イースタン・プロミスのレビュー・感想・評価
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ストーリーに引き込まれる
雨の日の薬局に一人の少女がずぶ濡れの状態で入ってくる。店員さんは「何か欲しいの?」と優しく声をかける。
しかし少女は何も答えず、少女の股から大量の血が流れる……。
少女は出産の直前だった。
少女はまもなく病院に搬送されるが、死亡。赤ちゃんだけが残された。少女を手術した女性医師の主人公は赤ちゃんを家族・親戚に届けるために少女の身元を探そうとするが、そこで驚くべきことを知ることになる…
という感じで物語が始まるのですが、もうこの時点で心を鷲掴みにされました。
どんでん返しもあり最後の最後まで飽きさせない作りです。
サウナで全裸で戦うシーンがそれが生々しくて最高に怖かったです。ナイフが刺さった跡が実に生々しい。
名作です。おススメ。
イケおじを堪能する作品す
ヴィゴの佇まいに惚れる
broken promises
ロシア系移民の父を持つイギリス人女性Anna。助産師として働く彼女が、女児を出産後死亡した少女の身元を探る過程で、ロシアンマフィアと接触することになります。
"Eastern"とはイギリスから見た東欧、主にロシアを意味しています(監督談)。登場する"vory v zakone" (thieves-in-law) は実在する組織とのこと。ロシア人だけでなく、チェチェン人にトルコ人と、Londonの闇に根を張る東欧諸国の犯罪組織が描かれています。
"Eastern Promises"を=人身売買と訳しているのは日本語だけのようです。恐らく直接そういった意味はないと思います。"Fry's Turkish Delight"というお菓子の、60's以降の英国版CMは、"Full of eastern promise"という言葉と共に、ちょっと「オトナの」お菓子というイメージで作られています。"Eastern"という言葉に、エキゾチックでミステリアス、危険な甘い香り的な意味合いを込めていたのだと思います。
イギリスに拠点を置くマフィアにとって、東欧の少女達は魅力的な資源。寒々しい東欧の母国で少女達が夢見た、果たされない約束。
主人公Nikolaiの本心はどこにあるのか。どうやって良心を保っているのか。彼の辿った人生は全て身体に彫られたタトゥーにより一目で分かるのに、中身は誰にも分からない。大変魅力的に演じられていました。
最初から最後まで釘付けの作品でした。
追記
本作を生涯ベストとする中東欧系アメリカ人(文学/言語学者の卵)も、タイトルを人身売買という意味では捉えていませんでした。
自分の中でのヒーロー像。
異次元クローネンバーグ
ロンドンがあの子をこうした
おっ続編ですかい!?
「いたっ」「痛いっ」上映の間中、隣席の老婦人が呟いていた。いやいや、貴女は無傷だって。喉かっ切られも全裸めった刺しもされてないから、少し黙っておくれ。
しかしまあ、そのように…我が身にはねかえるほどの視覚的痛み、最後まで誰ひとり信用できない緊張感が、全編にみなぎる。
正直、結末は途中で読めてしまう。主人公ヴィゴが半ば盲目的に惹かれるワッツも、運命の女というには存在感不足(美しさとカッコ良さは流石だが)。
それを補って余りあるのが、丁寧な取材に裏打ちされたロシア黒社会と移民の描写、容姿端麗かつ才能豊かな部下であるヴィゴに愛憎半ばするカッセルの怪演、そして何といってもヴィゴ!言うことなし。
既に続編の計画が始動中とか。キャストはヴィゴ以外未定らしい(一体 ワッツ・ヴィゴ・カッセルの三角関係のゆくえは?)
ともかく監督自身、今作はやや未消化と承知で、まだまだ構想を温め中なのだろう。あわせてパーフェクトな傑作になるよう、ぜひとも期待したい。
真夜中は別の顔
天使も描けたクローネンバーグの新境地
悪魔的な世界にこだわりをもち続けているクローネンバーグ監督の今回の作品は、ふたたび、ロシアン・マフィアという人の命など何とも思わない悪魔のような世界を描いている。ところがいつもと違ってクローネンバーグ監督は、悪魔の世界の落とし子のような赤ん坊の世話をする助産師の女性という天使を悪魔の世界に登場させるだけでなく、観客に、天使と悪魔の両方の視点を提供するという試みをやってみせていた。クローネンバーグ監督にとっては、ある意味では実験的な手法だったのかもしれないが、その手法によって監督の新境地開拓となったばかりでなく、この作品がクローネンバーグ久々の成功作につながった要因になったように思う。
マフィアの仲間としての証となる気味の悪いタトゥー、「ゴッドファーザー」のような結束力の強い悪のファミリーぶりなど、見るからに悪魔的なロシアン・マフィアばかりにこだわる、いつものクローネンバーグの演出だと、ただでさえ残酷な物語がさらに残酷になって、観客の共感を得られない作品になっていたかもしれない。しかし、ナオミ・ワッツ演じる赤ん坊の世話をする天使のような存在を置くことによって、悪魔の世界の中に優しさが感じられ、しかも天使に肩入れしがちな観客の共感を得られたのは、今までのクローネンバーグにはなかった良さだと思う。クローネンバーグの映画は、いつも独特の悪魔的世界感を描いていて、公開されるたびに興味深く観ているのだが、普通の人間が入り込めない世界に固執しすぎるものが多く、面白いと思える作品は少ない。今回、天使の役割を担うキャラクターを画面に置くことで悪魔的世界を描いた内容が面白くなることがわかったのだから、この作品をステップとなって今後のクローネンバーグの作品にはさらなる大きな期待が望めそうだ。
そして、この作品が見ごたえあるものにしたのは、スタイリッシュで恐ろしい悪魔であるマフィアを演じた、ヴィゴ・モーテンセンとヴァンサン・カッセルの役者としての力量の大きさだ。特に、ヴィゴの迫力ある演技には、上映時間の間、圧倒されつづけてしまった。ヴィゴのこれからにも大いに期待を高めた今回の作品は、映画好きにはとても収穫の多い一本になったと思う。
カッコ良い奴はどんな姿でもカッコ良い!
ビゴ・モーテンセンを「アラトリステ」で観て、
他の彼の出演作品が観たくなってこの作品を観た。
答えは大正解、観て良かった。
出だしからショッキングなシーンが続く。
ロシアンマフィアの殺人手口は残酷だ。
ナイフで喉元をかききってしまう。
それがこのドラマのプロローグ
ビゴ扮するロシアン・マフィアの用心棒は
ボスの息子のお気に入り。
だが、息子は情けないヤクザで、
度胸がなく、肝心な時に何もできなくなる。
特に父親のボスの前に立つと虚勢を張るばかりで、
さらに何もできなくなる。
ボスはそんな情けない息子にいきりたちながらも、
でも、息子が可愛い。
スリリングなストーリーが澱みなく続き
無駄なシーンは一切ない。
特にサウナでの格闘のシーンは壮絶だ。
ヴィゴが一糸まとわぬ姿で二人のやくざとやりあうシーンは
鍛えられた男の迫力がひしひしと伝わってくる。
ちらちらと見えるものの、いやらしさがまるで無い。
それどころじゃないのが、良くわかる。
ストーリーを通して
ヴィゴは髪型をオールバックにしていて
イメージが随分変わっているが
カッコ良い奴はどんな姿でもカッコよいものだ。
どろっとした血が。。。
カナダの奇才デビッド・クローネンバーグ監督の最新作でございます。主演に「ロード・オブ・ザ・リング」のビゴ・モーテンセン(ヒゲそるとこんな顔なのね)、「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ワッツ(すっかりミステリが板につく女優になった)。
クローネンバーグといえば個人的にハエ男を描いた「ザ・フライ」と「デッド・ゾーン」が印象に残ってるのですが、本作を観てるとこの人もすっかり別のレベルにきちゃったなと思いました。スクリプトでなく演出や映像で映画の進行をひっぱれてるんです。夜中の3時に見たにもかかわらず、見入っちゃいました。
舞台はイギリス・ロンドン。数奇な運命の元にうまれた一人の赤ちゃんをきっかけに、それまで交錯することのなかった世の中の光と闇に住む人々が交錯していきます。監督の人物造詣のうまさを通して、遠くにある国で起きた悲劇やらもじわじわと観る人の想像力に浮き彫りになってくる。この人の手法は、ほんと地に足がついてます。
CGやお金なんかを使わないからこそ、想像力は豊かになるものなんでしょう。
暴力描写少ないですが、キツイです。ざくっ、どろっときます。ですので、血に弱い人は気をつけてね。
おぞましい
全てが
ヴィゴ・モーテンセンに痺れる。
簡単に凄いとか、強烈とかいう言葉を使いたくはないけど、
素っ裸での格闘シーンは凄くて、強烈。
ロシア人の少女がロンドンの産婦人科で働いている
アンナ(ナオミ・ワッツ)のもとに運び込まれてくる。
出産を終えた直後に少女は命を落としてしまい、赤ちゃんと日記が残され、
アンナはその日記を手掛かりとして少女の家族を見つけ出そうとする。
ロシアン・レストランに辿り着き、
オーナーのセミオン(アーミン・ミューラー=スタール)に出会うが、
セミオンはロシアン・マフィアであり、
息子のキリル(ヴァンサン・カッセル)がおり、
そして、運転手のニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)にも出会う。
デビッド・クローネンバーグ監督で
僕がパッと思い出すのはクラッシュぐらいで、
他の作品はあまり知らないけどグロい描写や、
歪んだ変態な世界を作り上げ、破壊や破滅をイメージする。
そんなイメージをリアルな描写に感じさせるけど、
ストレートな分かりやすいバイオレンスを追求した作品になっていて、
観てないけど前作のヒストリー・オブ・バイオレンスと同じなのかな。
ヒストリー・オブ・バイオレンスと同じく、
ヴィゴ・モーテンセンを起用し、その演技に痺れてしまう。
モロに危険という香りが漂っているが、寡黙であり、セミオンの息子、
どうしようもないキリルに仕えて、運転手と言いつつ、
死体の処理も感情がないように淡々とこなし、
しかし、紳士的な男という一面も感じさせ、神秘的な男を作り上げている。
だからこそ、危険を感じつつも、アンナが興味を持つことに、
惹き付けられることに、説得力がある。
表と裏、全く別の世界で生きている2人を日記が引き合わせ、
アンナの生きてきた真裏のような暴力的な世界の描写が
対比としてリアルに描かれる。実際に死体を扱ったこともないし、
首を掻っ切ったこともないが、これがマフィアだというような、裏切り、
裏切られ、暴力に溢れた世界で、リアルなグロいシーンを挿入し、
相当なリアルさを感じさせ、その辺の美術周りの拘りは、
グロさへの拘りがクローネンバーグらしさなのかな、と思ってしまう。
特にサウナでのヴィゴ・モーテンセンが素っ裸での、
ブラブラさせながらの、格闘シーンは一番の見物で、
相手は武器を持っているが、もちろんニコライは何の武器もなく、
動物の本能を感じさせるような大立ち回りに圧倒される。
それにしてもあいつらは、サウナの前も無防備な状態で襲っていたし、
卑怯すぎて、そこもリアル。
当然アカデミー賞主演男優賞のノミネートは素っ裸での格闘だけでなく、
なまりの強い英語だったり、暴力だけでなく優しさも感じさせるような、
悲哀に満ちた表情だったり、見事ななりきり具合があったからでしょう。
ヴァンサン・カッセルのダメ息子ぶりも面白いし、
ナオミ・ワッツは感情移入しやすく、他の脇役たちも見事と言いたくなる。
ストレートな話運びに、アイツとアイツでくっ付いちゃえばいいのに、
などと思ってしまったが、
売春や人身売買というものが確かにあるんだと感じさせ、
裏の世界を目撃したようで、アンナに共感して、恐ろしさも感じた。
★サウナと黄金★
D・クローネンバーグ監督とV・モーテンセンが再びタッグ!
と聞けばもちろん観たくなるのは当然。ただこれと比べると…
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」は実に観やすかったな^^;
いやもう、最初から喉をスパッ★とかねー。こういうの苦手でx
手に力が入りっぱなしでしたけれど、ロシアンマフィアの生態を
見事に体現しているそうです。ヴィゴは、かなり研究したらしい。
とにかく中盤までは、カッコいいけど怖い、怖いよぉ!の連続で
ずーっとこのままいくんかいな…と手に汗握りまくりでした。。
で!中盤以降。
まずは★見せ場★があるんですけどね、ヴィゴの^^;
(エエ。もちろん見ましたよー!バッチリでぇす。なんちて)
ここからの展開がいいです~!とある映画とソックリですけど?
あーそうだったのか。っていう種明かしがラストにあるのです。
いやー面白い。よく出来ています。まさに興奮のるつぼだ。
観終わってから、かなりの余韻に浸れて語りがいのある作品。
なので、じっくりと丹念に、ヴィゴを観賞していきましょう…!
で、他のキャストも皆さん素晴らしいです。雰囲気アリアリ^^;
マフィアの皆さんは本物志向で(爆)俳優には見えないし、
警部やら、ヒロインの家族までもが、皆さんそれっぽい…(汗)
バイクも見事なもんです。乗りこなすN・ワッツも大したもん♪
V・カッセルの独りバカ野郎役なんて、愚の骨頂なほど絶妙!
たいていボスの息子って、あーいう体たらくなんですよね(爆)
なんかもう、ヴィゴがモテモテ(男女共に)なもんですから~^^;
しかし…。
この「イースタン・プロミス」とは何ぞや。と思ったら、
なんと人身売買のことなんだそうですxxやっぱ怖いじゃん!
でもそう考えると、この題名から内容、雰囲気に至るまで、
手抜きのないクローネンバーグ節が炸裂していたことで、
怖い!だけの感想が、かなりの重厚感を増すから不思議★
とにかくスゴイですよ!それしか言えないな。さすが王です。
(でも自分の日記を訳されるなんて、私はイヤですけどねぇ^^;)
「I am フル○ン」も登場の、とにかく「イタ~イ」映画
<ストーリー>
助産師のアンナの病院に、瀕死の状態で妊娠した少女が運ばれてきた。彼女は助からず、何とか生きて取り出された赤ん坊が残される。少女のカバンの中には日記があり、その中にロシアン・レストランのカードが挟んであった。アンナはそのレストランを訪れるが、少女の身元に繋がるような手掛かりは見つからない。しかしそこの店主が、ロシア語で書かれたその日記を翻訳することを申し出てくれる。
<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
冒頭からいきなりの「痛すぎる」バイオレンス・シーン。その後も出てくる暴力シーンはいちいち肉感的で「痛い」。ストーリーは結構平凡ですが、この「痛さ」だけでも一見の価値があります。
前作じゃなくて、こちらに「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のタイトル合っているような・・・
【ぐだぐだ独り言詳細】
とにかく「痛い」です。今までにもこの程度の暴力シーンは観てきたような気はしますが、
最近はホラー映画でも直接的シーンを避けることも多く、
かなりしっかり、ゆっくり見せていることもあるのか、
「痛さ」が倍増してます。擬音でいうなら、
「ギギギギ・・・」
って感じ?(わからんわ・・・)
そして話題の「I am フル○ン」(by うた魂♪)シーンは・・・ヴィゴ・モーテンセン、頑張ってます・・・
ストーリーはいたって平凡。途中で読めちゃいますし、かなり「残念」かも。デヴィッド・クローネンバーグって、私の中では
「スキャナーズ」(未見)
「ヴィデオドローム」(未見)
「デッドゾーン」(未見)
「ザ・フライ」
「戦慄の絆」(未見)
「裸のランチ」
「クラッシュ」(未見。オスカーを獲った群像劇とは別物)
「スパイダー」(未見)
等の、独特で異質なストーリーのイメージでしたが、今作と前作はとてもノーマルな展開で、最近の傾向なのか、単なる私のイメージなのか、とにかく今作に関しても取り立てて書くことはありません。
この映画は一にも二にも「痛さ」を体感する作品です。結構、
「来る、来る、来た~(by 青島刑事それとも山本高広?)!)
って感じで、バレバレだけど「痛い」・・・
痛い、、、。
観ていて貧血を起こすかと思うくらい、ズバズバ斬られるシーンが何度かありました。ヴィゴ演じるニコライが全裸で殺しあうシーンも、フルヌードだということを意識させないほど迫真の演技で、これもまた痛い。
私は、バンバン撃ち合うよりも刃物で切り付けあう方が生々しく感じられ、苦手なので、キツイシーンも多々ありました。
しかしながら一番痛いのは、ニコライのサイボーグのような残忍さのなかに垣間見える、秘めた優しさや愛情です。アンナや赤ん坊や娼婦など命あるものへの深い思いがあるのに、愛することを選ばない無限に続く孤独がとても切なく、胸が痛みました。
悲惨な証跡を日記に残し、14歳で死んだ少女は、すべてを捨てたニコライ自身の少年時代と重なり、上り詰めていく彼の孤独を支え続けていくのだと思います。
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