「道を見失った男」ロスト・ハイウェイ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
道を見失った男
1997年(アメリカ/フランス合作)監督:デイヴィッド・リンチ
いざレビューを書こうとしたら、何も言葉が浮かんできません。
考えてみたら「ツインピークス」にも当時ほとんど関心がなかった。
満足に観たのは「ブルーベルベット」1986年と
「ストレート・ストーリー」1999年
直近で「デューン/砂の惑星」1984年
難解な事で有名なリンチ作品です。
地獄めぐりにしては《楽しい経験をした》と感じる映画でした。
(余韻は心地良い。多分この映画好き)
途中で犯人(夫のフレッド)が別人(修理工のピート)に入れ替わる。
・・・そんな離れ業あり。
死んだブルーネットの妻レネエが、後半、金髪のアリスとして登場する。
2役を演じるのは着衣よりヌードシーンの比率の高いパトリシア・アークエット。
お尻の曲線が美しい。
フレッドの妻レネエの時は上品で大人しいが、夫は浮気を疑っており、
2人の関係は隙間風が吹いている。
一方のアリスは悪女で、ピートをそそのかしてフレディを殺させる。
小道具①・・・VHSのビデオテープ。
…………………………玄関に放置されていて、見ると、1つは玄関先、2つ目は夫婦の寝るベッドを
…………………………真上から撮影したもの。
…………………………3つ目は、フレッドが妻を刺して解体している現場。
アリスはエディ(別名・ディック・ロック)のポルノに出演して以来の愛人。
エディは黒幕でしょう。
(この映画はあらすじを語ることは無意味です。)
なぜなら辻褄が合わないから・・・
前半早くに、
フレッドからピートに変わり退場したビル・プルマンはラスト近くで
再登場します。
ピート=フレッド。
フレッドの若い頃がピート(バルサザール・ゲティ)で、
じゃあ、アリスはレネエの若い頃?双子?
とか考えるのは無意味。
時間軸を意図したか知らないけれど、時間軸はブレブレにブレている。
観客を混乱させる意図なのか?
かも知れないが、これも不明。
しかし後半どんどん面白くなる。
ピートがアリスにそそのかされてフレディ宅に侵入。
揉み合ったピートとフレディ。
フレディがガラスのコーナーテーブルに激突して死亡。
「俺たちが殺した!!」とピート。
「あんたが、でしょ!!」とアリス。
その前後にフレッド再登場。
宿敵エディ/ディック・ロランド(ロバート・ロッジア)を殺す。なぶり殺す。
小道具②小さな小屋(ロッジハウス)
……………最初のほうと、ラスト近くに砂漠の中に現れる。
……………謎の男(ミステリー・マン=ロバート・ブレイク)に会う
……………小屋は、ピートとアリスが盗品を売る故買商の家。
この場所でフレッドはエディを殺す。
ラスト。
黒のベンツで逃げるフレッドに警察のパトカー4、5台が猛追してくる。
このシーン、妻殺しのO・J・シンプソンのテレビ中継されたパトカーの追跡劇にインスパイアされたと、後年デイヴィッド・リンチは語っている。
また犯人の入れ替わりのヒントもシンプソン事件から得たとも語っている。
白塗りのミステリー・マンを演じたロバート・ブレイクは2002月5月、2番目の妻を射殺している。
(フレッドが乗り移ったのか?)
パトカーに追われるフレッドのベンツが砂漠のハイウェイを疾走していく・・・
デヴィッド・ボウイの歌が被さる・・・車はハイウェイを消えていく・・・・
画面にハイウェイが、どこまでも果てしなく、続いている。