劇場公開日 2006年10月28日

「相当レベルが高い」ホステル kenMaxさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0相当レベルが高い

2015年9月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

怖い

興奮

まず初めに言っておきたいのは、こういった作品を観て怖いとか痛いとか思う人には向いていません。
例えば"SAW"などは怖さを感じながら観ても楽しめる作品ですが、
この作品に関しては、怖さを感じながら観る作品では無く、完全にそっち側の嗜好がある人が観るべきものです。
そういった意味で誤解を恐れず言ってしまうと、笑いながら楽しく観る作品です。

内容はバックパッカーの男3人組(アメリカ人2人とアイスランド人1人)が快楽を求めならが旅していると、ある男性に出会います。
その男性が言うには、スロバキア(ハンガリーやポーランドの隣り)にあるホステルで最高の体験ができるらしいのです。
非常に興味をそそられた3人は東欧の地に降り立ちます。
ホステルは本当に快楽を求めるにはうってつけの場所でしたが、しばらくしてアイスランド人が消えてしまいます。
そして親友同士であるアメリカ人の1人も消えてしまいます。
残った1人は親友を探すべく奔走し、そしてついに秘密の場所へ足を踏み入れます。
そこに何が待っているのかも知らずに・・・・・。

これは前知識を持たずに観た方が良い作品です。
私は作品名と監督、ソリッドシュチュエーションスリラーの映画だという事は知っていましたが、
ストーリーは全く知りませんでした。
なので、展開が読めずに非常に楽しめました。
事前にある程度知ってしまっていたら星4つぐらいだったと思います。
まだ観ていない人は、あまりレビューなどは読まずに観るべきです。
そういった意味で、この映画のメニュー画面は失敗だと思います。
後ろで作中の色々なシーンが展開されているのですが、ネタバレ気味です。
初めて観る時はすぐに本編を再生してください。

口笛から始まるオープニングは秀逸でした。
まさにこの映画の本質を表現していますし、ある種の期待感を持たせてくれます。
前半の女性相手(セックス)や薬物系の表現が長いという話がありますが、
それはこの映画の本質を理解できていない人の感想です。
この映画は"快楽"を表現しています。
後半から描かれる行為はセックスや薬物と同等かそれ以上の快楽であり、前半でそれを示唆しています。
つまり、目で快楽を楽しみながら観る作品だということです。

通常の作品だと、意味も分からずに痛めつけられ理不尽な要求をされ謎を残して終わっていくというパターンが多いですが、
この作品は痛めつける側をリアルに描いた非常に珍しい作りになっています。
痛めつける理由がハッキリしていますし、獲物を上手く誘導してビジネスとして成り立っています。
また、脱走者が出るという痛めつける側としては最も警戒しなければいけないアクシデントを加え、
そうなった場合どうなるのかという一例を示しています。

イーライ・ロスは痛めつける側の心理を良く理解しています。
恐らく、本人にその嗜好があるのだと思います。
監督の希望で、役者として三池監督が少し出演しています。なるほど、あの人そっち系ですからね。
襲われる女性を日本人にしたのも、日本の作品に感銘を受けているからだと思います。
また、先進国の中でアメリカ人と日本人は価値が高いという表現もあります。
価値というのは高等だとかそういう意味ではなく、金で釣られたりしづらいので罠に嵌め難く、獲物として手に入りづらいという意味です。
これは現実の人身売買にも共通するものです。

この作品は、本当の意味でヤル側の嗜好のある人が観ないと評価は低い作品だと思います。
ヤラれる側に気持ちが行ってしまう人や、ホラー的な恐怖などを求める人が観ると
前半の快楽的なシーンの長さを無駄に感じたり、グロいシーンで気持ち悪いだけと思ったり、
笑えたり面白いはずのシーンを下らないと思ったりしてしまうと思います。
意外と痛めつけるシーンが短いのも、そこが主題ではないからです。
評価がバラけるのはそのためだと思います。

個人的には、非常に良く出来た作品でした。

kenMax