劇場公開日 2021年4月2日

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「音楽がエモさ爆発」時をかける少女(2006) 昭和ヒヨコッコ砲さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0音楽がエモさ爆発

2024年3月7日
PCから投稿

大層なイケメン2人を相手に野球に興じる快活な少女・真琴。
この子、女の子たちから嫌われてそう…
という現実的なのは置いといて。

浅かでバカな高校生活。
大人になる期限が徐々に迫っているのを感じながらも目を覆い、耳を塞いでいるモラトリアムな少年少女たちが時に誇張して、時に等身大に描かれている。
ノスタルジックな気持ちを掻き立てながら平成という時代の空気感に合わせた爽やかな作品になっていると感じる。
原作小説のミステリアスな雰囲気と比べると驚くべきほど解放的で明度の高さ。
細田守初期作品のアクのないキャラクターデザインと原案のある作品ゆえの一貫性も相まって、どんな人にも観られるアニメ映画の一本だと思う。

物語は物語でエモいのだけど、それよりもこの作品はシンガーソングライター奥華子の壮大なMVとして捉えても差し支えないほどに「変わらないもの」「ガーネット」の魅力が溢れている。
挿入歌もテーマソングも奥華子の歌い込んできた複雑な感情と透明感のあるメロディが遺憾なく発揮されていて、誰もが経験した苦い子供の時分へのノスタルジックな思いが何倍にも膨れ上がる。
この作品をMVとして捉えるなら★★★★★級。

ちなみに私はこの作品を平成を舞台にした時をかける少女の続編ではなく、リブート作品と捉えている。
続編を謳った作品はいくつもあるけど、作者も違うし、時をかける少女の版権ってどうなってるんだろう?

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昭和ヒヨコッコ砲