劇場公開日 2007年4月7日

「未知数です」13 ザメッティ あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0未知数です

2009年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

ひさびさのフランス映画でございます。しかし監督はなんとグルジア人。だから、本作は通常のフランス映画とは異なる仕立てとなっております。

内容は、とある家屋修理を依頼された土建屋の若者が、その家庭内の会話を盗み聞きし、近々大金を儲けられるゲームが催されることを知ります。そして、その一家の主が死亡した時に、どさくさにまぎれてそのゲームに参加するためのチケットを盗みます。

そして若者はゲームに参加しますが、それは闇賭博場で、しかも多人数制ロシアンルーレット。さらに若者は賭ける側ではなく、賭けられる側だった。

といった感じの怖い内容なのです。
サスペンスかと言えばそうでもなく、スリラーとも呼べない本作は、鑑賞後、数日間考えていると、実は社会派なのかなと思ったりしました。

こういう、ジャンル分けしにくい作品ができるあたりが、ヨーロッパ映画産業独特の「懐の深さ」なのでしょう。アメリカ映画は、観ていて(ある意味、腹立たしいほどに)観客ターゲットが分かりますから。

格差社会、ゲームの勝者≠人生の勝者、人種格差

こんなテーマが本作にはあるような気がしますが、それでもわたくしはこれ以上、この作品の解釈を進めないでおこうと思いました。というのも、本作全体を通して、なにかそれ以上に根深いものを感じたからです。それは、気どって言うなら、「叫び」のようなものでしょうか。

心の深い所に記憶として留めておけば、いつのまにか、気づかないうちに自分自身に影響を与えている。わたくしの映画体験上、本作はこの類に入ると思いました。

末筆ですが、観る人の想像力を信頼して作品をつくるフランス映画はやっぱりいいですね。

あんゆ~る