「暴力を肯定はしない けれどグラインドハウスにかかるような映画で鬱憤を晴らすぐらいはいいじゃないか それがタランティーノ監督のメッセージです」デス・プルーフ in グラインドハウス あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
暴力を肯定はしない けれどグラインドハウスにかかるような映画で鬱憤を晴らすぐらいはいいじゃないか それがタランティーノ監督のメッセージです
フィルムの傷とかは、この作品はグラインドハウスにかかるような映画にすぎません
だから目くじらたてちゃ駄目です
そういうエキスキューズです
またしてもタランティーノ監督の才能にやられました
いや魂消たというべきでしょう
前半だけなら、チェーンソーをデスプルーフ仕様に置き換えただけのバイオレンスホラー映画です
それが14ヶ月後という暗転を境にして鏡像をみせるのです
鏡が置き直ったその時、画面は白黒からカラーに戻るのです
このものすごい映像センス!
私達の認知世界の外側から物語を操作して一気に逆転させたことを一瞬で理解させるのですから
鏡が置かれた時から全てが逆転しています
長々とガールズトークをする他愛のない女のコは、鏡の両側とも同じ
しかし左右が逆転しているかのように、
スタントマン・マイクとの力関係が逆転しているのです
ガールズトークが他愛が無ければ無いほど、それが長ければ長いほど彼女達の無力さが印象づけられるのです
だから鏡に写った後半の結末に大きなカタルシスが訪れるのです
理不尽な抑圧や差別にさらされている弱者
女性や有色人種やLGBTや、障害や、単に気が弱いだけの人だって含まれます
言いたいことはある
反撃したいのです
暴力を肯定はしない
けれどグラインドハウスにかかるような映画で鬱憤を晴らすぐらいはいいじゃないか
それがタランティーノ監督のメッセージです
つまり本作はグラインドハウスの映画に相応しい、カーアクションに題材を得てそのメッセージを映画にして見せているのです
志の高さは尊敬するしかありません
なるほどイングロリアス・バスターズやジャンゴにつながる作品だと納得しました
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