自虐の詩 : インタビュー
カルーセル麻紀&遠藤憲一インタビュー
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――カルーセルさんは久しぶりの映画ですが、昔と今の映画界の変化を感じましたか?
カルーセル:「昔の映画って、ワンシーン撮るのに2~3日かけるじゃないですか。で、出来上がって、試写室に行って、修正点を見つけて、撮り直しますよね。でも今映画作りは、パーっと撮ったら、すぐモニターで見られるじゃないですか。でも、私は嫌だから絶対見たくないって断ってましたよ。この前、別の映画を撮り終わったばっかりなんですけど、監督がどこにいるか分からないんですよね。どっか遠くの方にいるんでしょうけど(笑)。あと、あまりにたくさんカメラがあるから、近くのカメラに“なに撮ってんの、コレ”って聞いたら、DVD用のメイキング映像を撮っているって言うんですよ(笑)。だからもう、何が何だかわからなくてね。それと、スタッフも若くなっているから、やっぱり麻雀のこととか知らないんですよね。この映画でも麻雀のシーンがあるんだけど、一索がケジラミで、白無地の牌がぱいぱん(白板)とか分からないでしょう(笑)。だから、麻雀のシーンは出番がなくても現場にいましたよ」
――中谷美紀さんは押しも押されぬスター女優ですが、共演してみて感じたことは?
カルーセル:「美紀ちゃんはとても気を遣ってくれるのよね。さっきの麻雀のシーンも私が夜中まで7~8時間待ちっていうときに一緒にいてくれたり、ロケ撮影で控え室がないときもアパートの表で一緒に待ってくれたり、本当に気を遣ってくれましたね。もちろんスタッフにも気を遣うし、誰かがクランクアップするときもちゃんと挨拶しに行ったりしていて、ああいう女優さん見たことないわ。高峰三枝子さんや草笛光子さんとか、昔の大女優さんたちも私に気を遣ってくれて、可愛がってくれたけど、彼女たちに通じるものがありましたよ」
遠藤:「マンガのキャラと違ってオレはかなり強面なので、中谷さんに怖がられるんじゃないかと心配したんですが、現場でラーメン屋の格好をしているのを見て安心してくれたみたいです。で、撮影が始まって最初の方は“キモカワイイ”とか言ってくれたんですけど、最後の方はただの“キモイ”に変わっていましたね(笑)」
――そして、もう一人の大スター、西田敏行さんとの共演は?
遠藤:「オレは西田さんとコメディをやるのが夢だったんですよ(笑)。中谷さんと2人でメシ食ってるところに西田さんが入ってくるシーンが最初だったと思うんですけど、西田さんが“アンタ、どこの人?”とか言って、掛け合うシーンで、お互い吹き出しちゃってね(笑)。やっぱり生の西田さんの芝居を見ると達人だなあって感じましたよ。西田さんがラーメン屋に差し込む西日を見て“西日、貧乏くせぇーっ”って言うところがあるんですけど、あれは西田さんのアドリブなんですよ(笑)」
カルーセル:「この映画の撮影で久しぶりに会ったんですけど、西やんとは古い付き合いなんですよ。病院のシーンで、待ち時間にみんな玄関のところにいると、ワンカットを撮り終わるごとに西やんが甘いものを食べに来るんですよ。だから、私“西やん、アンタ死ぬよ、その腹でそれ以上食べたら”って言うんだけど、“だって麻紀ちゃん、食べたいんだもん”って駄々こねるんですよ(笑)」
遠藤:「西田さんもカルーセルさんも下ネタで盛り上げてくれるんですよね(笑)。みんな撮影が始まるギリギリまで“ち○○、ま××”と下ネタ言って笑ってましたもん。で、スタートかかったら、今度は“幸江ちゃーん”って泣いてね(笑)。笑ってるんだか、泣いてるんだか分からない状態でしたね」
カルーセル:「だって待ち時間があまりにも長いから、こうでもして紛らわさないと(笑)。しかし、役者さんって大変だなって思いましたよ。私、阿部(寛)さんの頭を見てビックリしちゃってね。あんな頭、普通、出来ませんよ。私だったら他の仕事ありますからって言って断っちゃいますけどね(笑)」