「またホームから飛び込みですか」ホステル kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
またホームから飛び込みですか
当時観た映画、『紀子の食卓』『暗いところで待ち合わせ』『あなたを忘れない』そして本作と飛び込みすぎです。ただでさえ『それでもボクはやってない』を観てから電車には乗りたくないという気持ちになってきてるので、『待合室』や『幸福な食卓』でほのぼのとした駅の風景が打ち消されてしまいそうです。残酷描写は『SAW』シリーズによって免疫ができてしまってるので、この線路へ飛び込むシーンが一番強烈だと感じてしまいました。しかも飛び込むのはやっぱり日本人という設定なんですね・・・
ホラー映画というのは「人間の本性が一番怖い」ことがテーマになってますが、この『ホステル』も例外ではない。「アメリカ人は2万5千ドル」などと、金を払えば自由に人を殺すことができるという設定。金持ちというのは普段の生活がよほど鬱屈しているのか、金さえあれば何でも出来るんだという思い上がりがあるようです。「それなら兵士になって紛争地域に行って来い!」とも言いたくなってしまいますけど、金持ちは逆に殺される可能性のあるところへは絶対に行かないことは定説となっています。
この映画の凝ったところは、前半にホラー映画らしさを感じさせないところでしょうか。女を抱き放題という楽園のようなホステルの噂を耳にしてウキウキ気分のオバカトリオ。一緒に温泉に入れるのなら行ってみたい!と男のスケベ心を刺激して、途中までホラー映画であることすら忘れさせるのです。そして急展開して痛い映像のオンパレード。指なんかを切られるシーンってほんとに痛い・・・次第に感覚も麻痺してしまいそうになりました。
スロバキアの子供たちも怖い存在でしたが、やはり子供の描き方だけは良心が残っていたのか、ちょっと安心しました。というか、エサに釣られただけでした。そしてもう一つ怖かったのは、自分の心。逃げ出すために相手を殺すのは正当防衛であるにしても、「こいつも殺してしまえ!」などと主人公に同化してしまってる残虐な自分に気づきました・・・うわぁぁ。