評価
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国民やめよっかな・・・日本が沈没するからではなく・・・
子供目線でこの元過激派の父親を見ると、やっぱりついていけない・・・迷惑親父だ!と感じてしまうけど、大人になってみると、尊敬に値する人物だと思います。実際に元過激派の知人がいるのですが、言動も雰囲気もそっくりだし、主張することは間違ってはいない。ただ、世間に同調することを嫌うので、付き合いにくい面もあったりする。特に仕事で一緒になんかなったりすると・・・ 前半:東京と後半:西表島の2部構成。東京では小六の長男二郎の友人がカツアゲされているエピソードと修学旅行の積立金問題がメインとなっていて、父親一郎(豊川悦司)の性格を小ネタで紹介している。また、母親さくらが人を刺して捕まった事実を知らされ、それが原因で事件が起こる・・・。東京といっても下町浅草なので、なにかと噂が広まり、息苦しささえ感じられる。 後半の西表島では一転して自然がいっぱいで、子役を中心とした俳優たちもいきいきしている。引っ越してきた上原一家はいきなりピンチに立たされる。東京から開発業者がやってきて立ち退きを要求されたのだ。元々誰の土地でもなかった、ある意味神秘的な場所。そこで、父親一郎は元過激派であると同時に、八重山のアカハチの子孫という一面を見せてくれるのだ。 子どものしつけという問題も若干提起されているようにも思われます。だけど、そこには親の生き様をたっぷりと見せ、子どもに判断させるというやり方だけがあった。正義よりも金のために動く大人を批判するにはまだ幼いのだけど、大人になれば理解できるはず。スパルタ教育よりはずっといい。信念を貫き通した一郎の姿を見て「親父、かっこいい。この先はわからないけど・・・」とまで言わせたのだから、たいしたものです。なんだかんだ言っても、修学旅行のエピソードで親父の素晴らしさはよくわかっていたさ~ 原作はいつものごとく読んではいません。それでも、森田芳光監督は原作の良さを上手くまとめあげたのだろうかと疑問に思えてしまう。西表島へ引っ越す動機も中途半端なような気がして、前半部分はエピソードを羅列しただけのダラダラ感がありました。これならば東京パートをもっと削っても良かったんじゃないでしょうか・・・ 【2007年10月映画館にて】
原作のよさが出てない
とか言いながら原作を見ていません。すみません。 私は奥田英朗さんが好きです。 緩く入ってきて、フッと笑わしてくれるところ 普通の物語のようなのに、色んな名言がでてきて、 為になることが書いてあったりするところが 奥田英朗さんです この物語は…映画にするのがとても難しかったんだと思います。 この短時間で、一人一人の個性を出すのが、映像では難しかったはずです。 なので、色んな出来事がサラサラと流れていってしまってます。 原作は、もっと深く、一人一人の個性がきちんと出ていて 読者に納得させる、その世界に入らせることができる素敵な作品だと思います。絶対に。
ドラマっぽいです
そんなに過激でもないしハチャメチャ感もイマイチでした 脇役子供のセリフのヘタさ加減も愛嬌でしょう 終わり方にもうひとつ工夫があってもよいかな これは映画にするより数回に分けたテレビドラマにしたほうが よかったんじゃないかな? 海がきれいだね~
「サヨク」オヤジ丸出しのまんまをトヨエツが演じている
刑事ドラマ『相棒』の水谷豊もイメチェンした当たり役となったけれど、このサウスバンドでの元過激派のパパ役に挑んだトヨエツも実にこれまでの二枚目的なイメージを払拭するユニークなキャラを引き出していました。 トヨエツが演じている主人公は、60年代ならいざ知らず、学生運動のスピリットを20年近く経った今も引っ張っている特異なキャラクター。そのパパが巻き起こす騒動の数々は、アナクロ(時代錯誤)で可笑しかったです。 今日公権力(といっても年金集金人、学校長、警官クラスだが)に純粋に怒って、「ナンセンス」と指さし糾弾する「隠れサヨク」どころか「サヨク」丸出しのまんまをトヨエツが演じているのだから、それを見ているだけで楽しかったです。 ただ物語は、東京編と沖縄編に分かれていて、東京編はあくまで前振りなんだけれど、家族が何で沖縄に移住することになったのか、沖縄編に移行するまでが長かったと思います。 東京編では、主人公のパパの息子がいじめグループの親玉をやっつけることが描かれているのですが、きっと原作者や森田監督もいじめ問題に関心があったのでしょう。 後半の沖縄編では、海と空と自然の美しい南の島へ移っての展開で、美しい西表島の風景だけでも、こういうところで暮らせたらとホッとさせられました。(この後見ためがねのほうが強烈でしたが) ところがですね、このお父さんホッとはされてくれたりしません。 ここでも島を乱開発しようとする業者が引っ越し先の建物を強制収容使用として、それと断固戦い始めます。しかも支援しようとする自然保護団体をよそ者とはねのけて、家族だけで対峙するのです。 父親に引っ張られる家族たちが父の理論が無理だと分かっても、何か説得性があるのを認めて、ついて行く姿を森田は暖かく描いていました。決して深刻にならない描写には好感が持てます。 ラストストーリーはネタバレしませんが、こどもたちを置いたままトンズラするのは、親として無責任だなとは思いました。そんな親だから、別れ際に「みんな、お父さんを見習うな!お父さんは過激だからな」と父親が子供たちに言い渡す言葉が愉快でしたね。 天海は久しぶりにいい芝居をしていましたよ。
笑えないし泣けないし
原作は平明な文体の小説なのに、この映画は各シーンをスポットで切り取った、劇画のような作りになっている。劇画的な非現実性すら感じさせて、とらえどころがない。そもそも子どもの目線で外側から父親像を捉えようとする手法にムリや限界が感じられる。なかなか円滑に映画の「現実」に入って行けないもどかしさ、いらだたしさは、私だけのものではないだろう。別に、映画に「生き方」や「家庭のあり方」を教えてもらうつもりもないが、ただ、そうしたテーマを扱いながら、何一つ訴えかけてくるもののない「ナンセンス」映画、「ナンセンス」だらけの映画である。それならそれで、娯楽に徹すればいいものを、そうしきれていないところが、またもどかしい。 これだけは付記しておくが、中島美嘉の歌はいい。すばらしい。この映画には、もったいない。
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