「良妻の三条件」レベッカ(1940) everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
良妻の三条件
男を狂わせ
周囲を翻弄し
最期の最後まで”Rebecca”だった前妻。
彼女の何が恐ろしいかって、自分の死後も、残された者がトラウマを抱えて不幸になるか、少なくとも騙されたと知って傷付くことを望んでいることですよね。そこまで計算していない、単に自分勝手だった、とも言い切れませんけど。
ウブなボンボンが金目当ての悪女に騙されたという、Maximの初婚はある意味典型的な構図。
上流階級の身のこなしなど無縁だった若き新妻は、大金持ちと結婚して苦労する。
2人とも結婚を通し、いや、Rebeccaを通し?随分学習して成長することに(^◇^;)。
使用人達は皆、新妻を意味深に見つめMadamと呼び、Mrs. de Winterと言えばRebeccaのこと。ヒロインの心細さがこちらにもヒシヒシと伝わって来ました。
Rebeccaのせいですっかり女性不信となり、愛されているか繰り返し確かめるMaxim。伴侶の愛が自分に向けられているか、それが最も大切だと気付いたようでした。
元来Maximは女性の装いに無関心。
妻の身だしなみに関心があって高価な服をプレゼントする、と言うのはRebeccaが都合良くでっち上げたのでしょう。
Jackが逢引の約束の手紙を見せますけど、それは〈Jackが現場にいた≒(例えばフラれて)犯人である可能性〉も示唆するのに、自殺の動機があるかないかにばかり焦点が行っていました…。社会的地位と、皮肉にもRebeccaの外面と名演によって、ある意味Maximは疑惑から遠のくことができたんですね。前妻が憎ければ、普通跡形も無くさっさと遺品を片付けるだろうに、専属の使用人をそのまま雇用していたせいで生前と同じ状態を保つことになった点も、あたかも相当な未練があるかのようなカモフラージュになりました。
Mrs. Danversが怖すぎる!
戸口で上から下へジロリと見下す仕草は、Mrs. Van Hopperそっくり。
自分だけはRebeccaの全て、真の姿を知っていると信じて優越感に浸っていたのでしょうが、自分も知らない真実があったと知って精神崩壊!心酔していた分、最も騙されていたのはMrs. Danversだったのかも知れません。
黒髪の絶世の美女だというRebecca…。
このイメージばかりは、各自の頭の中だけで妄想するのがベストですね!
良妻の条件が、"breeding, brains and beauty"と信じたMaxim。しかし、”so lovely, so accomplished, so amusing” に見えたRebeccaには ”love, tenderness..... decency” が欠如していると知り落胆。
Rebeccaが誇った“beauty, wit and intelligence” を自分は持ち合わせていないと落ち込む新妻に対し、それらより”kindliness, sincerity and modesty” といった、夫から見てもっと大切な要素を持っているじゃないかと慰めるFrank。
さぁ、3つだけと言ったらどれを選びます?(^^)
原著は子供の頃に挑み途中で挫折…(>_<)。
映画はさすがHitchcockだなという演出があり、ぐいぐい引き込まれました。ロマンチックサスペンススリラーとして完成度高いです。
everglazeさん、コメントありがとうございます。9月11日~17日に、シネマロサ(池袋)で、「レベッカ」上映するようです。それも、「新世代の人気声優による名画吹き替えプロジェクト」の一環です。ダンヴァース夫人がキモなので心配です。が、見てみようと思ってます。