「題材は面白かったのに...」アルゼンチンババア こもねこさんの映画レビュー(感想・評価)
題材は面白かったのに...
母を失った途端、父までも失踪してしまった娘が、けなげに生きようとしているところに、突然アルゼンチンババアと呼ばれる変人ばあさんに父が囚われてることから大きく運命が変わる話。
思春期の女子高生が両親がいないなかでも成長していく姿が美しい。キャストも堀北真希、鈴木京香、役所広司、森下愛子と多彩なのもいい。
ただ、キャストどおりに個性的なキャラクターばかりなのに、映画の中ではじけてないし、生かされていないように見えたのが大きな欠点でした。
では、どうして生かされていないのか。これは私が映画を見つつ感じていたことなのですが、登場人物に物語がないことが、その要因のように思います。
この映画は、どの登場人物が主人公なのか。それは、堀北真希ふんする女子高生の娘ではあるのですが、描く中心は、鈴木京香のアルゼンチンババアか、女子高生の父の役所広司であり、その生き方や人生を女子高生が見て大人への成長の糧とする、というのが、この映画にとって一番いい構成方法だと思ったのですが、その肝心なアルゼンチンババアと父親が描けてない、二人の人生や物語が作品の中になかったのです。
他のキャラも面白い、たとえば森下愛子の叔母さん役なんて、どこかいい加減なのに人に対しての気遣いが繊細、という特徴あるキャラなのに、映画の中で全然生きてこない。
ちょっと登場人物の感情とか心を描くのに、脚本や演出がとらわれすぎてしまったんじゃないでしょうか。正直、期待はずれの出来でした。
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