ロリータ(1962)のレビュー・感想・評価
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泣きながら財産を渡す姿に、何故か男らしさが感じられる
ハンバートが拳銃を持って3年ぶりにロリータと再会した時に、色んな葛藤があったんだろうと思う。
①ロリータを撃って自分も死ぬ。
②ロリータの夫を撃って、ロリータを連れて行く
③財産を渡すことを条件に、ロリータに性暴力を振るう
しかし、ロリータ自身のことを一番大事に想って、泣きながら財産を渡すことを選択する。
ここでバサっと金を置いて、背を向けて手を振りながら颯爽と去るという、カッコ良い終わり方もあると思う。
でも泣きながら、割り切れない思いを無理矢理振り切って、金を渡す姿に真実を感じる。
それに応えるようにロリータもホンネを話す。
「いろいろ勘違いさせて悪かったわ。でも世の中そういうものよ。」
ロリータは小生意気なギャルのようだが、人生設計はしっかりしていて、好きな人と良い人をキッチリ分けていて、結婚相手には良い人を選んでいる。
ハンバートは好きな人どころか、良い人にも入ってなくて、利用される人であるとハッキリ言われた形になっていて、しかもそれが世の中であると諭されたわけである。
昔見た時は、小悪魔的なロリータに振り回されるロリコンおっさんの悲劇の映画だと思ったけど、今見ると普遍的なテーマに見える。
ロリータ的な考え方って割と普通の女性の考え方に近いんじゃないかなと。
この映画を見て、最近話題になった頂き女子りりちゃんが思い浮かんだ。
現在の日本にはロリータを超える女性と1000人以上のハンバートが存在していると。
ハンバート、キッショ!
アメリカは若い。明るすぎる土地。甘いお菓子のような匂いのするロリータに魂を奪われたハンバートの異常性が噴出するにはふさわしい土地だ。
男性に巣くうおぞまししい欲望というものが、当時のハリウッド界には当たり前のようにまかり通っていたのではないか。キューブリックによる秘密の暴露のようだった。
ハンバートは生活の面倒をみる代わりに性的欲望と支配欲を満たそうとする。それを愛と勘違いする身勝手さ。
ピーターセラーズは自らの才能と立場によって夢を与え、そそのかし、商業目的に利用しようとする。
どちらも女性を一人の人間として見ていない。
「老いたロシア」の文豪ナボコフの皮肉に、キューブリックは「若いアメリカ」らしく悪質なユーモアで応えた。
ロリコン親父に成り下がった男の切ない末路
ペディキュアを塗る足のアップから始まる。小説家ハンバートがおしゃべりなテレビ脚本家クィルティを探しだし射殺する。庭で水着で横たわるロリータ(当時14歳)が印象的だが妖艶な説得力があるかと言われると…。妻を殺してしまおうか悩んでると死亡してしまう。ホテルでの朝、補助ベッドで寝るハンと娘ロリータの幸せな会話。ロリータ「ずいぶん騙したけど、物事ってそんなものよ」。クィルティを射殺したハンバート自信は冠状血栓で病死。
意外とコメディ映画!?
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