「ありきたりなスプラッターではなく、まともに面白い」ホステル くめいさんの映画レビュー(感想・評価)
ありきたりなスプラッターではなく、まともに面白い
もともとスプラッターは好きなので、時折耳に入ってくるこの作品は気になっていた。『凄惨を極めた人体破壊描写が云々』との宣伝文句だったが、期待していたほど派手ではない。が、その分さりげないというか、淡々と行為として痛めつけられているというのが際立っている。『テリファー』のようなわざとらしい派手さも良いが、あぁいうのってやはり作り物っぽさが立ってしまうものだし。
前半はエログロのエロの方がずっと続くが、一応登場人物が怪しいムーヴをしたり、極東の島国人としては目新しい文化があったりとで飽きはしなかった。
後半は極端なグロ押し。捕まった登場人物が命からがら逃げ出すシーンになる。
個人的に面白かったのは拘束されたキャラがスペイン語? オランダ語? (おそらく)現地語で助けを請うと、拷問者が動揺してボールギャグを嚙ませるシーン。外国人が高値で取引されているって、言葉がわからないから気兼ねなく拷問できる、っていう……? 経験のない私の想像では、命乞いとか聞けた方がサディスティックな欲求は満たされそうな気なするのだけれど……まぁ、それは想像でしかないので。ともかく、話す言葉で対応が変わるっていうのは考えたことが無かったので印象的でした。
あとラストの…顔をひどく焼かれた女性が、せっかく逃げ出したのに列車に飛び込んでしまうシーン。無事逃げ切ってめでたしめでたしではなく、逃げたところで傷は一生残るというのをここで表したようで良かったです。この作品の深みがでたシーンに思います。
今見たら製作指揮がタランティーノなのね。『こいつが主人公だろう』と思っていたら死んだり、『デス・プルーフ』っていう大好きな映画を思い出しました。