「被爆すると言うこと。」夕凪の街 桜の国 eigakabosuさんの映画レビュー(感想・評価)
被爆すると言うこと。
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何年か前に夜中テレビで放映されていたのを途中からぼんやり見ていて、みなみさんの最期のシーンが印象に残っていました。毎年夏になるとなんとなく思い出して、もう一度ちゃんと観ようと、今年やっとレンタルできました。夜中に電気も点けず観た悲しいイメージが抜けず、ずっと躊躇していたからです。
観て良かったです。
題材の割にずいぶん可愛くポップに仕上がっていて、登場人物の名前や台詞回し、大袈裟過ぎる音楽、終盤展開に多少不自然な印象は受けましたが、それが無ければ余りに重い内容で観ていて辛くなったと思います。
じわっと染み込むように訴えかけてきます。
原爆を落とされたことに対する静かな憤り、生き残ったことへの罪悪感、幸せになることへのジレンマ、それでも生きていくという力強い希望を、どんな世代の誰が観てもきちんと理解出来るように描かれていました。
生き残った人は、自分だけでなく何代にも渡って、原爆に人生を翻弄され続ける。
「その時死んだ方が幸せだった」と被爆者の方がおっしゃるのを読んだことがあります。
被爆すると言うことは、戦争をすると言うことは、そういう思いをする人を大量生産することに等しい。
戦争を知らない私たちや更に戦争をイメージしにくい時代に生まれた若い世代に、もっと浸透させるべき作品だと思います。
この映画は、エンターテイメントではなく、教材としての役目を果たすものです。
リアリティの程度は私には分かりません。
「ひどいなあ、てっきり私は死なずにすんだ人だと思ってたのに」
このみなみさんの台詞が、突き刺さるように残っていた映画でしたが、やっと観られて良かったです。
平和教育をやめないでほしい。
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