劇場公開日 2006年10月28日

「戦争の悲劇を個の視点から描く」父親たちの星条旗 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦争の悲劇を個の視点から描く

2025年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

凄い映画。

映画は、「硫黄島」での日本軍が玉砕した米軍の戦いで、図らずも英雄に祭り上げられてしまった三人の若者の悲劇を淡々と描いていく。

戦争の悲劇を個の視点から描く。共同製作者に名を連ねているスピルバーグが「ミュンヘン」で同じように個の視点からテロリズムの悲劇を描いていたが、個の視点を大切にしている点が、似ている。個対国の関係。とても刺激的。
イデオロギー的な発想でなく、個の痛みや思いを大切にすることから、世界の平和を考える的なものをこの二人の「巨匠」の映画から感じる。

戦争という悪夢が、しっかり観客に伝わり、当時の状況がしっかり押さえられ、尚且つ、生の喜びを感じさせる映画で、素晴しい。

戦争シーンも「プライベートライアン」との比較すると、向こうの方が迫力あるのかもしれないが(向こうはまるでスピルバーグがノリノリで撮ったような映像)、こちらの映画の方がむしろ映画上の構成としてしっかりコントロールされていることにイーストウッドの落ち着きを感じる。残虐シーンもギリギリのラインをしっかり見据えてたように思える。

大変満足の映画だった。

mac-in
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