黒い眼のオペラのレビュー・感想・評価
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ツァイ・ミンリャンワールド全開
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昨年の「東京フイルメックス」でこの作品に関して映画関係者が話していた噂を耳にした。
この作品にはモーツァルトに関係する財団が出資していて、実際に「魔笛」の曲も使われてはいるがあまりにもモーツァルトとはかけ離れた内容の為に数千万円の違約金が発生しそうだったのを監督曰わく、「映画に登場する廃墟はモーツァルトの「レクイエム」に対する私なりの解釈です。」と言って乗り切ったのだとか…これが本当ならば凄いですね(笑)
もうツァイ・ミンリャンワールド全開です。
はっきり言ってかなりコアなファンでも戸惑いを隠せない内容でいつもながらに一切の説明は無く、マットレスを運び暑い夜を快適な場所を求めて徘徊しながら男と女・男と男・寝たきりの男と介護する女達の充たされ無い愛の物語が展開されます。
しかしながら“水に纏わる”ツァイ・ミンリャンの作家性溢れる廃墟の建物の中にある水たまりを使用した場面の美しさや、前作の『西瓜』を超える淫靡なシーンに、相変わらずのホモセクシャルを連想させる数々のシーンが後半畳み掛ける様に展開されるのがツァイ・ミンリャンファンには堪らない内容になっていますね。
そしてラストシーンの美しさは筆舌に尽くし難いものがありました。
原題は「一人では眠りたくない」…納得です。
(2007年3月25日【シアター】イメージフォーラム/シアター2)
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