劇場公開日 2006年10月28日

「不毛な戦争、今もなお」父親たちの星条旗 おまつさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5不毛な戦争、今もなお

2025年2月12日
PCから投稿

 戦争映画と言えばベトナム関係を多く観てきたがこの作品は日本での実際の出来事をベースに制作された作品。決して他人事ではない。この映画は20年近く前に撮影され約80年前の太平洋戦争末期の硫黄島で繰りひろげられた目を覆いたくなるような残酷で生々しい戦闘が描写されている。が、その惨たらしくて不毛な戦争は過去でも歴史でもなく今も世界のいくつかの場所で、現在の出来事として進行している。
 アメリカ映画の戦争モノには登場人物をヒーロー的に扱う場面が多くみられるがこの作品では「戦争に英雄なし」を前提にしたうえで戦争の不条理さを訴え問題を提起しているところが突き刺さる。「我々人間って所詮・・・」何とも言えない無力感に包まれながら、同じ事象を日本側から描いた二部作のもう一つ「硫黄島からの手紙」を観て今更ながら、戦争について深く考えさせられた次第です。

おまつ