劇場公開日 2006年7月1日

「働かなくても生きていける!!・・・原始的なニート?」ダメジン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0働かなくても生きていける!!・・・原始的なニート?

2020年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 『イン・ザ・プール』や『亀は意外と速く泳ぐ』の三木聡監督の実質的な長編デビュー作。佐藤隆太、緋田康人、温水洋一の3人を中心にダメな人生を送っている“ダメジン”たちの物語なのですが、ダメなりに生き生きしていている様子が羨ましくもあったりします。掘っ立て小屋での共同生活をするホームレス一歩手前のニートといった雰囲気の3人、そして周りの人たちも猫じじい(笹野高史)やゲシル先輩(格闘家の謙吾)、川の中で泳ぎ続けているインバさん(村松利史)といった超個性派が揃っている。

 ヤクザを中心とした暴力的なネタではちょっと引いてしまうものの、全体的には脱力系のギャグが心地よかった。大まかなストーリーとしては、一生働かないで生きていくにはどうすればよいかを考え、それには「インドへ行けばいい」ということになり、その費用をなんとかして捻出しようというもの。バイトをしたって、今まで働いたことがなさそうな彼らには無理。夢に出てきたゴールデンチャイルドから宇宙人(?)を奪って見世物小屋で設けようとするも、売上金をヤクザに奪われてしまったり・・・

 最近では働いても生活が楽にならないワーキングプアの社会問題もありますが、この映画を観る限りでは働かないほうがマシなような気もしてくる。監督が実際にこの映画を企画したのが4年前だったらしいのですが、もしかすると格差社会やワーキングプアの問題をも敏感に察知していたのかもしれません。このような映画がヒットして共感し実践するような人が大勢出てくると困りますが、問題提起するためには必要なことかもしれないのです。勝ち組・負け組などという単純な区分さえ彼らには似つかわしくない。というより、彼らはそんな言葉さえ知らないように思えます。

 彼らはとても楽しそうだったけど、風呂水のコーヒーとか猫焼きなんて食べたくないし、パソコンもできないし映画も観れない生活なんてやっぱりやだっ!

〈2007年1月映画館にて〉

kossy