イースタン・プロミスのレビュー・感想・評価
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イケおじを堪能する作品す
ちょっと前ならヴィゴ
今ならマッツが同じラインのイケおじ枠の人って感じですね。
劇場はヴィゴ様目当てのオバサン軍団が満タンで
凄い熱量の中ポツンと見る羽目になってアウェイ感がめちゃくちゃあって凄い居心地悪かったですね!
この作品で1番印象に残ったのは
サウナの乱闘シーンでヴィゴ様のチン◯◯がモロに一瞬映るんですが オバサマたちが黄色い声で あらあ❤️って言って劇場がザワついたのには爆笑しそうになりましたよ!
あとクローネンバーグ作品にしてはまともで普通な内容だったから逆にビックリしました。
ヒタヒタとロシアマフィア
暗めのマフィア映画ですが、英国臭ただよう正統派のスパイ映画的なテイストです。
終わったあとで、あのグリーンブックのお兄さんだったとは、驚いた。変幻自在ですね、この人。
感心、感心。
ヴィゴの佇まいに惚れる
R15+私はウェルカムでも理髪店を営んでる身内はトラウマになってしまった冒頭の衝撃シーン。フィクションとも思えるが実態は残酷な人身売買や売春とロシアンマフィアが絡む重厚で濃密な100分でした。
とにかくヴィゴの魅力がたっぷり。ただ立っているだけで色気があり絵になる。見所はやはりサウナでの格闘シーンでしょう。ロシア式小刀バトルが最高でBGMもかからず男共の荒い息が響く。
何気にアンナと叔父と母、そこにニコライがテーブル4人で話す場面が緊張感が有りつつも会話にコミカルさも感じて好きだ。
broken promises
ロシア系移民の父を持つイギリス人女性Anna。助産師として働く彼女が、女児を出産後死亡した少女の身元を探る過程で、ロシアンマフィアと接触することになります。
"Eastern"とはイギリスから見た東欧、主にロシアを意味しています(監督談)。登場する"vory v zakone" (thieves-in-law) は実在する組織とのこと。ロシア人だけでなく、チェチェン人にトルコ人と、Londonの闇に根を張る東欧諸国の犯罪組織が描かれています。
"Eastern Promises"を=人身売買と訳しているのは日本語だけのようです。恐らく直接そういった意味はないと思います。"Fry's Turkish Delight"というお菓子の、60's以降の英国版CMは、"Full of eastern promise"という言葉と共に、ちょっと「オトナの」お菓子というイメージで作られています。"Eastern"という言葉に、エキゾチックでミステリアス、危険な甘い香り的な意味合いを込めていたのだと思います。
イギリスに拠点を置くマフィアにとって、東欧の少女達は魅力的な資源。寒々しい東欧の母国で少女達が夢見た、果たされない約束。
主人公Nikolaiの本心はどこにあるのか。どうやって良心を保っているのか。彼の辿った人生は全て身体に彫られたタトゥーにより一目で分かるのに、中身は誰にも分からない。大変魅力的に演じられていました。
最初から最後まで釘付けの作品でした。
追記
本作を生涯ベストとする中東欧系アメリカ人(文学/言語学者の卵)も、タイトルを人身売買という意味では捉えていませんでした。
自分の中でのヒーロー像。
物語は普通に面白いです。自分の正体を隠しただ一人マフィアに潜入して戦う姿がかっこようですね。その理由が、いわゆるきれいごとばかりの正義ではなく、また誰かの復讐のためではなく、むしろそれは己のため。その辺が自分にとって斬新でした。
異次元クローネンバーグ
守られたものは何だろうと考えてみると、細やかな日常の細やかな笑顔だったりするわけです。しかし、そんな細やかさは、ほんのちょっとしたかけ違いで、ぱっくりと開いた裂け目に落ち込んでいってしまう、そんなヒリヒリした危うさを垣間見させてくれる映画でした。
あまりクローネンバーグを観ているわけではないのですが、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』といい、この作品といい、なんだかクローネンバーグがものすごいところに行っているような気がしまう。
ロンドンがあの子をこうした
消化不良であります。
あの席に座っているという事は、つまりボスという事ですよね。
彼が持っていたのは恋にまで発展しないような親切心に近いものだと思います。
だって好意を持つほどの理由が劇中発生しなかったもの。
彼が持ったのは、人を助けようと行動する誠実さに対する共感。
だから熱烈な愛に変わらず、何の進展もなかったのもうなずける。
おっ続編ですかい!?
「いたっ」「痛いっ」上映の間中、隣席の老婦人が呟いていた。いやいや、貴女は無傷だって。喉かっ切られも全裸めった刺しもされてないから、少し黙っておくれ。
しかしまあ、そのように…我が身にはねかえるほどの視覚的痛み、最後まで誰ひとり信用できない緊張感が、全編にみなぎる。
正直、結末は途中で読めてしまう。主人公ヴィゴが半ば盲目的に惹かれるワッツも、運命の女というには存在感不足(美しさとカッコ良さは流石だが)。
それを補って余りあるのが、丁寧な取材に裏打ちされたロシア黒社会と移民の描写、容姿端麗かつ才能豊かな部下であるヴィゴに愛憎半ばするカッセルの怪演、そして何といってもヴィゴ!言うことなし。
既に続編の計画が始動中とか。キャストはヴィゴ以外未定らしい(一体 ワッツ・ヴィゴ・カッセルの三角関係のゆくえは?)
ともかく監督自身、今作はやや未消化と承知で、まだまだ構想を温め中なのだろう。あわせてパーフェクトな傑作になるよう、ぜひとも期待したい。
真夜中は別の顔
イギリスにおけるロシアン・マフィアを描いた本作。
「ギャングスター・ナンバーワン」みたいなものかと思いきや、とんでもなかった。
ストーリーに関わるキャラクターみな、そのキャラが立っており、よくぞこの上映時間でここまで掘り下げたものだと関心。「ギャングスター」がいわゆる衣装でマフィアを語ってたとはまったくの別物。
それぞれでスピンオフ一本作れそうなキャラばかりです。
秀逸なサスペンス、見事な役者たち、おお、そう来たか!という展開、全裸格闘・・・美しい衣装。まあ、見事です。
天使も描けたクローネンバーグの新境地
悪魔的な世界にこだわりをもち続けているクローネンバーグ監督の今回の作品は、ふたたび、ロシアン・マフィアという人の命など何とも思わない悪魔のような世界を描いている。ところがいつもと違ってクローネンバーグ監督は、悪魔の世界の落とし子のような赤ん坊の世話をする助産師の女性という天使を悪魔の世界に登場させるだけでなく、観客に、天使と悪魔の両方の視点を提供するという試みをやってみせていた。クローネンバーグ監督にとっては、ある意味では実験的な手法だったのかもしれないが、その手法によって監督の新境地開拓となったばかりでなく、この作品がクローネンバーグ久々の成功作につながった要因になったように思う。
マフィアの仲間としての証となる気味の悪いタトゥー、「ゴッドファーザー」のような結束力の強い悪のファミリーぶりなど、見るからに悪魔的なロシアン・マフィアばかりにこだわる、いつものクローネンバーグの演出だと、ただでさえ残酷な物語がさらに残酷になって、観客の共感を得られない作品になっていたかもしれない。しかし、ナオミ・ワッツ演じる赤ん坊の世話をする天使のような存在を置くことによって、悪魔の世界の中に優しさが感じられ、しかも天使に肩入れしがちな観客の共感を得られたのは、今までのクローネンバーグにはなかった良さだと思う。クローネンバーグの映画は、いつも独特の悪魔的世界感を描いていて、公開されるたびに興味深く観ているのだが、普通の人間が入り込めない世界に固執しすぎるものが多く、面白いと思える作品は少ない。今回、天使の役割を担うキャラクターを画面に置くことで悪魔的世界を描いた内容が面白くなることがわかったのだから、この作品をステップとなって今後のクローネンバーグの作品にはさらなる大きな期待が望めそうだ。
そして、この作品が見ごたえあるものにしたのは、スタイリッシュで恐ろしい悪魔であるマフィアを演じた、ヴィゴ・モーテンセンとヴァンサン・カッセルの役者としての力量の大きさだ。特に、ヴィゴの迫力ある演技には、上映時間の間、圧倒されつづけてしまった。ヴィゴのこれからにも大いに期待を高めた今回の作品は、映画好きにはとても収穫の多い一本になったと思う。
カッコ良い奴はどんな姿でもカッコ良い!
ビゴ・モーテンセンを「アラトリステ」で観て、
他の彼の出演作品が観たくなってこの作品を観た。
答えは大正解、観て良かった。
出だしからショッキングなシーンが続く。
ロシアンマフィアの殺人手口は残酷だ。
ナイフで喉元をかききってしまう。
それがこのドラマのプロローグ
ビゴ扮するロシアン・マフィアの用心棒は
ボスの息子のお気に入り。
だが、息子は情けないヤクザで、
度胸がなく、肝心な時に何もできなくなる。
特に父親のボスの前に立つと虚勢を張るばかりで、
さらに何もできなくなる。
ボスはそんな情けない息子にいきりたちながらも、
でも、息子が可愛い。
スリリングなストーリーが澱みなく続き
無駄なシーンは一切ない。
特にサウナでの格闘のシーンは壮絶だ。
ヴィゴが一糸まとわぬ姿で二人のやくざとやりあうシーンは
鍛えられた男の迫力がひしひしと伝わってくる。
ちらちらと見えるものの、いやらしさがまるで無い。
それどころじゃないのが、良くわかる。
ストーリーを通して
ヴィゴは髪型をオールバックにしていて
イメージが随分変わっているが
カッコ良い奴はどんな姿でもカッコよいものだ。
どろっとした血が。。。
カナダの奇才デビッド・クローネンバーグ監督の最新作でございます。主演に「ロード・オブ・ザ・リング」のビゴ・モーテンセン(ヒゲそるとこんな顔なのね)、「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ワッツ(すっかりミステリが板につく女優になった)。
クローネンバーグといえば個人的にハエ男を描いた「ザ・フライ」と「デッド・ゾーン」が印象に残ってるのですが、本作を観てるとこの人もすっかり別のレベルにきちゃったなと思いました。スクリプトでなく演出や映像で映画の進行をひっぱれてるんです。夜中の3時に見たにもかかわらず、見入っちゃいました。
舞台はイギリス・ロンドン。数奇な運命の元にうまれた一人の赤ちゃんをきっかけに、それまで交錯することのなかった世の中の光と闇に住む人々が交錯していきます。監督の人物造詣のうまさを通して、遠くにある国で起きた悲劇やらもじわじわと観る人の想像力に浮き彫りになってくる。この人の手法は、ほんと地に足がついてます。
CGやお金なんかを使わないからこそ、想像力は豊かになるものなんでしょう。
暴力描写少ないですが、キツイです。ざくっ、どろっときます。ですので、血に弱い人は気をつけてね。
おぞましい
冒頭からショッキングなシーンがあり、以後多々ある痛いシーンはナイフだけのところがロシアンマフィアの残虐さをリアルに再現しホラーチックでもある。
一方でプロットラインは割りと浅い。しかしヴィゴの作品への入れ込み様は凄まじいもので見事で、また怖い。監督のファンなら兎も角誰にでも薦められる作品では
ない。
全てが
出演者や監督で作品を観ると決めるのが多いがこれもその一つ。監督のクローネンバーグだからこそ観たという感じ。
評価はダメでした。ファミリーや裏切りをテーマとしてるがどれも全て中途半端!見せ場のないまま終わってしまった。出演者に魅力もなく、ナオミワッツの役所もイマイチ。でも次のクローネンバーグさんの作品も観てしまうんだろうなぁ~。
ヴィゴ・モーテンセンに痺れる。
簡単に凄いとか、強烈とかいう言葉を使いたくはないけど、
素っ裸での格闘シーンは凄くて、強烈。
ロシア人の少女がロンドンの産婦人科で働いている
アンナ(ナオミ・ワッツ)のもとに運び込まれてくる。
出産を終えた直後に少女は命を落としてしまい、赤ちゃんと日記が残され、
アンナはその日記を手掛かりとして少女の家族を見つけ出そうとする。
ロシアン・レストランに辿り着き、
オーナーのセミオン(アーミン・ミューラー=スタール)に出会うが、
セミオンはロシアン・マフィアであり、
息子のキリル(ヴァンサン・カッセル)がおり、
そして、運転手のニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)にも出会う。
デビッド・クローネンバーグ監督で
僕がパッと思い出すのはクラッシュぐらいで、
他の作品はあまり知らないけどグロい描写や、
歪んだ変態な世界を作り上げ、破壊や破滅をイメージする。
そんなイメージをリアルな描写に感じさせるけど、
ストレートな分かりやすいバイオレンスを追求した作品になっていて、
観てないけど前作のヒストリー・オブ・バイオレンスと同じなのかな。
ヒストリー・オブ・バイオレンスと同じく、
ヴィゴ・モーテンセンを起用し、その演技に痺れてしまう。
モロに危険という香りが漂っているが、寡黙であり、セミオンの息子、
どうしようもないキリルに仕えて、運転手と言いつつ、
死体の処理も感情がないように淡々とこなし、
しかし、紳士的な男という一面も感じさせ、神秘的な男を作り上げている。
だからこそ、危険を感じつつも、アンナが興味を持つことに、
惹き付けられることに、説得力がある。
表と裏、全く別の世界で生きている2人を日記が引き合わせ、
アンナの生きてきた真裏のような暴力的な世界の描写が
対比としてリアルに描かれる。実際に死体を扱ったこともないし、
首を掻っ切ったこともないが、これがマフィアだというような、裏切り、
裏切られ、暴力に溢れた世界で、リアルなグロいシーンを挿入し、
相当なリアルさを感じさせ、その辺の美術周りの拘りは、
グロさへの拘りがクローネンバーグらしさなのかな、と思ってしまう。
特にサウナでのヴィゴ・モーテンセンが素っ裸での、
ブラブラさせながらの、格闘シーンは一番の見物で、
相手は武器を持っているが、もちろんニコライは何の武器もなく、
動物の本能を感じさせるような大立ち回りに圧倒される。
それにしてもあいつらは、サウナの前も無防備な状態で襲っていたし、
卑怯すぎて、そこもリアル。
当然アカデミー賞主演男優賞のノミネートは素っ裸での格闘だけでなく、
なまりの強い英語だったり、暴力だけでなく優しさも感じさせるような、
悲哀に満ちた表情だったり、見事ななりきり具合があったからでしょう。
ヴァンサン・カッセルのダメ息子ぶりも面白いし、
ナオミ・ワッツは感情移入しやすく、他の脇役たちも見事と言いたくなる。
ストレートな話運びに、アイツとアイツでくっ付いちゃえばいいのに、
などと思ってしまったが、
売春や人身売買というものが確かにあるんだと感じさせ、
裏の世界を目撃したようで、アンナに共感して、恐ろしさも感じた。
★サウナと黄金★
D・クローネンバーグ監督とV・モーテンセンが再びタッグ!
と聞けばもちろん観たくなるのは当然。ただこれと比べると…
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」は実に観やすかったな^^;
いやもう、最初から喉をスパッ★とかねー。こういうの苦手でx
手に力が入りっぱなしでしたけれど、ロシアンマフィアの生態を
見事に体現しているそうです。ヴィゴは、かなり研究したらしい。
とにかく中盤までは、カッコいいけど怖い、怖いよぉ!の連続で
ずーっとこのままいくんかいな…と手に汗握りまくりでした。。
で!中盤以降。
まずは★見せ場★があるんですけどね、ヴィゴの^^;
(エエ。もちろん見ましたよー!バッチリでぇす。なんちて)
ここからの展開がいいです~!とある映画とソックリですけど?
あーそうだったのか。っていう種明かしがラストにあるのです。
いやー面白い。よく出来ています。まさに興奮のるつぼだ。
観終わってから、かなりの余韻に浸れて語りがいのある作品。
なので、じっくりと丹念に、ヴィゴを観賞していきましょう…!
で、他のキャストも皆さん素晴らしいです。雰囲気アリアリ^^;
マフィアの皆さんは本物志向で(爆)俳優には見えないし、
警部やら、ヒロインの家族までもが、皆さんそれっぽい…(汗)
バイクも見事なもんです。乗りこなすN・ワッツも大したもん♪
V・カッセルの独りバカ野郎役なんて、愚の骨頂なほど絶妙!
たいていボスの息子って、あーいう体たらくなんですよね(爆)
なんかもう、ヴィゴがモテモテ(男女共に)なもんですから~^^;
しかし…。
この「イースタン・プロミス」とは何ぞや。と思ったら、
なんと人身売買のことなんだそうですxxやっぱ怖いじゃん!
でもそう考えると、この題名から内容、雰囲気に至るまで、
手抜きのないクローネンバーグ節が炸裂していたことで、
怖い!だけの感想が、かなりの重厚感を増すから不思議★
とにかくスゴイですよ!それしか言えないな。さすが王です。
(でも自分の日記を訳されるなんて、私はイヤですけどねぇ^^;)
「I am フル○ン」も登場の、とにかく「イタ~イ」映画
<ストーリー>
助産師のアンナの病院に、瀕死の状態で妊娠した少女が運ばれてきた。彼女は助からず、何とか生きて取り出された赤ん坊が残される。少女のカバンの中には日記があり、その中にロシアン・レストランのカードが挟んであった。アンナはそのレストランを訪れるが、少女の身元に繋がるような手掛かりは見つからない。しかしそこの店主が、ロシア語で書かれたその日記を翻訳することを申し出てくれる。
<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
冒頭からいきなりの「痛すぎる」バイオレンス・シーン。その後も出てくる暴力シーンはいちいち肉感的で「痛い」。ストーリーは結構平凡ですが、この「痛さ」だけでも一見の価値があります。
前作じゃなくて、こちらに「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のタイトル合っているような・・・
【ぐだぐだ独り言詳細】
とにかく「痛い」です。今までにもこの程度の暴力シーンは観てきたような気はしますが、
最近はホラー映画でも直接的シーンを避けることも多く、
かなりしっかり、ゆっくり見せていることもあるのか、
「痛さ」が倍増してます。擬音でいうなら、
「ギギギギ・・・」
って感じ?(わからんわ・・・)
そして話題の「I am フル○ン」(by うた魂♪)シーンは・・・ヴィゴ・モーテンセン、頑張ってます・・・
ストーリーはいたって平凡。途中で読めちゃいますし、かなり「残念」かも。デヴィッド・クローネンバーグって、私の中では
「スキャナーズ」(未見)
「ヴィデオドローム」(未見)
「デッドゾーン」(未見)
「ザ・フライ」
「戦慄の絆」(未見)
「裸のランチ」
「クラッシュ」(未見。オスカーを獲った群像劇とは別物)
「スパイダー」(未見)
等の、独特で異質なストーリーのイメージでしたが、今作と前作はとてもノーマルな展開で、最近の傾向なのか、単なる私のイメージなのか、とにかく今作に関しても取り立てて書くことはありません。
この映画は一にも二にも「痛さ」を体感する作品です。結構、
「来る、来る、来た~(by 青島刑事それとも山本高広?)!)
って感じで、バレバレだけど「痛い」・・・
痛い、、、。
観ていて貧血を起こすかと思うくらい、ズバズバ斬られるシーンが何度かありました。ヴィゴ演じるニコライが全裸で殺しあうシーンも、フルヌードだということを意識させないほど迫真の演技で、これもまた痛い。
私は、バンバン撃ち合うよりも刃物で切り付けあう方が生々しく感じられ、苦手なので、キツイシーンも多々ありました。
しかしながら一番痛いのは、ニコライのサイボーグのような残忍さのなかに垣間見える、秘めた優しさや愛情です。アンナや赤ん坊や娼婦など命あるものへの深い思いがあるのに、愛することを選ばない無限に続く孤独がとても切なく、胸が痛みました。
悲惨な証跡を日記に残し、14歳で死んだ少女は、すべてを捨てたニコライ自身の少年時代と重なり、上り詰めていく彼の孤独を支え続けていくのだと思います。
ヴィゴ・モーテンセンのフリチンの演技、クローネンバーグ監督の職人技が光るもラストに不満。
ロードオブリングのアラゴルンがスクリーンに帰ってきました!
『イースタン・プロミス』の主演ヴィゴ・モーテンセンは本作で、本年度のアカデミー主演にノミネートされた作品で、その抑制のなかに人間味を漂わせる演技は、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のダニエル・デイ=ルイスと甲乙つけがたいものでした。間違いなくクローネンバーグが新境地を拓いたものといえます。
アラゴルン役のモーテンセンもそうだったけれど、彼の演じるのは役はどれもクール。今回は、そのくせ人助けしてしまうという暖かみも併せ持つという二面性のキャラなんです。
本作の魅力の一番に来るものといえば、モーテンセンの隠された一面が遺憾なく発揮されているということです。
彼の役どころはロンドンに巣くう悪名高きロシアマフィアの組織「法の泥棒」の運転手。誰もが強面を連想するけれど、スクリーンの彼は、ボスの命令に背き、逃がしたり、情報を教えたり、結構人に優しい面を見せます。こいつマフィアにしてはなんかヘンな奴だなと思いきや、やはり裏がありました。その辺の複雑な心理描写を違和感なく表現しているモーテンセンはアカデミー主演にノミネートされるだけの価値ある役者であると思えましたね。
この作品のタイトルは、英国における東欧組織による人身売買契約のことを指します。サウナやマッサージ・パーラーで体を売る約7,000人の娼婦、うち8割の女性は東欧、バルト海沿岸諸国の出身であるとか。そこには東欧の暴力組織が介在しています。英国地元の暴力組織へと商品のように売られる「性の奴隷」の存在を描いているという点で、本質は社会派なのかも知れません。
この作品でも、半ば強制的にウクライナから連れてこされて、薬を打たれたうえレイプされ、あげくの上放り出されて、病院に搬送。子供を生んで息を引き取ってしまう僅か14歳の少女の存在が重く横たわります。
先進国イギリスの首都でもこんな『人心売買』が横行しているんだよ、きれい事では済まされないよともいいだけなショッキングなシーンが続きました。脚本を担当したスタッフは実際に、犯罪者に会うなどリサーチ。ロンドンの裏社会の現実はあまりにもグロテスクで凄まじいものだったそうです。郊外の街角で、当然のように奴隷制が敷かれているのだとか。
その奴隷のひとりとして少女の存在を伏線とし、ロンドンの「闇の権力」ともいうべき、ロシアマフィアの残虐非道な所業をリアルに描くバイオレンス作品となっています。
とにかく連中は人を殺すことを何とも思っていません、たとえ仲間でも、気にくわないと殺してしまいます。
問題は殺しの表現がえぐいこと!
冒頭の仲間のマフィアを殺すシーンでは、床屋で突然のどをかききるシーンかあって、この作品は半端な覚悟で見られないなと示しました。
そして、殺した死体を冷凍にしたあげく、モーテンセン演じるニコライが身元をばれない処理をして河に流します。
この処理というのが、死体の歯を抜き、指を切り落とすこと。これが実にリアルで、見るに耐えられませんでした。この作品、このあとの殺しのシーンは何故かピストルでなくナイフなんです。傷跡も生々しく、剔られていく傷跡に絶句の連続でした。ホントに痛いというほかないシーンが多かったですね。赤ん坊まで殺そうとしたのですから。
特に、ニコライが裏切られて、サウナで全裸で暗殺者と素手で戦うところは、ニコライが負う傷跡が生々しく、緊張の連続でした。ちなみにモーテンセンはフリチンで文字通り体を張って熱演しています。局所も一部見えていました(^^ゞ
そんなおぞましいストーリーに救いをもたらすのがナオミ・ワッツが演じる助産婦のアンナでした。
オープニングでは、ドラックストアでひとりの少女が下半身を血に染めて倒れるところから始まります。少女は、病院に運ばれますが、女の子とを産んだあとに息を引き取ってしまいます。その手術に立ち会ったのがアンナでした。
アンナは少女の所持品のバックから日記を見つけ、赤ん坊のために少女の身元を割り出そうとします。日記には少女の名前とロシアの故郷のことが記された一枚のカードが挟まれていました。「トランスシベリアン」という名前のロシアン・レストランのカードを頼りに、アンナはその店を訪ねることに。
店のオーナーは、少女のことは知らないが、日記があるなら翻訳してあげようと提案します。そのレストランの前でアンナはニコライと出会います。
この出会いが運命的であったことは映画の展開上で分かっていきます。
アンナは何とか赤ちゃんの身元を調べるなど尽力します。その優しさが唯一この作品の息抜きになっていました。
けれども赤ちゃんの存在は意外な方向へ展開。その秘密を巡って、アンナの元にもマフィアの手が迫ってきます。
その中でアンナとニコライの微妙な関係の変化も見所となります。ニコライの人間味に惹かれていくアンナがいだいた疑問は、「あなたは何者?」。アンナが思うのも当然でニコライはも余りにマフィアらしくなく、アンナに優し過ぎました。
やがてニコライは、マフィアの正式な構成員として認められ、星の入れ墨を許されます。マフィアにとってタトゥーは、己の生き様を語り、勲章のようななものでした。例えそれが罠であったとしても・・・。
構成員となったニコライは、ボスの息子と結託して、組織の支配権を手中に収めようとします。
果たしてニコライは、計算高いワルなのか、はたまた正義のヒーローの仮の姿か、バイオレンスに満ちたシーンと共にニコライの真の狙いは何かが明らかになることがこの作品のオチになっていました。
全編を通じてクローネンバーグ監督のスタイリッシュでありながら、いぶし銀のような風格のあるた作品です。ロンドンの街並みがまるでロシアの中にいるような錯覚を感じてしまうのも見所の一つ。
ただラスト時間切れのためか、唐突にストーリーを打ち切りで終えたところに多いに不満を感じました。「そりゃあねぇだろう」とね。
それでもヘビーな映画通には、ぜひお勧めしたい作品です。見応えはありますよ。
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