バイオハザードIII : 映画評論・批評
2007年10月30日更新
2007年11月3日より日比谷スカラ座ほかにてロードショー
ミラ・ジョボビッチの華麗なアクションが楽しめる
アンデッド(ゾンビ)と闘う宿命を負ったヒロイン、アリスのサバイバルを描く「バイオハザード」シリーズは、舞台の変化とアリスの成長をリンクさせ、毎回異なるテイストでミラ・ジョボビッチの華麗なアクションを楽しませてくれる。3作目の今作は、それが最も顕著にステップアップされた快作だ。
1作目は地下研究所。2作目は封鎖された夜の都市。それが今回は、荒廃した大地で逃げ込む安息地はない。闇から一転、人々は降り注ぐ日差しに朽ちた世界で生き延びようともがいている。一方、生き抜いたアリスは、時を経て大きく変わった。悲しみや怒り、覚醒する超能力への不安など複雑な思いを秘めつつ、自分を犠牲にして生存者を救おうとする。アクションの最中、変わらずクールでありながら、微妙な表情を見せて胸を打つ。その変化を、クローン・アリスの出現からケルベロス(ゾンビ犬)との闘いに続く導入部で、前2作をなぞって強調する演出も効果的だ。
この後現れる敵も、多彩。アンデッドの肉をついばんで凶暴化したカラスの大群、アンブレラ社の陰謀で生まれた俊敏なアンデッド、そして人間の愚かさが生み出す最強の敵。アリスの闘い方も相手によって異なり、進化しつつあるアリスの多面性をスリリングに示す。
また、「マッドマックス2」や「死霊のえじき」「エイリアン4」など、数々の映画を連想させる設定や描写がちりばめられ、味わい深い。斬新さにやや欠け、謎が残される点は不満だが、それは「IV」に期待にしよう。
(山口直樹)