ロイ・ビーンのレビュー・感想・評価
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キネマ旬報ベストテン第11位の高評価に戸惑う作品に…
元々この作品を鑑賞したのは、
キネマ旬報ベストテン第11位という高評価、
また、ロイ・ビーンは実在の人物でもあった
ようで、以前観た、
ウィリアム・ワイラー監督の「西部の男」
で“俺が法だ!”的人物として
ロイ・ビーンが登場していたこともあり、
その延長でこの作品を鑑賞した。
この映画、終盤でのエヴァ・ガードナーと
ジャクリーン・ビセットの登場もそうだか、
とにかく驚かされることの多い作品だった。
特に、何が驚きだったかと言うと、
終始マンガチックで、
シリアス劇でもない、コメディでもない、
また、登場人物に対して何の敬意も払わない
ような印象の演出に感じたからに
他ならなかったからだ。
特に、この主人公ロイ・ビーンの人物設定、
独り善がりで、とても共感を得られるような
人物像ではないのだが、
それ故に、例えば、藤沢周平原作の
「たそがれ清兵衛」のラストシーン、
作品を締めるべく、岸惠子のような
ベテランの大女優が登場したが、
この作品では、エヴァ・ガードナー登場
による締めの感動性さえも生まれていない
印象なのだ。
しかも、ディフォルメ感満載で、
なんとも中途半端な活劇にしか感じられない
この作品に対して、
キネ旬で選考委員の2名が満点評価、
結果、総合第11位に押し上げた
選定委員の方々の感覚に大いなる戸惑いも
感じざるを得ない鑑賞となってしまった。
撮影を終えて、ポール・ニューマンは
“撮影は本当に楽しかった”と述べた
とのことだが、
何か、監督も俳優も、自己満足的に終始して
しまったのではないかと思わせるような
出来映えに感じる作品だった。
やっぱり華があるジャクリーンビセット
ポールニューマン扮するロイビーンは銀行を襲いお尋ね者となっていた。さらに初めて人を撃った。
勝手に判事を名乗るなんてね。保安官も適当に決めてまさに無法地帯だね。突然熊を置いていかれてもそりゃあ戸惑うさ。でも良くならされているな。一番の名優は熊だね。終盤出て来たジャクリーンビセットはやっぱり華があるね。
テキサスの黄色いバラ
11月29日(金)NHK・BSにて「ロイビーン」を観賞。
50年前に劇場で観て、DVDも持っているが久しぶりに観た。
ポール・ニューマンの西部劇と言えば「明日に向って撃て」だろうが、この「ロイビーン」のポール・ニューマンも中々なのである。
無法者のロイ・ビーン(ポール・ニューマン)はテキサスの荒涼な町にやって来るが、銀行強盗をした金を狙われて殺されそうになり町のメキシコ人の女マリーに助けられる。ビーンを殺そうとした町の悪人共を皆殺しにして、4人のならず者を保安官に雇用して法の下「テキサスとリリーのために」を合い言葉に町の判事として君臨する。そう、ロイ・ビーンは女優リリー・ラングトリー(エバ・ガードナー)が推しなのだ。酒場兼裁判所の壁にもリリーのポスターが貼られている。あるときやって来たならず者が発砲してリリーのポスターに当たると即射殺される。
保安官に捕らえられた悪人を縛り首にして押収した所持品や金を地元に還元し、町は秩序と富を得て栄えて大きくなって行く。
ビーンはマリーに服を買うが、そのまぶしい姿に「酒場の営業中は着るな」
マリーが「私、音の出る箱が欲しい」「箱?オルゴールか。この曲が良いな」
ビーンは「テキサスの黄色いバラ」を口ずさんでプロポーズ?「あの家は隙間風で寒いから俺と一緒に住め」彼流の精一杯の思いやりとプロポーズの言葉だった。
山からやって来た山親父(ジョン・ヒューストン監督)が熊を残していきビーンとマリーは番犬ならぬ番熊として飼う。熊と一緒にブランコやシーソーに乗って遊ぶビーンとマリー。
ここで流れるアンディ・ウイリアムスの歌う主題歌はアカデミー賞主題歌賞にノミネート(受賞は「ポセイドンアドベンチャー」のモーニング・アフター)。
脚本のジョン・ミリアスは、このシーンに主題歌を流したのが気に入らなかったらしい。
ロイビーンをよく思わない弁護士ガス(ロディ・マクドウォール)がビーンを暗殺しようとするが、殺し屋は番熊にやられる。しかし、熊も撃たれて死んでしまう。
町は発展を続け、鉄道も通る。
マリーが妊娠し出産が迫る頃、リリー・ラングトリーが公演でサンアントニオにやって来る。マリーの後押しもあり、うれしそうにカタログで燕尾服を取り寄せサンアントニオまで嬉々としてリリーの生の舞台を観に行くビーン。バラの花束を抱えて劇場まで行ったがチケットは2日前に完売、劇場にも入れない。控え室に入れてやるという男に騙され有り金を巻き上げられてしまう。結局、リリー・ラングトリーに会う事は出来ない。
「テキサスの黄色いバラ」が入ったオルゴールを土産に町に戻るが女の子を出産したマリーは産後の肥立ちが悪い。オルゴールのこの曲で一緒に踊ろうと言うビーンの腕の中でマリーは息を引き取る。また、ビーンが不在の間にガスが町長に就任していて、もうビーンの思い取りにはさせないという。マリーを失ったビーンは子供を残してどこかへ去ってしまう。
20年が過ぎ、石油も出てガスの支配下に置かれた町はまた血が流れるような町になってしまう。4人の保安官も解任され落ちぶれている。
酒場のバーテン(ネッド・ビーティ)に育てられたビーンの娘ローズ(ジャクリーン・ビセット)はガスに立ち退きを迫られるが、その時馬に乗ったビーンが現れる。ビーンは4人と協力してガスを倒し町に火を放つ。焼かれた町は元の荒涼な町になってしまう。
数年後、ローズは飛行士と結婚していた(この時のローズ夫妻の写真に映っているのが当時ジャクリーン・ビセットの公然のパートナーだったマイケル・サラザン。劇場で観た時は笑ったね、有名だったから。結局二人は結婚しなかった)。ビーンの憧れだった女優リリー・ラングトリーが汽車でやって来る。ロイ・ビーン記念館となった昔の裁判所で、周囲の壁に一杯貼られた自分のポスターを見る。そしてロイ・ビーンが書いた最後のリリー・ラングトリー宛の手紙を読んで微笑むのである。
実在した判事ロイ・ビーンをベースにユニークなキャラクターをコミカルなタッチで描いたが、ラストで上手く収束したかと言うと必ずしもそうでは無い。ポール・ニューマンは良かったのだが、親娘の関係とか、ロイ・ビーンの最後とか、ストーリーの終わらせ方が今ひとつだった。
1974.8.24 大塚名画座で観賞済。
適応できない人生も人生のひとつと鳥肌が立った
・ミス・リリー・ラングトリーが流れるたびにワンハリを思い出した鳥肌が立った。
・冒頭から凄まじい西部のバーの人達が現れて度肝を抜かれた。それを、早々にロイビーンが抹殺した上に、そこに住み始めたのも更に驚いたし、ラストまで関係あって驚いた。
・ロイビーンが傍若無人で、その性格のおかげであの西部に君臨できたのが、後半になりその性格のせいで追いやられるのが切なかった。あれだけ豪胆な振る舞いをしてリリー・ラングトリーの舞台が観られなかったり、楽屋に入れてやるよ詐欺にあったり、奥さんが出産後に亡くなるなど、転げ落ちるように落ちぶれていき、町は元々の土地の持ち主に取られ、仲間も落ちぶれてったのが、本当に寂しくなった。そして、ラストでラングトリー駅に本人が来たのに本人は既に他界しているところにミス・リリー・ラングトリーが流れて、一番の鳥肌が立った。
・様々な状況下で生きるには、自分の頭と身体だけが唯一の武器でそれをどう活かすかが人生なのかもしれない、と思った。加えて、欲しいものを求めても必ず得られるわけでもないし、良かれとした事でどん底に人生を追いつめられる事も自分で決めた事なら、全てを受け入れなければならないんだよな、と思った。
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