「モダンな古典」怪談 josh lemon lymanさんの映画レビュー(感想・評価)
モダンな古典
中田監督が本当に描きたい恐怖は、人間の愛憎が生む情念だったはず。ところが映画が観客を怖がらせるのは、黒木瞳の顔を覆う恐ろしいメイクや地を這う薄気味の悪い蛇などビジュアルに頼ったものばかり。突如として現れる腕などで観客をビビらせる手法は「リング」と同じだし、艶のある林淳一郎のカメラもモダンすぎて古典の持つ怖さが伝わらない。中田が描きたいはずの情念は最後まで上滑りし、黒木瞳や尾上菊之助の熱演をフイにする。結局は使い古された恐怖演出が映画をリードする出来の悪い現代版ホラーに終わってしまった。
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