「ふたり合わせてひとり分、たくさんの子供たちとたくさんの大人たち」ブラッド・ダイヤモンド myshaさんの映画レビュー(感想・評価)
ふたり合わせてひとり分、たくさんの子供たちとたくさんの大人たち
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えっ真っ向から少年兵出しちゃった…彼らはほっといてもAK撃ってくるんだから撃ち返さなきゃあっという間に主人公死んじゃうし、でも本当は相手は年端も行かぬ子供たちなんだからそれをバンバン撃ち殺すのってどうなんだろう…と心配だった。でもちゃんと道が作られていた。
己の命と利益だけを守ろうとする悪党を核にして、そこに小さな嘘すら嫌がる心正しいパパをぴったり沿わせる。騙し殺し自分だけ儲けたがる主人公と、家族を救うためなら危険を厭わない愛に満ちたサブ主人公でワンセット。
片方は躊躇無く子供を殺すが、もう片方は子を救おうと命懸けで動く。
また少年兵たちは洗脳されておりためらいなく殺し殺されるが、助けようの無い現状を助けたくて記事を書くジャーナリスト、救出された少年兵を癒し育もうとする教師や村人などの大人たちも描かれる。
そして今は少年兵を撃ち殺し活路を開く主人公もかつては暴力によって家族を奪われた小さな男の子であったとの吐露があり、隣人がその痛みを受け止めてくれた事で彼の奥底に封じられていた温かいものが蘇る。
性善説では描き切れないこの世界を物語りながら、それでも希望はやはりあると観客を救ってくれる映画だった。
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