「伝統と辛辣の国イギリスの女王礼賛」クィーン Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
伝統と辛辣の国イギリスの女王礼賛
1997年8月パリに死すダイアナ元皇太子妃の事故の約1週間の英国王室の内幕と、新首相ブレア政治判断をリアルに再現した暴露映画。当時のニュース映像を編集した丁寧な流れ、エリザベス女王の心境の変化、ブレアの取った行為が興味深く描かれる。その根本は、記録映画の伝統を持つイギリス映画と、辛辣な社会批評の言論の自由を尊重するイギリスという国の成熟さの表れ。しかし、国民に絶大の人気を得ていたダイアナの死に直面して、過去にない社会状況に立たされた女王の、格式と伝統を保持しつつ新しい局面に堂々と対処した姿が女王礼賛の主題を明確にする。対してエディンバラ公とブレア夫人の二人の描き方は一方的に批判されているのが欠点。当時のイギリス人の精神的ショックに捧げられた映画的レクイエム。
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