劇場公開日 1996年10月5日

「記憶の書き換えに自分でびっくり」レオン 完全版 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0記憶の書き換えに自分でびっくり

2024年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

レオン。
人生でもいくつ観れるかわからない傑作のラブストーリーの一本です。心に刺さらなかった人は、きっと違う星の住人だと思うことにしています。

この映画にはいくつもの奇跡のシーンが映し出されでいます。

マチルダが襲撃を受けた自室の前を、他人の振りして通過するときの表情。
ドアを開けるレオンの葛藤。
ヤクをきめるゲイリー・オールドマン。
きっと裏切っているレオンの育ての親で、でもいっちょ前にマチルダに説教たれるマフィアのボス。こいつがいちばん悪い。ぜったい。
マチルダが成長したら『ニキータ』とか『コロンビアーナ』になるに違いない世界観。
スティングの唄。
植木。

脚本が素晴らしい。そして、役者のスキルを最大限に引き出す演出。
ムダを極力省いた小気味いい編集。だから、いろいろと想像出来て面白いのに、完全版とかリリースされたら、その楽しみがなくなってしまう。少なくとも、ナタリー・ポートマンがマリリン・モンローのモノマネをするシーンは必要ない。見たい人だけが見ればいい。DVDのおまけで十分。

だから、この映画見たことがない人は完全版から先に見ないでほしい。だって、ちっとも完全じゃないから。

これを書いたのちに、たまたま見直してみたらびっくり。
完全版だろうと、オリジナル版だろうと、どっちにもモノマネのシーンはあるし、マチルダと一緒に襲撃をくり返し、手りゅう弾のピンを使った作戦は、ラストの重要な伏線になる。

その他にも、レオンの過去の打ち明け話や、マチルダが早く大人になりたい背伸びガールなエピソードなど、オリジナル版でカットされたのは、どれも必要と思われる重要なシーンで、むしろ完全版以外は見る必要のない映画だなと、認識を改めました。

うそつきかもめ