明日、君がいないのレビュー・感想・評価
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社会派青春群像劇
ほんのあらすじだけ見て鑑賞したが、想像していた感動ものとは全く違うので驚いた。(どちらかというと憂鬱になる)
そうきたかあ…
いやこれはすごく純粋な気持ちで作られた映画だわ…
本当に人がこれ以上孤独にならない世界にしようと本気で考えたときに
この作品の影響力はすごいと思う。
あのラストにおそらく誰もが驚くと思うけど、わたしもそうで、
「え!?そっち??」と「うわ…全然見てなかった…」っていう後悔が半々の感情になった。
多分登場人物の5人だけでなく、視聴者も思いっきり彼女のことをスルーしていたと思ってて、五名のことばかり頭にあって脇役の彼女のことは一切考えていなかった。まったく心配とかしていなかった。それは作品の演出上仕方のないことではあるが、しかしこういう形で人の孤独を表現させるのは本当に見事。観客はもうこんな公開するもんかと思うのだ。
最初から私はこの映画の見方を間違っていたんだとラストで気づかされる。ずっと死んだの誰だろと犯人捜し目線で見てしまっていたけど、そうじゃないんだな、きっと。なので、もう一度みようと思う。100分の中にこれだけ複雑な事情や感情が詰め込まれてるってすごいよね本当。たぶん一回目じゃ吸収しきれないよ。
2回目の鑑賞:
なるほど、絶対2回見たほうが面白い映画であった。
めちゃめちゃ伏線ありますやん。1回目では違和感を感じていただけでスルーしていたシーンが完全なる伏線だったと気づかされる。(ゲイの子がルークを見つめるシーンとか、お兄ちゃんの行動とかね)シャッターアイランドを思い出しましたなあ。
観た後あることに気づかされて、
ケリーが自殺したとわかるまでは、ずっと5人の中に自殺者がいると思い込んでいたこと。つまり、5人の誰がそうなってもおかしくない状況だったってこと。これは、あんな多様性のある5人でもそれぞれに死にたくなるほどの理由があって、本当にみんないつ死んでもおかしくない状況の中生きているんだなと思い知らさせるんだよね。普段はどれだけ気丈に振る舞っていたとしてもね。本当に見ていてしんどくなるような苦痛をみんながみんな抱えていて、社会ってそんなもんなんだなってこと。集団って、とくに高校生活なんてまさにそうだよね。キラキラしたものの裏にこんなことがあるんだよ。
あの名前は知らないが、ピアノの曲が流れる感じとか「普通の人々」っぽいなあと思ったりした。
生きるって難しいと思うと辛くなる
現在47歳の私は毎日が速い。アット言う間。
この映画を観て少し若い時の自分を思い出した。
小学生の頃や中学生の頃の眠れぬ夜や授業時間の
長さをその時に悶え苦しんでた悩みを・・
現在も昔も子供の頃学生時代の悩みは変わらない気がする。孤独に強くなることが一番だと私は小学生の頃に思った。しかし異性彼女は欲しい欲望が悩み眠れぬ夜。集団の中の無視とかは気にならないと嘘になるかもだが常にやりたいこと、未来のことを妄想してたら
楽しいから結構大丈夫。その癖は今もなおってない。
人は人だが人が大好き人の観察も大好き。
本読んで、映画観て、アニメ観てたら様々なことに
対応出来るようになっていく気がする47歳。
会話の基本挨拶を大事にしたい。大丈夫元気?も付け加えることで多少は回避出来ることも増えそうな気がしてきた。この映画観て人に優しくなれそう。
この映画色々な人にオススメしたい。そして何年に一回は見直したい作品。良映画であると私は思う。
是非是非見てください。
リアル
気づかない
みんな辛い
誰が自殺するのかと思って観ていたら、全く眼中になかった彼女でした。
てっきり、ちょっとした脇役かと思っていたので拍子抜けでした。
私も彼女に注目しなかったように、他の誰も彼女に注目していませんでした。
相談できる相手や誰からも求められていなかったのがとても辛いことなのだなと感じられる作品でした。
ほんとに辛いのは
友達に紹介されて観て、なんでこんなに重い映画を?と思っていたけど結末を知って納得しました。
自分も友達を亡くしたときに、周りの辛さなんてみえず自分のことばっかり考えていました。そのことでどんどん周りとうまくいかなくなり、そんなときに紹介され観ました。いかに自分が一番辛いと溺れていたかが身にしみて感じました。
作品の中では一人一人問題を抱えていて、自殺をした子が幸せそうに見えたのになぜ?っと、でも自分の意思を伝える相手もいない、周りの人と接する中でうまくいっていない、こういうことも積もっていくと耐えられない寂しさに追いやられるのだと思いました。
最後のインタビューでさえ自分の話でなかったことに、ズっと痛くなりました、
観たあとで思うものが沢山あって、何より同じ19歳でこの作品を作りあげていることや友人を亡くしていることに胸が痛くなりました。
世界観が好きでした
完璧な流れ
この作品、見始めるところから鑑賞後までの流れが素晴らしいと思います。
まず、冒頭に誰かが自殺します。緊張感と共に僕の目は画面に釘付けになりました。そして、「自殺したのは一体誰なんだろう」という点が気になりつつそれ知りたさに、つまりミステリー的な楽しみを持ちつつそのまま6人それぞれのエピソードへ。この6人は各々非常に社会的な悩みを持っています。悩みの範囲は実に広範なので、中盤はそれについて、自分ならどうするか?など色々考えながら見てしまいました。しかしそれだけではないのがこの作品のすごいところで、2ヶ所ほどどんでん返しというか、「マジか…」となるような秘密が仕掛けてあるところがポイント高いです。この秘密があるので何も考えずに見てても面白いんじゃないですか。
これら大方の要素が出揃ったところで「さて、誰が死ぬんだろう」と考え始めます。「こいつは○○だしないな…。じゃあ、こいつ…?いや…」という風に。そうこうしている内にあのオチ。自分で辿り着ければ感動もひとしおですが、大抵の人は気になって結末の意味をググるんじゃないですか?僕もそうでした。そこで監督の素性や結末の意味を知り、心底納得し、なんて計算しつくされた作品なんだと思いました。
内容はあまり気分の良いものではありません。しかし、説教くさいセリフもなしに観客に物語を疑似体験させ、ここまで考えさせる手腕は本当に見事で、これぞ映画的感動だと感じました。内容は気味の良いものではありませんが、心から見て良かった。と思える作品です
この素晴らしき残酷な世界の描き方
総合:85点
ストーリー: 85
キャスト: 75
演出: 90
ビジュアル: 70
音楽: 70
それぞれの登場人物の抱える問題と心の動き。ちょっと均衡がずれただけで何かが崩れそうな、どことなく緊張感のある空気。途中途中にインタビューをはさみ、ドキュメンタリー調に進行していく物語。それぞれの時系列を別個に撮影し、それを後で統合する。
最初はちょっと性描写の多い、今時の少しだらしない若者の苦悩する青春物かと思って見ていた。だが思っていたよりもずっと複雑で深刻な苦悩が描かれていた。若さは時に残酷で、その残酷な世界に生きる六人の高校生の、生々しいまでの演出に圧倒された。手首にはさみを突き刺した瞬間に血が噴出す部分も、恐れることなく鮮明すぎるほどに真っ向から撮影し、いかに鋭い心の痛みを抱えての行動かを訴えてきた。美しい音楽もまた時に悲しく残酷だった。
この作品は、監督が友人を自殺で失ったという実体験から作られた映画だということだ。彼女は自殺するように見えなかった。だが表面上は何もないように思えても、現実には人それぞれが打ち明けられない深刻な悩みを抱えていることがある。自殺しなかった登場人物ですら、自殺してもおかしくないような悩みを抱えていたものがいた。映画の中の最後のインタビューでも言われたように、みんな自分のことで精一杯だった。他人のことなど思いやる余裕なんてなかった。自分以上に不幸なやつなんていなかった。まったく予測出来ていなかったからこそ、その衝撃は逆に大きかったのだろう。
大切な友人なのに、何も気がついてあげられなかった、何もしてあげられなかった。その人に何が起きていたのか、真実はわからない。だけど監督のそのような茫然自失としたその時の過去の実経験の喪失感が、なんとなく映画を通して伝わってきたように感じた。トラウマを背負ったまま、その傷が癒える間もない19歳の若い監督だからこそ、これほどにまで触るのも痛々しいほどの残酷な作品が作れたのではないか。そんな気がした。
卓抜した技巧で青春群像を
オーストラリアの新鋭ムラーリ・タルリ監督が、わずか19才で取り組んだという映画です。
友人を自殺で失い、その半年後に自らも自殺しかけたという実体験を元に、2年の歳月をかけて作り上げたといいます。
「自殺」というモチーフに関心があって観てきました。
6人の高校生のエピソードを、時間と視点を巧みに交錯させながら描いていきます。
インタビューを交えながらの語り口といい、伏線をふんだんに散りばめた構成といい、ダイナミックで流麗なカメラワークといい、とても映画制作が未経験だとは信じられない驚くべき技巧の作品です。
若いエネルギーで作ったというより、卓抜したテクニックで表現されています。
登場人物のうち自殺したのは誰なのかというサスペンスをからめ、舞台はほとんど学校のみという空間で少年たちの内面に迫ります。
同性愛や身体障害という苦悩を抱えた少年、成績優秀で小説や音楽の才能もある少年、女生徒にもてるスポーツマンなど、様々な個性を持った人物たちが互いに係わり合いながら話は展開していきます。
初めから自殺の動機をうかがわせる少年もいますが、何の悩みもないと思われた少年たちも、実は誰にも言えない秘密や葛藤、とんでもない問題などを抱え込んでいることが、次第にあぶり出されてくるのです。
決してあざとくない自然な演出も秀逸でした。
(ただラストシーンだけが、リアリズムに欠ける感があったのが残念です。)
みずみずしくも生々しい青春の苦しみを、鮮烈に見せつけてくれた一作でした。
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