ステップ・アップのレビュー・感想・評価
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【”夢のために戦え!”今作は、チャニング・テイタムがダンススキルと稀なる運動センスで未来を切り開いた出世作且つ青春ダンスムービーである。】
■貧しい家庭に生まれた落ちこぼれて里親の家で暮らす高校生・タイラー(チャニング・テイタム)。、悪戯で、地元の有名な芸術学校の備品を壊した彼は、その学校での奉仕作業を命じられる。
そこでバレエダンサーのノーラ(ジェナ・ディーワン)と出会い、夢を実現させるためにバレエに打ち込む熱意に初めて触れ、彼女の相方が学校を離れたためにレッスンに付き合ううちに、タイラーもバレエ&ダンスに魅了されていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今や、チャニング・テイタムは大スターの一員であるが、当初はダンサーだった事は有名である。スポーツ万能であり、今で言うブレイクダンスを取り入れたストリートダンスとクラシックバレエを融合させた今作のダンスシーンは見応えがある。
・今作の大ヒット後、チャニング・テイタムはストリップダンサー‼だった経歴を生かした「マジックマイク」シリーズで、更に切れ味の或るダンスに、艶っぽい動作を取り入れたダンスを魅せてくれている。
劇場で観た際には、ウットリしたモノである。
・近年、ブレイクダンスをテーマにした映画が数作、公開されたが(ワン・イーポーの「ブレイキン!」等。)今作は初めてブレイクダンスを華麗に魅せた作品ではないかと思う。
<ラストの、タイラーとノーラを中心にした群舞シーンでの、チャニング・テイタムのダンスは可なり凄い。片手で身体を支えて、床と平行に身体を伸ばしたり、力強いリフトを魅せたり、このシーンだけでも観る価値があるダンス映画だと思います。>
ダンスは確かにカッコいいのだが…
青春ダンス
ラストダンスには心がアツクなります
社会階層の表現がうまい
バレリーナを目指す女の子の家は上流階級。犯罪を繰り返す毎日の中でヒップホップダンスの腕前だけは磨かれている男の子の家は貧困家庭。この二人がそれぞれに属する社会階層の対比と、ジャンルは違えどもお互いの目標に向かっていくひたむきな姿に魅かれ合う姿が物語の柱。
この社会階層の違いや経済格差が、文化のレベルにどれほど影響を及ぼすのかについて映画は饒舌に語っている。
上流階級の家庭では、テーブルにセッティングされた食事を、娘と母親が向かい合って食べる。バレリーナを目指す娘が肥満ではないのは当たり前だが、母親もまた、ダイエットとは無縁の体つきをしている。それに対して、貧困家庭である男の子の家では、兄弟たちがその肥満体をソファに埋めている。一同はソファに横並びに座り、TVを観ながらジャンクフードをほおばるのだ。
食事をする者たちの体の向きは、そのままその場にいる者同士のコミュニケーションのあり方を表している。向かい合って食べる母娘は、母親が娘に対して問いかけをして、娘はその問いから逃げることはできない。一方、皆が一様にTVのほうに顔を向けている場では、相互の問いかけはなく、逃げることの許されない、嫌でも考えぬいて答えを出さなければならないことがないのだ。そのような環境では、子供たちは自分が何をなしたいのか、どうするべきなのかということについて考えるきっかけをつかめない。主人公二人の当初の考え方の相違点が、この食事の風景を通して説明的に描かれている。
そしてこの食事の風景は、貧しいほど摂取カロリーが過剰で、肥満となる傾向が大きく、経済的に豊かな家庭ほど、余分なカロリー摂取はなく、バランスの取れた食生活を送る知性を持ち合わせているということも表している。体格がその人の属する経済階層を表しているということもまた表現している。
こうした表現のおかげで、観客は二人の相違点を自然に理解し、単に個人の性格に還元されないドラマを観ることが出来るのだ。
鑑賞後、このことを娘に話したが理解してくれただろうか?
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