劇場公開日 2006年6月17日

「正義の矛盾」デスノート 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5正義の矛盾

2016年10月31日
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鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波、映画館

怖い

興奮

知的

新作前に久々に鑑賞。
原作未読で映画しか見てないいつもながらの邪道者だが、このスリリングなハイレベルの頭脳戦はいつ見ても引き込まれる。

自分をマークするFBI捜査官の名を巧みに聞き出し、ノートの特性を活かしてあたかも偶然死のような運命を操る月。その緻密さは例え自分がノートを手に出来たとしても絶対無理。
不可解な死の連続をあらゆる統計から推理し、少しずつ少しずつ絞り出していくL。その推理力にはコナン君もびっくり、何故あんな推理が出来る!?
天才と天才の頭脳に、凡人はただただ唖然。

法で裁けない悪人を憎む気持ちは分かる。
遺族や被害者が苦しんでる時、悪人が高らかに笑ってる姿を想像するだけで腸が煮えくり返る。
だが、独善的な裁きは本当に正義なのか。ましてや、悪人でない者まで葬り始める。
月にとっての正義とは、自分の理想に障害となるものを消す事だけでしかないのだ。
また、Lもキラ逮捕の為なら人のプライバシーや命を厭わない。そうまでしないとこの恐るべき事件は解決出来ない。
どちらの考えも全く分からないでもないが、やり方は間違っているかもしれない。
あからさまにこれが正しい!これが悪い!ではなく、その矛盾を考えさせられる。

演出面や芝居がかった藤原竜也の演技は難ありだが、それらを補う松ケンLの憑依演技。
埋もれがちだが、鹿賀丈史も実は密かに存在感を発揮。
それにしても、死神がリンゴ好きで、あんなにファンキーだとはね(笑)

思えば本作が、コミック実写×前後編の火付け役だったと思う。
二匹目の鰌の企画が相次ぎ、特にSF系の同企画で本作以上のものは未だ無いと記憶している。

近大