劇場公開日 2007年2月17日

「「石原(慎太郎)都知事が見たら怒るような映画にしようと思った。オリンピックを誘致する前におまえがくたばれってんだ!」」キャプテントキオ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「石原(慎太郎)都知事が見たら怒るような映画にしようと思った。オリンピックを誘致する前におまえがくたばれってんだ!」

2018年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 と、舞台挨拶でほえた泉谷しげるのおかげで興味がわいて、予定ではなかった今作品を観てしまった。ウエンツ瑛士が前面に出ている予告編のおかげで完全にアイドル映画だと思っていたのですが、これは泉谷しげるの映画だった。しかもB級感あふれる近未来世界・新東京。『スワロウテイル』とか『マッドマックス』もしくは『北斗の拳』を安っぽく描いた舞台だと考えれば想像できるだろう。

 20XX年、東京都一円にマグニチュード10の大地震が発生し、復旧困難となった東京都は放棄されるが、廃墟となった東京には退廃と自由を象徴する前衛的文化圏となっていた。といった設定なのですが、その部分には無様なCG映像を諦め、潔く漫画で表したところがエラい。その砂漠化した町を高校生フルタとニッタがライブを観るために旅をする。ニッタ(中尾明慶)はロック大好き少年でフルタ(ウエンツ)は映画好き少年。2人はあっさり追いはぎに全てを奪われるが、アマチュア映画制作集団に救われる・・・

 東京都知事(泉谷しげる)は東京を本土復帰させるためにPR映画を作らせたいが、無法者映画集団にあっさり断られ、バイト感覚で手伝っていたフルタが頭角をあらわし彼の書いた“キャプテントキオ”という脚本に目をつける。映画屋たちの内部でもいざこざがあったためフルタは都知事の要請で映画作りすることになるのだが、放送されたPR映画が自分の編集したものとは全く違っていたのだ。

 基本的にはアナーキーな世界での映画少年とロック少年の友情を中心とした成長物語のようなプロット。フルタとニッタという名前もフリーターとニートといった連想も可能だし、就職や目的意識なども若者へのメッセージとも取れる。それよりもインパクトあるのが東京都知事の気に入らない者をすぐに射殺してしまう狂気と、目的達成のためには手段を選ばない性格。現実の某都知事が行った芸人養成のパフォーマンスや自ら映画作りに精を出すところなんてのもかなり皮肉っている。『俺は、君のためにこそ死ににいく』も公開間近ですが、日本を再武装化したがってる人に反戦を説かれても胡散臭いだけです。

 謎の老人が度々登場するのですが、「チー坊・・・」という懐かしのTV名場面とともに正体を明かす俳優石立鉄夫のサプライズ。これはダンディ坂野の運命よりもビックリしました。等々、書いていると、この映画がすごく良かったように思われますが、所詮はB級、安っぽすぎるし、バナナマン日村が鬱陶しくてしょうがなかった・・・ただ、石原慎太郎を嫌いな人にはオススメできるかも・・・

kossy