劇場公開日 2007年6月23日

「「曖昧さ」が根岸吉太郎映画の「醍醐味」!」サイドカーに犬 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「曖昧さ」が根岸吉太郎映画の「醍醐味」!

2025年3月12日
PCから投稿

80年代の巨匠(私はそう思う。)根岸吉太郎監督の作品。

この映画は素直に映画として面白い。根岸監督、やはりうまい。前作「雪に願うこと」は、ちょっと古くささを感じさせたが、今回は、ふわふわ感をうまく映像化している。

この監督は劇的な設定より、日常の機微の積み重ねを丁寧に撮っていくような題材が合っている。

代表作の「遠雷」やこの映画によく似ている「ウホッホ探検隊」や「永遠の1/2」は、日常の機微を丁寧に描いた傑作だったが、「絆」(刑事もの)は中途半端な作品だったし、前作の「雪に願うこと」もそれこそ「願い」が臭かった。

「サイドカーに犬」は、よく映画になったなあと思えるくらい映画にしずらい題材だと思う。小説ならありえるが、映画で成立させるなんて、たいしたものだ。

今は亡き竹内結子は自然でいい。子役の女の子(松本花奈)もよかった。それに古田新太がいい!図太そうに見えてなかなか気が弱そうな、いい加減さがいい。

ラストの女の子がお父さん(古田新太)の胸を頭突きをするシーンは何とも泣けるシーン。父への抗議とも甘えとも取れるような「この曖昧さ」が根岸吉太郎映画の「醍醐味」だと思う。

どうってことない映画。でも根岸監督らしいいい映画だった。

mac-in
PR U-NEXTで本編を観る