「拍子抜け。」インベージョン(2007) いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)
拍子抜け。
原作小説 盗まれた街 の4度目の映画化であるが、
原作はもちろん、過去の映画作品も全く知らないので、どうでもいい。
地球外生命体の侵略モノはいくらでもあるが、この作品が面白いのは
テーマとして人間が人間であることとはどういうことか、
感情がなくなれば世界は平和になるのではないか、感情があるから、
攻撃的な一面があるからテロや紛争がなくならないのではないか、
体を乗っ取り感情をなくしてしまうウイルスは
世界平和には有効ではないか?という皮肉を込めている点である。
ウイルスに体を乗っ取られ、感情をなくした人々の、
同じ様で全く違う人々の異様な感じ、街の様子の異様な感じは、
ゾクゾクとする恐さもあるし、このB級感を漂わせるSFスリラーに、
意外にニコール・キッドマンも嵌まっており、
母親としての強さも感じさせてくれる。
しかし、終盤はホラー映画のようになり、アクション映画になってしまい、
ハリウッドクオリティなハッピーエンドへとなってしまうのに、
一応ラストは気持ち悪さを少しは感じさせるものの、拍子抜けしてしまう。
噂によると監督が途中で変わって撮り直して完成させたとかで、
作品自体が乗っ取られちゃった結果でしょうか。
ウイルスの科学的な説明と共に、滅茶苦茶な感じになってしまい、
主人公と同じ様に、眠くなってしまう作品でした。
ウイルスに乗っ取られた人々も仲間を増やすためには十分に攻撃的で、
感情を失くしても、攻撃的な一面がなくなる訳ではなく、
むしろ残虐な行為は感情がないから、
豊かな想像力がないから行えるのではないか?
人間は感情をなくさずに、進歩することができるであろう、
破滅と破壊を繰り返しても、
ホントはそんな真逆のエンディングであったのであろうか。