腑抜けども、悲しみの愛を見せろのレビュー・感想・評価
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人は秘密を持っている
中心人物・佐藤江梨子は女優の卵で、自分を天才女優と思い込んでいる。
が、実際には大した演技力もなく、泣かず飛ばず。
で実家に戻って来るが、女優への夢を断ち切れない。
この人は何でも他人のせいにし、あり得ないくらい高飛車である。
引きこもりがちの妹が自分をネタに書いた漫画が恥ずかしくて自分はうまく演技できなかったとか言いがかりをつけて陰湿ないじめをする。
また同級生に体を売って金を用立てたり、自分の借金を返すため100万を搾取したり。
腑抜けな兄(妻帯者)と肉体関係を持って束縛し、全力で自分をバックアップせざるを得なくしたり。
そんな中、若手有望俳優との文通を始め、その主役に使いたいと要請される。
喜んでいたが、実はこれは妹(郵便局でバイト)が架空のやり取りをしていただけだったww
さらに自身は再び姉をネタに漫画を書いて東京に送り、連載を依頼されていた。
妹は突然東京へ行くと言って、上記のことを暴露する。
姉は切れて殺そうとするが、結局妹に着いて行く。
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主役の佐藤さんが実にハマってた。ホンマにこんな奴なんちゃうん?って思うくらいに。。
そして無茶苦茶な割に何か憎めない。ニコール・キッドマンが演じる悪女のようだ。
妹の方が一枚上手で結局復讐された上にいい所を持っていかれるが、結局その妹に着いて行く。何故そうしたのかはイマイチよく分からないが、最後までやっぱり自立できず仕舞い。
両親を事故で失ってるのでこういう偏った人物が出来てもおかしくはないが。
まあ伏線が色々張られており、ジョジョに種明かしされていく感じなので、謎解きとして見てもおもしろいかもしれない。
この映画、内容はエゲツないが、全体として重々しい雰囲気は薄い。
頑張りやで天然でお人よしな永作博美(兄の妻)が雰囲気を和ませるからだろう。
こういう女性、好きです。というか誰でも好きだろう。ナイス演技力w
コメディに振り切った方がよかった?
…というのは素人考えでげしょうか。
舞台出身の方の作品、ないし、舞台作品を映画化したものって、必ずと言っていいほど「キーフレーズになる台詞」があると思うんだけど(『欲望という名の電車』あたりを使って例を引きたいけど、ネタバレになるので言えない、、)
この映画の場合は「お姉ちゃんは自分の面白さに全然気付いてない!」と、あともう一つぐらいあったかな。…が、そのキーフレーズにあたるんではないかと思うんです。
で、それらのキーフレーズを活かすんだったら、全体を思いきってコメディにしてしまった方がよかったのでは?と。一時期のクドカンみたいな。
でもまぁ、そこは本谷有希子さん(と彼女のファン)の好みなんで。何とも言えないっすね。
佐津川愛美さん。姉をネタにしたいという欲望を抑えきれない、小憎たらしさと愛らしさが同居した感じがいいですね。サトエリもいいですし。「姉妹の確執(ちょっと偏ってるけど)」っていうのは、テーマとしてけっこう新しかった気がします。
ただ、それ以外が、、 ちょっとセックスに逃げすぎな気がする。(永瀬→永作の)DV、不倫、性的放埒といろいろ盛り込まれてはいるんだけど、描きっぱなしでオチてない。 ただ、カゲキなだけ。
と、こき下ろしたようだけど、嫌いな世界ではないんです(DVはちょっと見るに耐えないけど)。姉妹ってけっこう、独特なんですよね。一番近くて一番遠い同性です(いや、、人によるか(笑))
「お姉ちゃんは自分の面白さに気づいてない!!!」
「桐島、部活やめるってよ」がかなり面白かったので、吉田大八監督作品を全部見てしまうことを決意。その一作品目。
いや~面白かった!!これが1作品目!?これはこの後の作品が気になります!
クライマックスの妹・清深の大逆転劇は「桐島」の屋上のシーンを彷彿とさせました。宇多丸さんも似たようなことを言っていましたが、これは吉田大八監督の作風なのかもしれません。姉の文通相手(仮想)の映画監督、たぶん吉田監督が嫌いなタイプの監督ですよね!笑なんかディスリが見られましたよ!笑笑
さて、クライマックスで清深が叫ぶセリフ。「お姉ちゃんは自分の面白さがわかってない!」これはすごく心に来ました。これ、多分、観客にも向けられたメッセージですよね。姉・澄伽は自分には女優としての才能、さらにいうと主役級の女優の才能があると思っている。だけど、たぶんそうじゃない。姉が唯一出たドラマの役は道端で鍋で殴られて殺される役。いわば脇役。でも、すごくなじんでいたように見えた。それを見た澄伽はすべてを悟る。「そうか、私って『脇役』なんだ…」そして東京行きのバスに乗り込み叫ぶ。「ここから面白くなるんだからね!!!」
太陽がある。太陽から、日差しが降り注ぐ。僕たちはその中に入ることが人生において「かち」だと思ってしまいがちだけど。日差しがあれば必ず日陰もできるわけで。日陰があるからこそ日差しが際立つのであって、2つが互いに補完しっているのだと。だから、どちらが良いとか、そういったものではないと。当たり前のことかもしれませんが、そう思いました。
「桐島」に続いて「腑抜け」でも、僕たち「日陰族」に明るい未来を示してくれる吉田大八監督に僕は一生ついていきます!!!
羊の皮を被った狼、狼の皮を被った羊。
ある意味、裏表のない主人公。そして何か、裏がありそうな妹、兄嫁。
この3人の演技が素晴らしく、絡みあい、踏み台(笑)にしていく様子が面白かったというか、こえーなと。
嵐のような作品でした。
ちょっと弱い
小説版で先に読んでいた。映画祭をやっていて、劇場で観るチャンスがあったので鑑賞。
おもしろい。
うんおもしろい。
んだけど、、
弱い、かな。。
小説を読み、既にストーリーをある程度知っていたからなのか、
期待値が高すぎたからなのか、、
本谷有紀子の舞台は好きだ。
小説もどれも変態ばかり登場し、予想もつかない行動・セリフが飛び出てくるストーリーがとても魅力的。
周りにいてほしくないけど、
いたら絶対避けたいと思うけど、
本谷有紀子が描くキャラクター達はとても「おもしろい」
映画の中では小説版を読んでいたときに感じたキャラクター達のエネルギーが不足しているように思えた。
なんだか悪いことばかり書いてしまったけど、
映画は面白かった。それは間違いない。
やはりそう考えると期待値が高すぎたんだろう。
どこが面白かったのかと聞かれると難しいんだけど、
どのシーンも割と鮮明に頭に残っている。
これはきっと監督の手腕だろうから、1シーン1シーンがどれも魅力的なんだと思っている。
不快な馬鹿女
総合:45点
ストーリー: 40
キャスト: 70
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 70
佐藤江梨子演じる和合澄伽の、自分の力不足を棚に上げて全てを人のせいにする馬鹿丸出しの勘違い女。こういう人にたまに会ったことがありますが、かなりうっとおしくて嫌いです。彼女の演技を見て同じことを感じたので、演技としてはなかなかのものだと思いました。永作博美の演技力も流石でした。
ただし最初から最後までこの我儘勘違いぶりを見せ付けられたため、映画として正直見るのは不快で苦痛でした。そのため私にとって面白い映画とは言えません。この痛々しいまでの勘違い振りを、彼女の妹のように面白い見世物と感じられる人にはいいのでしょうけれど。
物語のほうは展開が前半でほぼ読めてしまった。佐津川愛美演じる和合清深の漫画と謎のバイト先。姉の書く自分勝手な全く返事を書こうという気にさせない手紙とか、やたらと手紙のことに関して時間がとられるといったことから、何がどうなっているのかすぐにからくりがわかってしまいました。だから最後には面白い素材である姉を踏み台にして、妹が羽ばたいていくのだろうなというのも想像出来た。そのため意外性がなかったことも、映画をあまり評価出来ない理由の一つ。どう考えても成功などするはずのない馬鹿女が主人公かと思いきや、実はそれを近くで見つめて物語を紡いでいるもう一人こそが主人公という二面性が、この映画の本来の面白いところだろう。でもそれが早めにわかってしまうとどうもね。
コメディ×ホラーな人間ドラマ
面白かったー。
まさにブラックユーモア。
まずスミカのダサい生き様が見た目にも顕著に表れててすごく面白かったです。
田舎もんをデフォルメしすぎなファッションセンスも最高におかしかったし、
それどこで見つけたのっていう絶妙に変な小物の選び方とか、
オーディションの時のズレたつけまつげとか、
細かい演出がスミカという人間を物語っていて、勘違いが体中から溢れでていましたw
他の登場人物たちもとにかくすごくわかりやすい。
このわかりやすさが壊れた人間たちをしっかりコメディー仕上げにしてくれていました。
内容に関しては、
お兄ちゃんの人物描写がもう少し欲しかったなあ。
なんでああなのか。
あとは萩原くんがカワイソすぎるw
最後に姉妹愛がかいま見えるシーンには救われました。
女は逞しくて恐ろしいです。
役者さんみなさんすごく良かったです。
サトエリちゃんのハマりっぷりは見事。
あのダサさもスタイルの良さ(首から下のバランスはほぼ黄金比!)あってこそ際立つのです。
永作さんはもう奇跡のかわいさ。
さすがの怪演でした。
佐津川さんの陰の狂気にも引き込まれました。
永瀬さんはとにかく方言が自然ですっごく良かったです。
役作りに興味が出て他の作品も観たくなりました。
あと個人的には小森監督がいい味出しすぎててかなりツボでしたw
舞台もみたかったなあ。
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