「「信用」ほど高くつくものはない」エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「信用」ほど高くつくものはない

2009年7月30日
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

怖い

難しい

エンロンとはアメリカ西部の巨大電力会社です。日本でいうと東京電力が財政破綻するようなことが、アメリカでは起きてしまうからすごいものです。そこで鍵になるのが金融という現代の錬金術。

ITバブルで沸きかえっていたアメリカ経済で、石油や電力の先物取引というデリバティブを使って巨大利益を上げていた会社が、いかに帳簿の粉飾や空売り、インサイダー取引、株価操作、あげくにはロビー活動までして利益を捏造していたかが、実際に内部にいた人間の証言をもとに描かれています。

この時期あたりからアメリカの政治は市場に一層介入しなくなったのだと思いますが、これは人類未踏の領域だったに違いないと思います。だから何が起きてもおかしくない状態だったのでしょうが、それが電力会社だとは日本人の感覚からすると驚きって言葉では済まされません。

わたくしがアメリカの留学生活から帰国してから数年間、デジャブ感覚に何回も陥ったことがありました。それが何かというと、日本で起きていることがアメリカにいた時に見たことばかりだったからです。それ以来、アメリカで起きたことは必ず日本でも起きると思ったものです。エンロンの副社長が「こんな事件はまた起きるわ」と言ったのが印象に残りました。

そういえば今年になってからインドの巨大IT企業が、エンロンと同じことをして倒産しましたね。経済や政治は性悪説を元にして構築しないと、なんでもありな世界になってしまうと、やはり思ったものです。

とても勉強になりました。

あんゆ~る