「単純で馬鹿な男の本質を付いたスポーツアクションコメディの快作」ロンゲスト・ヤード(1974) Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
単純で馬鹿な男の本質を付いたスポーツアクションコメディの快作
男と男の対決を虚飾なく見栄も無く描いた痛快アクション映画。ロバート・アルドリッチ監督らしい男のスポーツコメディ映画で、映画としても至って単純明快。片や腕力と体力に物を言わせるバート・レイノルズ代表の囚人チームと片や権力と策略に頼るしかない刑務所長のエディ・アルバート率いる看守チームが、刑務内のアメリカンフットボールの試合に没頭し必死になって闘う。世間一般の良識から見れば悪い囚人と彼らを管理する正義の親善スポーツゲームなのだが、アルドリッチ監督の手に掛かっては力尽くの喧嘩になっちゃう豪快さ。何が善で何が悪なのかなんて、まどろっこしいとばかりに、男の価値は強さなのだと言い切る潔さが、この映画の魅力になっている。この面白さは他の監督には求められないもの。アクションスターにして愛嬌のある笑顔が人の良さを滲ますバート・レイノルズの適役にして好演がコメディ映画を盛り上げる。
一歩引いて視れば、単純で馬鹿な男の本質を付いているところがある。それを笑いで吹き飛ばす映画の正直さ。アルドリッチ監督の快心の力作。
1976年 12月1日 池袋文芸坐
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