「虎視眈々」3時10分、決断のとき 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
虎視眈々
元となっている「決断の3時10分」(57)も面白いのですが、ジェームズ・マンゴールド監督は17歳のときにオリジナル版を観て、「いつか映画監督になったら再映画化したい」という思いを30年後に実現させたそうです。その監督の熱~い思いがぎっしり詰まっていて、一瞬たりとも目が離せません。物語は、至ってシンプル!ですが、その間にさまざまな仕掛けがあって、見応えが半端ないです。駅馬車襲撃シーンをはじめ、アパッチ族との銃撃戦やクライマックスの市民を巻き込んだ争奪戦など、西部劇ならではの見せ場が盛りだくさん。一方で、お金に困っている牧場主のダン(クリスチャン・ベイル)と凶悪な強盗団のボス、ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が真逆の立場で問われ続ける「君たちはどう生きるか」が物語の底流にあり、1つ1つ噛みしめるように解がとかれていく過程が心に染みます。オリジナル版では単なる子役だったダンの息子ウィリアム(ローガン・ラーマン)が活躍するのも重要で、息子の目線が加わることで主人公らの内面の葛藤がより深く描写されたように思えます。ラストシーン、自らの誇りのために戦い尽くした男たちの決断に、涙があふれました。公開時(07)から18年ぶりに観ましたが、やっぱり面白かったですね。何といっても、ラッセル・クロウがカッコイイ!「神の手」の異名をもつ早撃ちでありながら、聖書をそらんじ鉛筆画を趣味とする一面があり、あっという間に美女を口説き落とすかと思えば、荒くれ者たちも命を賭して忠誠を尽くす懐の大きな人間的魅力。頭脳明晰な彼は、澄んだ瞳で常に何かを虎視眈々と狙っていて、話を聞いてしまったら最後、あっという間に絡めとられてしまいます(笑)。「グラディエーター」(00)のマキシマスに並ぶかっこよさでした!
